丸山八智代レポート:The Duke of Edinburgh’s Award Gold Challenge
アンバサダー丸山八智代さんが子供たちを引率した、冒険いっぱいのMTBイベントのレポートです。
こんにちは、丸山八智代です。9月12日から15日に実施した「The Duke of Edinburgh’s Award Gold」の模様をお届けします。
受け入れ先:Evergreen outdoor center2014年、このチャレンジをレポートしました。まだお読みでない方はこちらからどうぞ。
今回は、昨年の旅の続きなのです。
The Duke of Edinburgh’s Awardの概要はこちらから:http://www.intaward.jp/about.php
日本ではまだ馴染みのうすい制度ですが、今回生徒達と同行したジャーニーを振り返ると日本の学校でもチャレンジして欲しいなと感じました。
“精神が経験によって広がると、決して元の大きさに戻る事はありません。” by クルト・ハーン博士 ドイツの教育者
Day1
9時には出発する予定だった。あろうことか9時なってもまだ姿が見えない。
そして、各自のキャンプ道具や食料をパニアバックへ押し込むと重みで窮屈そうなMTBが旅の準備を終えた。
スタートはEvergreen outdoor center。白馬村八方エリア〜松本市梓川梓水苑キャンプ場まで移動する。
今回の参加生徒は4名。私にとっては1年ぶりの再会だった。日本の高校生でいうと3年生にあたる彼ら、私の記憶は1年前から止まったままなので成長のスピードを数分で埋めないといけなかった。
ルート選びや今日のリーダーなど昨年帯同したプラクティス(ゴールドトリップの練習にあたる)の経験からスムーズにミーティングできた。
……………いや。 ちがう。 いま何時だ!?
このトリップは、ただMTBで長い距離を走れば良いというものではなく、ちゃんとした目標をつくらないといけない。
チームビルディングだったり、自然の環境下でテント生活、地形をみたりetc
私は思った。目標を掲げるまえに各自時間をコントロールして‼一緒に帯同するリチャード先生も同感だった。
このタイミングコーディネーション(時間のコントロール)は次の日からのチームは劇的な変化を遂げるのであった。
今日の移動はおよそ70km。この時は私も含めMTBに取り付けた荷物がこんなにも重たいのかと想像も付かなかった。元気いっぱいでエバーグリーンを出発した。
青木湖で1回目の休憩を取った。最高の天気に恵まれてライド日和だった。ライディングも良いペースでここまで来た。
気になった坂道も今の所順調に走れている。
時折現れる段差でバイクパニアが外れるアクシデントが度々起こる、私も含めて…。荷物を左右均等の重量でパッキングしないと、ライディングがフラフラしてしまうのだった。
ブリティッシュアクセントを聞きながらのライドは私にとっても非常に良い勉強になりました。リチャード先生ありがとう。
この旅は各自事前に用意した食材以外は基本的に購入を禁じられているのです。
しかし、「Eat Local」つまり「地産地消」は唯一許された買い物。ただ買うだけでなく、生産者かお店の方に農産物について見分を伺うのです。
大きなシナノスイートをゲットしました。これを名乗れるのは長野県産のみらしいです。
また荷物が増えちゃったけど、食べないと走れません。新鮮な果物は本当にみずみずしいです。
安曇野の農村エリアを南へ進みます。気温も上昇してジリジリと照り付ける太陽。
ここまではルートも間違えずに進めました。
この日は1回だけ影の声を出しました。完全に逆方向に向かい出した時があったかな(笑
夕方4時半頃にキャンプサイトへ到着しました。暗くならない内にテントの設営です。
今夜は隣接する梓水苑のお風呂に入れると知った生徒は大歓声!暑い1日でしたからね。私も正直嬉しかった。
キャンプサイト横では、畑一面のヒマワリ畑が広がっていました。今日は70km、順調に進んだね。
まだ余裕がありそう。
道の駅で購入したビーツとナスを茹でてソバとコラボして食べていました。味が想像できません(苦笑)
乾燥ワカメはパッキングに影響しずらい食品という事で生徒達の考えで持参。
しかし、ワカメを水で戻し過ぎて、ものすごい量になった事は言うまでもなく、翌日の朝まで生徒達の胃袋を膨らませました。
Day2
松本市梓水苑〜松本城〜松本市美鈴湖森の国オートキャンプ場間翌朝、タイミングコーディネーション出来ているか心配しましたが、9時スタートには全員が準備できていました。
やれば出来るじゃん!
今日の移動距離はおよそ35km。移動距離はないものの、標高獲得が多い。後半は9%以上の坂道がお出迎えでパニアバッグの重さ、バックパックの重さが肩腰にジワジワ響くキツイ1時間が待っていた。
一晩テントで過ごし翌朝はすっきりとした目覚め。元気あふれる感じだった。
この時、手乗りカエル(写真ではわかりずらいかも)と遊ぶ余裕もあった。
このあたりから、私を含めてMTBに取り付けたパニアバッグに不調が出だした。
マニアガードといってバッグがスポーク側に干渉しない様にガードしているが、それがバック重量でイン側へ入ってしまい、バックとスポークが干渉してしまって結局何度も停まっては調整し直すという本当に面倒くさい時間に突入した。私もその一人だったが、良く考えたら... 「あっ!近くにバイクショップがあるではないですか!?」
とりあえずダメもとで行ってみよう!急遽進路変更でバイクショップへGo!
バイクランチで応急対応してもらう事に!そして、なななんとっ、グットタイミング!SBCU Carがそこに!
雷太さん始め、みなさんお世話になりました。ありがとうございます。
気を取り直していざ松本城へ。日本に4つしかない国宝の城。外壁の黒を表す意味などを生徒に教えながら城下町に流れる湧き水
を訪れました。
各自のボトルへ湧き水を満たして後半の坂道へチャレンジです。
水はまろやか口当たりで温度も丁度良く、本当につかれた身体に沁みわたりました。いつまでもこの資源を守ってほしいと思いました。
「目的を持った努力は旅の目的」という理念の下で行われているこのチャレンジでは、地産地消のショッピングだけではありません。100円ショップに立ち寄りました。もっと快適に走れるように工夫してみようという事でした。この後、以前よりはましに走れるようになりました。生徒達は工夫する経験を得ました。
100円ショップを出たあと、本格的な登りが始まりました。ボトムの浅間温泉は毎年美ヶ原ヒルクライムが行われる基地です。
私も過去に何度かチャレンジしていますが、今回は軽量化できる事は皆無。4日分の食料とテントetc…背中が悲鳴が聞こえてきます。途中ペダルが回らなくて押し上げました。生徒も同じく。毛穴からじんわり流れ汗で何度も目が痛くなったりしました。
なんでこんな場所をキャンプ地にしたんだ!?もっとボトムでも良かったのに……
そんな声が生徒だけでなく私の頭の中でもグルグルし始めた頃、ようやく美鈴湖へ到着です。太陽が西へ傾きだした16:30頃ようやく本日のキャンプサイトへ到着しました。
ここでトラブル発生。全ての工程は学生が予約を行う事になっているのですが…ちょうど私達が到着するときに、ゲートのカギを閉めているキャンプ場の方に会いました。
私達「アノ…今日泊まる予定の●●ですが…」
キャンプ場の管理スタッフ「エッ?今日はこれで終了ですよ。ご予約を頂いておりませんので…」
………………………
一同チーン。ここまでノボってきたのに。まさかのトラブル。下山して他を当たるか……
もう交渉するしかない。こんな時は日本人である私が交渉しなくては…
10分間の交渉の末「いいですよ。今からではどこも受け入れてくれないでしょうから..ではここに名前を記入してください」と言ってくださった。
サイトマップを渡されて私達はここで休む事ができた。素敵なサイトを用意してくれた。所長さん本当に感謝申し上げます。ありがとうございます。
どうして予約出来ていなかったか?それについて話す事が最初だった。
実は昨日のキャンプ地も予約が1日間違っていた。本人たちは誰かが予約したつもりだった。そしてこの日のリーダーは、その確認を怠っていた。明日は同じ間違いをしないようにしよう。チームは日に日に成長していくのだった。
夜は楽しい食事の時間だ。一日動くのでお腹は常に満足の状態ではない。温かい料理が沁みわたる。
今日の反省と明日のルートなどを話し合い、早めに就寝。なぜなら明日は本トリップ最大の移動が待っているからだ。
プランAへ行くべきかエスケープコースのプランBにするか?まだ決めかねているのを生徒から感じた。
どちらにせよ私にとっても明日は長い1日になりそうだから、満点の星空をゆっくり堪能する時間もわずかに、スリーピングバッグに潜り込んだ。昨夜に比べ標高が高いので寒さを感じる夜だった。
Day3
松本市美鈴湖もりの国オートキャンプ場〜茅野市蓼科高原白林台キャンプ場
今日は初の8時出発だ。まだ眠そうな松本市を抜け、颯爽と南へ向かいます。途中で道に迷うアクシデントもあり、この日は10時間かけて80kmを移動するビッグデイとなりました。
3日目の朝、生徒達の時間コントロールも劇的な変化を遂げています。チームをささえる影のスタッフ リチャード先生と私よりも先にパッキングを済ませる生徒達。1日目の朝のダラダラが無くなっていた事をここでお知らせします(笑)
九十九折の坂道を一気に下ります。あんなに苦労して登った道も下りはあっと言う間にボトムまで着きました。
今日も太陽が味方してくれました。最初のポイント塩尻峠までがんばろう!
そして、塩尻峠で必ず寄りたい道の駅「小坂田公園」。ここで食材を調達したいところです。
生産者から直に買えるので、新鮮で、しかも価格も都内の数分の一で手に入ります。
私はサマーブラックが好みだったかなぁ。基本、地産地消で貫くトリップなので、私もどんどんこの時間が嬉しくなってきました。
諏訪湖に到着したのが13:00。予定より30分遅れ。ここで軽めのランチを取る。
さて、ここからが今日のメインとなる斜度10%のビーナスラインを走るルートで行くのか?
もしくは行き先を変更して塩尻市郊外のキャンプ場に行くのか?この時決めなくてはならなかった。
ここから当初のAプランで行くとまだ35km残っていた。
ここで簡単な方を選ぶのもまた生徒が決めた事。反対にAプランにするとここから日が暮れるまであっと言う間なので
急いで先を進まないと暗くなる前にテントを張る事が難しくなる... 生徒達も疲労が溜まってきており、思考もネガティブになり出しているのが見て取れた。
近道パターンはなんと今来た道を逆走する部分が多い事が分かると生徒達は考えた。どうする? やっぱり戻ろうか?
しばらくすると、プランAに行こうと決めたらしい。
そうとなると、ゆっくり休んでいられない。早々に諏訪湖を出なくては。
茅野へ向かう。ビーナスラインを目指して!
勾配がどんどん急になってくる。道に迷いたくない時間だからサインボードを見ながら丁寧に進む。
しかし、どこかで迷ってしまった。影から引率する私達も一瞬気が抜けてしまったようだ。
ビーナスライン上に今いない事を感じ始めたのは4時3o分が回っていた。メルヘン街道という一本違うライン上に私達はいた。
道を尋ねた方はMTBでツーリングしているようで、ガソリンスタンドでお兄さんがオフロードの地図を教えてくれたらしい。けど、私達のこの荷物量ではオフロードは厳しい。
もういちど地図を確認して再スタートをしたのが5時。あたりは薄暗くなってきて昼間の暑さはどこへ?急激に冷えだし始めた。
そして不安と空腹と疲労が極限に達してるのは、生徒だけでなく私も同様だった。
ビーナスラインを見つけた頃、今回最大の登りが続く。標高1200mのインフォメーションが思考を停止させる。暗くなる前にテントを張ろうと思っていたが、無理そうだった。各自ヘッドライドを準備してスタートした。
息が上がる。なかなか前に進まない。先頭をリードしていた健脚な生徒も遂にバイクを押し始めた。
そして、これが最後の登りだろうと思っていたゴルフ場を過ぎると蓼科湖が見えて来た。それまで寒さで手足の感覚がなかったのがウソのように暖かくなりだした。
メンタルの限界にも来ていた事が良く分かった。気を抜くと涙腺が緩みそうだった。
色々なシチュエーションを考えて生徒よりも沢山のギアをバックパックに押し込んで移動していた。自分の限界とも背中合わせだったから、今日のゴールは心底嬉しかった。
星空をみて涙をこらえたのは内緒。10時間もMTBに乗る事は私にとっても初めての経験でした。だから本当に生徒達も良く頑張ったと褒めたい。
3日目のテント設営は慣れたものだ。
あっという間に設営完了! そして今夜はお風呂に入れる。キャンプサイトはお宿さんが経営されていたのでお風呂ヒトツで贅沢な夜になった。
この夜はゴールドトリップ最後の夜になる。明日は彼らを茅野駅までドロップして、さよならだ。
私にとってもこの夜は忘れられない一夜となった。残りの食材を使い切る。「またワカメ? ちょっと心配したが、それもまた思い出。
最後の晩餐がそこにはあった。このレポートには書いてこなかったが、毎晩ミーティングをフィルミングしてきた。
ラストとなるDay3の動画は何度見ても素晴らしい。ここでは公表できないけれど生徒達の成長がいっぱい詰まった内容だった。
私から最後に一言、生徒達に伝えた事がある。それはDay3で、プランAもしくはBを選択する際に、簡単で楽な方を真っ先に選んだ事に触れた。
自分でメンタルブロックを最初からしてしまう事で、今後色々な出来事に遭遇したとき、簡単な方を選んでしまい、もっと出来る事もそれなりで済んでしまう可能性が高いと伝えた。
現に彼らはプランAのアドベンチャーをなし遂げた。やれば出来る事が本人達も分かった。沢山の可能性を持った若者たち。次のステップが決まり出しているのを昨夜教えてくれた。目標に近づくように応援してるよ。
Day4
今日はゆっくり移動するだけなのでタイミングコーディネーションはきっちりしなくても良い朝なのに生徒達は早くからパッキングを済ませ今日は私達待ちだった。
早くこの旅の話を家族に伝えたい気持だろう。ただ辛かっただけではないはずだから。
そして、暗い中でのテント設営だったので、こんなにも綺麗なサイトでステイしたのかと辺りが明るくなって気が付いた。
生徒達からの尊敬を私も感じた、本当に素晴らしい先生でした。リチャード先生!お疲れさまでした。
忘れられない時間をありがとう。
またどこかで! もう一度この言葉に戻りたいと思います。
“精神が経験によって広がると、決して元の大きさに戻る事はありません。”byクルト・ハーン博士
最後にこのトリップに帯同させて頂けた事に感謝します。関係者の皆様ありがとうございました。
Reported by Ya-chan
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