2016.07.05

目指せトライアスリート!デビューレースで優勝したトライアスリートに聞く、オススメ練習法とトライアスロンの魅力

トライアスロン完走に向け、先輩たちはどんな練習をしているのか。2015年9月にデビュー戦で優勝したという女性トライアスリートに、練習ノウハウを聞いた。

「トライアスリートになりたい!」と意気込んだものの、練習量がまったく足りていない筆者。そもそもトライアスロン(スイム1.5q、バイク40q、ラン10qのオリンピック・ディスタンス)完走のために、先輩トライアスリートはどんな練習をしているのだろう。

「このまま自分に甘い練習を続けていては完走できずに終わってしまう……!」。そんな危機感から向かったのは、静岡県静岡市。昨年トライアスロンを始め、デビュー戦でいきなり優勝した女性トライアスリート・林真奈美さんが、練習ノウハウを教えてくれるという。

彼女が普段お世話になっているという「Cycle Shop BONDS(サイクルショップ ボンズ)」で話を聞いた。

トライアスロン初心者が知っておきたいロードバイクの選び方についてはこちら>

―なぜ、トライアスロンを始めようと思ったのですか。

2015年7月に初めて見たトライアスロン大会(静岡県選手権)で、高校の同級生(男性)が優勝したことがきっかけでした。同い年の彼がひたむきに走る姿がとても輝いていて、「私も競技としてスポーツに打ち込みたい」と心動かされたのです。

もともと、中学までは競泳をやり、高校では新体操、日本体育大学に進学してからはフィンスイミングに挑戦するなど、運動が大好き。今は中学校の体育教師であり、体操部の顧問も務めています。「10代、20代の頃のように、もう一度競技をやってみよう」と思い、7月末が〆切だったトライアスロン大会に急いでエントリー。9月27日の「第23回 サンライズイワタ2015in竜洋大会」(スイム1km バイク37km ラン10km)でトライアスロンデビューとなりました。

大会に出ようと決めてから本番までは約2カ月。バイクが手元に届いたのは8月20日だったので、バイク歴が非常に浅いまま本番を迎えました。

―そこで、いきなり優勝とはすごいですね。

私も「あれ!優勝できたの⁉」という感じで。タイムは2時間4分33秒(スイム13分27秒・バイク1時間8分22秒・ラン42分44秒)でした。水泳はマスターズ水泳(年齢区分のある競技大会)に向けてスポーツクラブで練習していたり、ランでは数年前にフルマラソンを完走していたりと、基礎体力はありました。優勝を機に、もっともっと練習を積んでタイムを縮めたいという思いが沸き上がり、今につながっています。

―スイム、バイク、ランそれぞれの練習内容とアドバイスをお願いします。

オリンピック・ディスタンスのスイムは1.5q。人によって異なりますが、平均で約30分かかります。まずは、30分泳ぎ続ける持久力をつけるために、時間を目安に練習するのをオススメします。泳いでみると、30分足をつけずに泳ぎ続けるのはなかなか大変。最初は20分を週1~2回やってみて、慣れてきたら少しずつ時間を伸ばしていくといいでしょう。

私は、少なくとも週3回、仕事を終えたあとにスポーツクラブで30分泳ぎます。50m8本・100m8本など、短い距離をダッシュする練習から、ビート版やプルブイ(足に挟んで下半身の浮力を得る補助具)を使いキックや上半身を強くする練習、長距離を泳ぐ練習まで、バランスよく行います。疲れて泳ぎたくないという日は、のんびり泳ぐだけにして「しんどくて続けられない」という状態にならないよう意識しています。

海で泳ぐと、「気づいたら大幅にコースがずれていた」ということがよくあります。そこでヘッドアップの練習も大切です。息継ぎの際、顔を前に向け、コースを確認しながら進む練習を取り入れると安心です。

バイクは、週末に自転車ショップの仲間と約40qのライドを楽しむほか、毎日ローラー台や近所の道を30分~1時間こいでいます。山道では登りの練習を、平坦な海沿いの道では平均時速35〜40qで走り続ける練習など、ライドに最適な環境に住んでいるのはアドバンテージですね。さらに、職場(中学校)へも自転車通勤。往復30分走るので、それだけでいいトレーニングになっています。

ローラー台は天気に左右されず練習できるので、持っておくと便利。音楽を聴きながら、テレビを観ながらこげるので続けやすいと思います。ちなみに私は、こいでいる姿が窓ガラスに映る位置にセットし、フォームをチェックしながらこいでいます。

大会では、1時間30分ほどこぎ続けることになるので、基礎体力が必須。スイムと同じで、長く自転車に乗る状態に慣れることが大切だと思います。

ランは、週3日30分〜1時間行い、うち1〜2日は、バイクとランを組み合わせて練習します。トライアスロン経験者に「1時間バイクをこいだあとのランに慣れておくべきだ」と言われて始めたのですが、実際に、バイクを降りて最初の走り出しは、足が思うように動きません。本番で焦って余計な体力を使わないように、体を慣らしておくことが大事だと思います。普段の練習では、スローペースでフォームを意識しながら走る日と、足の回転数を上げてスピードアップを意識する日を作っています。幸運にも、知り合いにランニングトレーナーがいたので、2週間に一度はパーソナル・トレーニングを行い、フォームをチェックしてもらっています。

1週間を通して決めているのは、月曜は完全にオフにすること。トライアスロンを始めた当初は、とにかく量をこなしていました。でも、体をギリギリまで追い込んでいた2015年11月にバイクで落車し、全身を道路に打ちつけたことがありました。ヘルメットのおかげで大きなケガはなかったのですが、疲労感から注意散漫になっていたんです。そこから、オフの日をきちんと作って、体を休める大切さに気づきました。

それ以外の日でも、体がだるくて動きたくない、という時は、時間を短くしたり、力を抜いたまま泳いだりジョギングをしたりと、体に無理をさせないように心がけています。ランの指導者から体幹トレーニングを20種類も教えてもらったので、ゆっくり時間をかけて、トレーニングだけに専念する日もあります。体幹はすべてのスポーツに通じるので、スイムでも腕の力に頼らずラクに泳げるようになったりと、とても効果があります。

トライアスロン歴は1年弱ですが、今では生活のすべてがトライアスロン中心。指導している体操部の練習でも、体幹トレーニングを取り入れて、ちゃっかり一緒に鍛えています(笑)。


落車して割れたヘルメットは、自分への教訓として大切に持っている。

―林さんをそこまで惹きつける、トライアスロンの魅力は何だと思いますか。

まずは、自分の成長を実感できるところですね。例えば、竹谷賢二さん(スペシャライズド契約アドバイザー)のペダリング講習で教わった「体幹を使って足を持ち上げる」というこぎ方を実践してみたら、その後のランでの足の疲労感が全然違いました。3種目あるからこそ、やるべきことが多くて、その分、改善の余地がたくさんある。そこが私にはとても面白いです。

人それぞれ、自分なりの目標を設定できるところも、トライアスロンが生涯愛される理由だと思います。完走するだけで、たくさんの人が祝福してくれるしリスペクトしてくれる。タイムを縮めるために練習を重ねようという人や、アイアンマン(スイム3.8q、バイク180q、ラン42q)を目指したいという人もいて、自分らしい楽しみ方を見つけられるスポーツだと思います。

トライアスロンを始めて思ったのは、「このスポーツに出合えて本当によかった」ということ。おばあちゃんになるまで、自分に課した目標を一つひとつクリアしていき、成長し続けたいと思っています。

<ご協力>
Cycle Shop BONDS
住所:〒420-0886  静岡県静岡市葵区大岩2丁目52-3
電話:054-277-9350
URL:http://cycleshop-bonds.com/

【筆者紹介】:田中瑠子
ライター・編集者。スポーツからビジネスまで人物インタビューを多く手がける。2014年、ホノルル100マイルを走って自転車の世界を知る。2015年8月にパリ・ブレスト・パリを取材し、フランスの自転車愛の深さに感動。今の夢は、パリ〜ルーベのパヴェ(石畳)を走ってみること。

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