WTS開幕戦から横浜まで3連勝!隙のないレースぶりでシリーズリーダーの地位を固めつつあるケイティ・ザフィアレス
好調のアメリカ女子トライアスロン界を背負って立つ存在の彼女に、強さの裏にある努力と準備、そしてオリンピックに向けてのプランをお聞きしました。
今年はVenge(ヴェンジ)に乗っています。私が住んでいるサンタクルズの夕陽をモチーフにしたデザインにカスタムペイントしてもらっていて、すごく気に入ってるんです。トップチューブには聖書の文言「Be strong and courageous(強くあれ。雄々しくあれ)」を入れています。昨年まではTarmac(ターマック)を使っていて、それも気に入っていたのでVengeに変えるのをためらったんですが、実際乗ってみたらコーナリングも上りも非常にいいし、エアロ性能も高い。私はエアロポジションで乗るのが好きなので、基本、バーはつけています。つけなくても空力的にはほとんど変わらないというデータも出ているんですが、乗りやすい姿勢で乗った方がパワーを発揮できるので。サドルはPower Saddle、ホイールはCLX50、ヘルメットはEvadeです。
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——トライアスロンをやる前のバックグラウンドは?
子供の頃から大学まで水泳をやっていました。そして15歳からランニングも始めました。初トライアスロンは2007年。父と一緒に出たんです。スイムはプール、バイクは20kmぐらい、そしてランは5kmという小さなレースを、父の日に何度か一緒に出てました。当時の私にとってトライアスロンは、父と一緒に楽しむスポーツでした。
プロデビューは2013年。きっかけはUSAトライアスロンからのスカウト。そう、あのグウェン・ジョーゲンセンも輩出した発掘プログラムです。このプログラムは多くの強い女子選手を出しています。初期メンバーのグウェンが活躍してくれたことによって、さらに活性化され、予算も潤沢になりました。今ではスポーツの基盤として定着しています。
——2020年東京への準備は始まっていますか?
既に照準はオリンピックに合わせています。まずは出場権を得るところからですね。8月にお台場で行われるテストイベントは、アメリカの選考レースのひとつになっているので、そこでしっかり結果を残したいと思ってます。横浜でのレースが終わったら、滞在を延長して夫とお台場のレースコースを下見する予定なんです。今まで一度も走ったことのないコースなので、私にとって今回の情報収集は非常に重要。その後、アリゾナのフラッグスタッフでそのための高地トレーニングも予定しています。もちろん暑さ対策もやります。スーパーリーグトライアスロンでは一度、シンガポールでレースをしたことがあって、暑さと湿度は経験済みです。また、レース前の暑熱順化のプログラムも実行して臨みます。WTS第2戦のバミューダの時は、そのプログラムの一部を行ってから臨んだんです。
WTS第2戦のバミューダでも優勝を飾った。
——暑熱順化はどんな風に行うんですか?
厚着をしてトレッドミルで走り、その後サウナに20分入ってから2分休憩。それを2回繰り返すんです。サウナの代わりに熱いお風呂に20分顎まで浸かる、というパターンもあります。なかなかつらい我慢大会ですよ。私はただでさえトレッドミルが嫌いなので・・・。テストイベントに向けてもこれをやるべきかどうか、今コーチと相談中です。
コーチはバンサン・ルイ選手と同じくジョエル・フィリオール
——事前の準備がやはりキーですか?
事前準備は私が一番大切にしていることです。やれることはすべてやった、という気持ちになれるかどうかが重要。やり残したことはない、という状態でスタートラインに立ちたいんです。
横浜大会の前にWin Tunnelでテストを行うケイティ。ポジションの僅かな違いにおいてエアロ効果を検証できるのは選手の大きな力になっている。
——WTSのレースとオリンピックの準備の両立はどうやって?
WTSもオリンピックと無関係ではありません。今年もWTS全レースに出場する予定です。コーチと相談する中で、レースをいくつか飛ばすという案も出たのですが、私はレースが好きなので。また、レースこそもっとも有効な準備だと思うんです。さまざまなレース展開への対応力をつけるためにも、また、現在の自分の力を知るためにも。
——プレッシャーにはどう対処しているんですか?
準備をきちんとすることで、プレッシャーは軽減できると思っています。また、湧き上がってくる様々な感情に対する対処方法を身につけて、自信を呼び起こすためのメンタルトレーニングも取り入れています。結局、ナーバスになるのは、それだけ真剣だからなんです。こういう風に考えるようになったのは、リオオリンピックでの経験からです。当時は結果を気にするあまり、やるべき目の前のことに集中できなくなっていました。順位目標を持つことももちろん大事なんですが、フォーカスすべきなのは自分でコントロールできること。すなわちひとつひとつのプロセスなんです。
——シーズンを通して高いパフォーマンスを維持する秘訣は?
継続性、ですね。それと、レースの前と後にしっかりダウンタイムを取ること。練習を一切しないということではなく、抜く時は抜く、ハードに追い込む時は追い込む。ハードとイージーのメリハリです。私のイージーデイは本当にゆるいですよ。私専用のイージーメニューがあるくらいです。シーズンは長く、何度もピーキングしなくてはいけません。だから、調節が非常に大事になってくるんです。
——ご主人のトミーさんはITUのフォトグラファーだそうですね。
はい、ITUと私のスポンサー、ロカの専属カメラマン、およびソーシャルメディアコンテンツ担当として、レースを私と一緒に回っています。彼もトライアスリートなので、バイクでのコース下見につきあってもらったり、一緒にトレーニングもします。私がほとんど自宅にいない生活をしているので、一緒に過ごす道をみつけてくれてとてもありがたいし、心強いです。
——ありがとうございました。8月のお台場での活躍、楽しみにしています。
Photo:Tommy Zaferes.
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インタビュアー:東海林 美佳
一般女性誌からスポーツ誌まで幅広いジャンルで活躍するエディター&ライター。アイアンマンハワイをはじめ、海外レース、海外選手の取材を多数手がける。
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