中級者による製品レビュー Vol.1 S-Works 6 Road シューズ
話題のロードバイクシューズ「S-Works 6 Road」を中級者ローディーが履いてみた。プロではない、普通の脚力を持つ筆者の感じたシューズの特徴を書いた。
レビュー1回目のアイテムはS-Works 6 Road(※)。詳細は当サイトの製品 紹介に譲るが、Specializedが「次世代のシューズ」として開発した、話題の一足である。
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最高峰の舞台で選手が使用したシューズはやはりS-WORKS 6 と SUB6でした >
※カタログ上の表記は「S-Works 6」ですが、「S-Works Sub6」との混同を避けるため、当記事では「S-Works 6 Road」と表記します。
一見すると、まずその「グラマラス」さが目につく。出るべきところがしっかり出て、引っ込むべきところがしっかり引っ込んでいる印象だ。思わず「自分の幅広で甲高な足がフィットするのか?」と不安になるほど。
しかし実際に履いてみると心配は杞憂に終わり、この形状が理に適っていることがわかる。たしかに履き口はせまい。上部のBOAダイヤルのヒモを完全にフックから外さないと足が入らない。しかしその「グラマラス」さゆえに、一度履いてしまえば足に沿って隙間なく、やさしくフィットする(ちなみに筆者はBONT Vaypor Sではサイズ42でややタイトに感じるが、S-Works 6 Roadではサイズ41でジャストだった)。
湖沿いの登りのあるコース、アップダウンの多い幹線道路沿いの周回を走り、さらに自宅のローラー台でも使ってみたが、サイズ的なキツさはまったく感じられなかった。むしろダンシング時など、つま先付近を自由な方向へ動かせる感覚があった。この「しなやかさ」は、スペシャライズドの謳う“革新的な軽量・強靭素材”を使ったアッパー部と、ベロやサイドの革素材によるところが大きいのだろう。他社のシューズと比べてもびっくりするほど薄く作られていて、なおかつ伸縮性が高い。さらに革のほぼ全面(!)に小さな通気穴が開けられている。だからフィットしつつも、どんな方向へもラクに曲がり、伸びるのだ。
そして通気穴の「肉抜き」は軽量化にも役立っている。サイズ42でカタログ値224g。GIRO EMPIRE SLXなどの最軽量クラス (サイズ42.5でカタログ値175g) に比べるとやや劣るが、筆者のBONT Vaypor S(サイズ42で実測239g)よりは軽い。常に最軽量シューズを履いてます!というライダー以外は、じゅうぶん恩恵を受けられるだろう(というか自分は受けた)。手に持って感じる軽さは当然で、走行中は高ケイデンス時に楽に速く回せる感覚があった。この軽さはヒルクライムももちろん、スプリントでも武器になると思う(ただし通気穴の多さから、冬場は2週間くらい早くシューズカバーを使い始めることになるかもしれない)。
いわゆる「剛性」も必要充分。指でソールを曲げようとしてもまったくたわまない。「木靴」とまでいわれる超剛性のBONTと比べれば、ダンシングで思いっきり体重をかけたときに少し下へ沈み込む感覚があったが、感じる違いはその程度。
そもそもS-Works 6 Roadは、BONTに代表されるソールの「熱成形」でフィット感、剛性感を求めるシューズとは根本から思想が違うように思われる。ソールだけではなく、シューズ上側も流線形にし、丁寧に作りこむことでシューズ全体でのフィット感と剛性感を求めているのだろう。今回その思想は踵も見逃さず、ヒールカップ形状を旧モデルから改良した。ありがちな踵の「すっぽ抜け」を解消し、さらなる剛性感向上に貢献している。もはや足の全方位、どこにも隙を作るまいとする姿勢だ。
さて、ひととおり走ってみてS-Works 6 Road。「グラマラス」で「しなやか」、そして「軽さ」も持ち合わせ、体全体でやさしく包んでくれた。女性にたとえるならば魅惑の南米系レディーのようだった(「軽さ」はよけいか)。いままで硬いシューズ一筋で踏ん張っていた筆者にとっては、本気で浮気してもいいと思えた一足だ。もし貴方が現在のシューズに少しでも窮屈さや重さを感じているのなら、S-Works 6 Roadは浮気−−−いや、それだけに終わらない、最良の伴侶となるだろう。とりあえず一晩から、どうですか?
【筆者紹介】成田ケンイチ:
フリーライター。自分のFTPは4倍に達していると信じて疑わないが、じっさいに測ったことはない「自称」中級サイクリスト。小学館自転車部所属。
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