2018.12.18

『スペシャライズド・トライアスロンチャレンジ』レースデビュー!

いよいよやってきた“THE DAY” 、河津フラワートライアスロン大会当日。益田コーチと共にトレーニングに励んだメンバー達のレースデビューをお伝えいたします。

7月7日にキックオフした『スペシャライズド・トライアスロンチャレンジ』は、この11月11日の大会を目標に掲げ、この4ヶ月間を練習に費やしてきました。

『スペシャライズド・トライアスロンチャレンジ』キックオフ!を読む
『スペシャライズド・トライアスロンチャレンジ』練習編を読む

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AM6:00 日の出とともに「その日」が始まる


だいぶ日の出が遅くなってきたことを感じさせる薄明の朝6時、スペシャライズド・トライアスロンクラブ(STC)のメンバーは他のどの参加者達よりも早く、会場で身支度を整え始めていました。

ほとんどのメンバーが、今日人生で初めてのトライアスロンを走ります。どこか緊張した面持ちなのも無理はありません。現役時代、数々のレースを転戦してきた益田コーチが、てきぱきとバイクスタンドを設置、メンバーで集まれる場所を作ります。初めてでは、レース当日にどう動けばいいかなんてわからないもの。コーチの経験がありがたい。

とはいえ、コーチも現役時代はレース前にナーバスになったと言います。「たぶんレース前の僕は印象悪かったと思いますよ。ほとんど周りと口をきかなかったですから(笑)」 努力を積み上げてきたからこそ、いざレースを前にして覚える緊張感。これをよく知るコーチは、今日はメンバーをリラックスさせることに注力します。

今日は、STCのハレの日。スペシャライズド・トライアスロンチャレンジ一期生のデビューは、もう間も無く。鞍留さんは、この日のためにスペシャライズドのデザインネイルで気合い十分。

AM7:00 トランジションエリアに、再会を期して
7時のトランジションエリア開放に合わせて、バイクやランのエキップメントを設置します。河津はバイクとランのトランジションエリアが違う場所に設定されており、まずはランのエリアにシューズを置き、支度を整えたらスタート地点に近いバイクのエリアに向かいます。

バイク、そしてヘルメットの設置の仕方は7月の練習会で学びました。あれから4ヶ月、すべてはこの瞬間につながっていたのかと思うと、いよいよと気持ちが高まります。次にこのバイクと会うのは、もう1.5kmのスイムを終えた時。どんな気持ちで、ここにたどり着き、新しいスタートを切るのでしょうか。

AM8:00 スイムの準備万端! でも……波が高い!
バイクを置き、ウェットスーツに身を包んで、スタート地点の浜辺までやってきました。目の前に広がる海は、かなりダイナミックに波打っています。おお……。

いざ海を目の前に、そして大勢のウェットスーツに身を包んだ参加者に囲まれると、否応なく緊張感が高まってきます。でも、緊張するのは、今日のために頑張ってきたから。ここまできたらあとはやるだけ!といい意味での開きなおりで笑顔の絶えないSTCのメンバーたち。

スタートを前にした益田コーチの最後の言葉は、「無理をしないように、楽しんできてください」

メンバーを見送ったあと、コーチがぽろりとこぼしたセリフ。「みなさんがここまで頑張ってきたのを見ているので、今日のレースを見たら泣いちゃうかもしれません……」 メンバーはいいコーチに恵まれたんですね。

AM8:30 開会式、試泳、そして…
開会式では、「今日が過去の河津フラワートライアスロン大会で一番波が穏やかです」という衝撃の発言。これで穏やかなら、過去の大会はどんなだったんだ!?と思わずにはいられないほど。でも、おかげでなんとなく、みんなの覚悟も決まったようです。寄せる波に弾かれながらも、試泳を終え、いよいよスタートを待つばかり。

AM9:00 スタート!
長い長いスタート前の時間も、すべてはこの瞬間のために。午前9時、第1ウェーブのスタートが切られました。2分ごとに続くウェーブもスタートし、先ほどまで黒づくめの集団で占められていた浜辺も、がらんとさみしくなりました。いまは黒い点々が波間に揺れるばかり。波はやはり、大きくうねっています。

河津フラワートライアスロン大会のスイムは500mを3周回するレイアウト。都度陸に上がれるので、1500m泳ぎっぱなしよりは精神衛生上よさそうです。何より、コーチはじめ応援の面々も、メンバーを見つけやすくて助かります。

1周回目を終えた選手たちが続々と陸に上がってきてはまた海へと戻っていきます。元からロングスイムを楽しんでいるという下山さんが流石の泳ぎでメンバーのトップで2周目に入って行きました。コーチ曰く、元から泳げる人だったけれど、このトライアスロンチャレンジですごくフォームが良くなったとのこと。

続々と選手達が上がっては戻っていく中で、コーチとサポートスタッフのスペシャライズド高田さんが手際よくメンバーを見つけます。二人は手分けをして、スイム・バイク・ランの各ポイントでメンバーにアドバイスをしていくとのこと。

AM9:30 波にもマケズのスイムアップ!
依然として波間には多くの選手が揺れている中、徐々にスイムアップしていく選手の姿も見え始めます。STCは下山さんを先頭に、女子トップの福岡さんもいい位置でスイムアップ。笑顔でトランジションエリアに向かって行きます。

その他のメンバーも、高い波に苦戦しながらも続々とスイムアップしていきます。STCの女性陣はみな笑顔で駆け抜けていくのと対照的に、男性陣のほとんどみな顔がこわばっていたような……しかしスイムを一番の難所と感じていたメンバーも多かったようで、ここからはみな本領発揮!といったところでしょう。

AM10:00 挑戦は終わらない
先ほどからコーチの視線がずっと波間に釘付けになっています。ほとんどの選手がスイムアップした海面で奮闘するのはメンバーの林さん。実は林さんは、スイム初心者としてこのスペシャライズド・トライアスロンチャレンジに参加された方。初日のスイム練習から、コーチの指導が入りました。

この4ヶ月間、少しずつスイムの距離を伸ばしてきたとのこと。コーチも、正直なところ林さんが泳ぎ切れるかは確信が持てなかったそうで、心配そうに波間を見つめます。3周目に入れなかった参加者もいる中で、スイムアップを果たした林さん。しかし、無情にもタイムオーバーで足切りを宣告されます。わずか1分前の選手は通過したという、ぎりぎりの時間切れでした。

しかしコーチは、その健闘を心から称えます。ここまでの努力を知っているからこそ、泳ぎ切ったことに心を打たれた様子。林さんも、無念をにじませながらもその表情はやり切った顔。この大波の中を泳ぎ切った経験は間違いなく次につながるはずです。バイクを得意とする彼が、バイクを前にレースを去ることはどうしたって残念ですが、それもトライアスロン。チャレンジは、いつまでも終わらないのかもしれません。

AM10:30 疾走! バイクセクション
好天に恵まれすぎた、といってもいいこの日、海から上がりバイクにまたがったライダーが対峙するものは、太陽に照らされたアスファルト。路上で繰り広げられていたのは、暑さとの戦いでした。

バイクブランドであるスペシャライズドのトライアスロンチャレンジ。7月のキックオフミーティングでも、自転車経験のあるメンバーが多数を占めていたのが思い出されます。


サポートの高田さんと益田コーチ

コースは約6kmの周回コースを6周するもの。集中して走っていると、周回数がわからなくなるトラブルはよくあるものだそうで、事前にメンバーの大勢がトップチューブやステムに周回数を記したラベルを貼って臨んだのでした。川沿いの緩やかな登り勾配も、周回数を重ねるごとに暑さもあってきつく感じられてきます。

とはいえ、180度ターンの立ち上がりをダンシングで踏んでいく力強い走りを見せるのは吉村さん。他のメンバーもいいペースを刻んでいきます。バイクを見る限り、みんなリラックスして走れている印象。いい感じ!

AM11:00 いよいよ最終種目、ラン!
1時間強のバイクライドを終えたら、いよいよ最終種目のラン。トランジションまでカチカチと音が鳴るクリートシューズが恨めしいけれど、シューズを履き替えればもう自由。あとは飛ぶように走るだけです。

しかしここまで、1.5kmのスイムと40kmのバイクを走ってきた体がどこまで言うことを聞いてくれるか。ただ10kmを走るのとは違う、このトライアスロンの10kmがたまらなく過酷で、たまらなく人々を魅了する距離でもあります。

自転車が得意なメンバーの中にあって、ランニングは得意だと語っていた八島さん。自分の得意なランでいつものパフォーマンスを出せるように、ランニングの前にバイクを入れる練習を重ねてきたそう。前走者をぐんぐんと追い抜いていく積極果敢な走りが光ります。

春には河津桜が咲き乱れるという河津川沿いを2周するコース。全域で対面走行となるため、チームメイトとすれ違う場面も多く、お互い手を上げて励まし合う姿も。バイクパートからはチームジャージを着るメンバーも多く、そしてよく目立つのです。最後の最後、足が出なくなってくるツラい局面で、同じ苦しさの中を戦う仲間がいることに、どんなに勇気づけられるか。

AM11:30 それぞれのゴール、それぞれの感慨
どんな競技でも、ゴールシーンは感動的なもの。時に勝者の、時に敗者のそれであっても、戦い抜いた者の最後の瞬間には心打たれます。しかし、このトライアスロンにおいては、ゴールテープにたどり着いた全員は勝者なのでした。勝ち負けのない、けれど間違いなく勝者の誇りに満ちた笑顔と安堵とのゴールシーン。

4ヶ月前、始まりの日に益田コーチが言った、「トライアスロンは、ちゃんと練習をすれば誰でも完走できます。タイムは気にしなくていいんです」その言葉を改めて思い返しました。

鞍留さんと杉村さんはチームメイト同士、手を取り合って一緒にゴール。3時間を超える挑戦をともに達成した喜びを分かち合いました。

翌日が50歳の誕生だという加藤さん。40代の最後に、「挑戦に年齢は関係ない」というスペシャライズド・トライアスロンチャレンジのスローガンに導かれ、今日のトライアスロンに挑みました。ゴールは、ご主人とお子様と、家族みんなで。見ているこちらも、思わず胸の奥が熱くなるゴールシーンでした。

ゴールにたどり着くと、すでにフィニッシュした仲間たちが出迎えます。ともに汗を流した4ヶ月と、今日の3種目が、改めてメンバーの絆をより深いものにしたようです。

PM 1:00 挑戦は終わらない
目標としていた河津フラワートライアスロン大会をフィニッシュしたということは、スペシャライズド・トライアスロンチャレンジの一期生としての活動もここで終了です。同じ目標に向かってきたメンバーたちは、最後に最高の表情を見せてくれました。それぞれに感慨深いレースになったようです。


メンバーの中で最速、総合19位(2:24:20)でフィニッシュした下山さん(左)

「いままで我流で練習してきただけでしたが、益田コーチに、スイムの手の入水の角度や息継ぎの仕方、バイクやランの姿勢など細かく指導してもらえたおかげで、今日ベストタイムを10分以上も更新できました。4ヶ月間、チームのみんなで練習していく中で、バイクやランの速いメンバーに刺激を受けて、お互い切磋琢磨しながら、いいチームメイト、いいライバルとして頑張れたと思います。今回、チャレンジに参加してよかったと思います」

家族でのゴールを果たした加藤さんは開口一番、「練習の方がキツかったです(笑)」と。
「でもそんなコーチの愛のムチがあったから、今日落ち着いて走れたんだと思います。スイムが不安で、波もすごくて、ぶつかられるわ乗っかられるわで辛かったけど、スイムを終えてからは落ち着きました。一人じゃ絶対きつい練習も乗り越えられなかったし、お互い励まし合いながらできたのがよかったです。みんなの得意分野が違っていて、今回はバイクが得意な人、スイムが得意な人にいろいろと教えてもらって練習することができたんです。(40代最後の日ということで)今日は自分を褒めてあげたいと思いますが、また50代になってもチャレンジしていきたいと思います」

大いなる達成に喜ぶメンバーは、同時に新しいスタートラインにも立ったようです。挑戦は終わらない。常に前に進むことをやめないメンバーたちの、最高の笑顔が河津の浜辺には溢れていました。

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【益田大貴(ますだだいき)プロフィール】
1980年大阪生まれ。子供のころから野球に明け暮れたが、高校1年生の時にリタイア。その後身体を動かすために始めたランニングをきっかけにトライアスロンを始める。高校卒業後上京し、サプライヤー、スポンサーを獲得してプロとして活動を始める。18年間プロとして活動し2015年現役引退。 IRONMAN70.3世界選手権にプロカテゴリーで出場した唯一の日本人。現在はスペシャライズド・ジャパン勤務。大人になってからスイム・バイク・ランを始めた経験から、泳げない人や走れない人の気持ちが分かるので、初心者や中級者の指導が得意。もちろん上級者のレベルアップ指導も経験豊富。毎週火曜 日にスペシャライズド銀座店で行っている朝カツトレーニングが大好評!詳細はスペシャライズド ストアFBをチェック>

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#スペシャライズドトライアスロンチャレンジ

【筆者紹介】小俣雄風太
サイクリングアパレルブランドのプレスを経て、現在はスポーツカルチャー誌 “mark” やウェブサイト “onyourmark.jp” などを手がける編集者。またスポーツチャンネルDAZNでは海外ロードレースの実況中継を担当する。情熱を燃やすシクロクロスはC1で走り、現在はグラベルバイクでのツーリングに夢中。

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