日本のMTBのターニングポイントになるか? - Soil Searchingイベント Vol. 2(準備編)

2020/02/06

日本のMTBのターニングポイントになるか? - Soil Searchingイベント Vol. 2(準備編)

11月23・24日に南アルプス市とスペシャライズド共催で行われたSoil Searching。カナダのマット・ハンターも駆け付けたアジア初のイベントに迫ります。

日本のMTBのターニングポイントになるか?- Soil Searchingイベント Vol. 1(始まり編)はこちら>

今回は100名以上が3時間弱でまったく新しいトレイルを作った、Dig Dayと、120名以上がバイクパークではない山道を走ったRide Day準備の裏話です。

 

浦島 悠太(Trail Lab 代表)さんにインタビュー

今回のDig Dayの影の立役者のトレイルビルダーの浦島さん。ニュージーランド、アメリカ、オーストラリアでトレイルビルドを学び、現在は日本でトレイルビルダーとして活躍されています。
 

ーSoil Searchingの企画を聞いた時にどう思いましたか?


この企画を立ち上げたスペシャライズドさんに対して自転車のメーカーが自転車販売だけで終わらせず自転車が遊べるフィールド作りにも力を注ぐこの企画は、とても素晴らしいと思いました。

というのも今日本のマウンテンバイク業界に足りない一つとして、人口に対する気軽に遊べるフィールドが極端に少ないと感じたからです。今回の企画をきっかけに他のメーカーでも横展開していくともっと大きなムーブメントになるのではないかと思います。

そしてトレイルビルドというまだ海外に比べてまだまだ発展途上の日本でどれくらいの人がマウンテンバイクを走るだけでなく、遊ぶフィールドに対して興味を持っているのかを見れる面白い企画だなと。

 

ー100名以上の参加者となりましたが、多くの人はDigするのは初めてだったようです。初めて経験した人たちへのメッセージはありますか?

 

短い時間の中でまだまだわからないことがあるかと思いますが、今回出会った方々と横の繋がりを大切にして頂き、参加された方々が活動する地域でトレイルビルドの文化をそれぞれの特色で築いていただけたら嬉しいです。


今回の開催場所で活動している南アルプスマウンテンバイク愛好会の方々のように、地元行政・地域住民との関わり方から実現したトレイルビルド(フィールド作り)は一つの参考になるのではと思います。

 

ー3時間という非常に短い時間でトレイルの一つのセクションを完成させるという前代未聞の企画でしたが、準備で気を使ったことはありましたか?

 気を使った点としてディグをする

 @エリア
 A距離
 Bトレイル
のスタイルこの3点です。
100人以上で一緒にディグをするにあたり、限られた時間で人をコントロールするのは未経験だったので、全員を見渡せる見通しの良い、かつ初めての人でも作業しやすい傾斜の緩い場所で、3時間と限られた時間でおさまる距離感、ディグの基本であまり作り込まない初心者向けのトレイルをレイアウトしました。

 

実際の作業はグループリーダーの方々が各グループをうまく纏めて頂いたおかげで時間内に無事けが人もなく開通できたのではないかと思います。


浦島 悠太さん (Trail Lab 代表)

弭間 亮(南アルプスマウンテンバイク愛好会 代表)さんにインタビュー

ー長い準備期間の中で一番大変だったこと、苦労したことはなんですか?

 

本業に差し支えないように、あらゆる隙間時間を使って半年以上前から準備を進めてきて、それだけでも大変なのに、イベントまでにディグする場所の許可を得なければならなかったことです。もちろんライドイベントも地域から賛同いただいて始めてできることでした。

メンバー全員が本業を持っていて、あくまでも現状ボランティアで運営しているため、みんな隙間時間を使って対応してくださっています。さらに活動エリアは山梨県ですが実際メンバーの居住地や職場はバラバラで山梨県だったり首都圏だったり近畿圏など様々です。

しかし同時に、行政やメーカーと組むイベントだったため、ボランティアだからと言って甘いことは許されません。ですので、密なコミュニケーションを取って、まずはメンバーがイベント趣旨などを理解するところから丁寧にやりました。もちろん日頃から地域の方々のご理解があっての活動なので、地域活動を並行させながらでした。

 

ディグイベント、ライドイベントさせていただくにも地域や行政の理解があってのことですので、そこを丁寧に維持しながら準備を進めていかないと、開催場所自体がなくなり兼ねないということだったわけです。そういうところで非常に気をつけながら準備を進めていました。

 

先日新聞等メディアを賑わせた財産区の協定についても水面下で3年間準備してきたものでその大詰めでもありました。それだけに限らず裏では様々なやりとりが日夜行われていました。

 

平岡地区の方々、南アルプス市、スペシャライズドさん、メンバー、そしてトレイルビルダーズサミットにお誘いさせていただいた方々など本当に多くの方々と、またスペシャライズドさんのメインの窓口であった木村さんはアメリカ在住ということもありあらゆる隙間時間でコミュニケーションを取らなければ進まない状況で、半年間、千手観音状態でコミュニケーションを取り続けました(笑)。

ーなぜトレイルビルダーズサミットを一緒に開催しようと思ったのですか?

日本において、マウンテンバイクに関わる様々な立場の方、例えば、ライダー、レーサー、販売店、メーカー、代理店、ビルダー、ローカル活動家、行政、研究者など、それぞれ個々にこれまで頑張ってマウンテンバイクの普及に取り組んで来られたと思います。しかし、日本のマウンテンバイク人口は少ないので、まずは垣根を超えて協力し団結して向かうことが重要だと思っていました。

まずはその始めとして、お集まりいただき顔を合わせるということが必要だと思っていて、ちょうどディグやライドイベントとセットであれば、お集まりいただきやすいのではないかということで、今回開催させていただこうと決めました。そして、その場で、それぞれがそれぞれのできる方法、やりたいことでマウンテンバイク環境を良くしようとしていることを細かいこと抜きにお互いが確認しあう、ということができたら、と思い開催しようと思いました。

ー100名でのDig Day、クローズドの専用コースではないトレイルで120名を超えるライダーが走ったRide Day。前代未聞の内容ですが、心配していたことなどありますか?

まずは、当日までにイベントに適したディグ場を確保できるか、というところが心配でした。実は開催の1週間前にトレイルビルダーの浦島さんと現地を見ていて、すでに確保していたディグ場候補について、やはりちょっと難しいなという話になり急遽変更したのですが、今回ディグした場所は許可の取りやすい条件の土地だが今後の利活用を考えると難しいかなと思っていた場所でした。
しかし浦島さんのお顔を見ながら話していたら今後も十分有効活用できそうだなという気持ちになってきて(笑)、急遽改めて地権者の方々や森林組合の方にご相談し、なんとか許可をいただき今回ディグできたのです。(注:いきなり許可をいただけるということはなく、長年地域の方と関わらせていただいたからです)トレイルビルドにとって山の基本地形はディグの労力に大きく影響を与えるので場所選びは非常に重要で、浦島さんがいて本当によかったです。

 

ディグイベントでは、まずディグ未経験の方が多数参加されることを想定して、ディグの「いろは」について共通認識を持っていただくところが重要と考えました。間違ったビルドをしてしまうと修正には何倍の労力がかかってしまう場合があるので、100名の方々に効率よくトレイルを切っていただくための準備をしました。具体的には、約10名ほどのグループに分けて、南アルプスマウンテンバイク愛好会メンバーにディグリーダーとなっていただき、事前に準備した持続可能なトレイルビルドの説明カードで説明していただきました。みなさんいい感じでディグしてくださったおかげで素晴らしい初心者用のトレイルが完成しました。現在は会員で活用させていただいており、今後の開放する際の仕組みなどを細かく検討している段階です。


弭間 亮さん(南アルプスマウンテンバイク愛好会 代表)

南アルプスマウンテンバイク愛好会のページはこちらから>

ライドイベントでは「トレイルへのダメージ」「怪我」この2点が心配な点でした。

前々日にかなりの降雨があり、マッドコンディションな部分がかなりありました。本会のルールにおいては「マッドコンディションの場合は乗らない」ということになっていますが、国内外から120名以上が申し込んでくださっていて、すでに現地入りされている方々も大勢いるなかで、ローカル団体側として「中止」という選択肢はありませんでした。それは、これまで南アルプスマウンテンバイク愛好会で丁寧に対策を講じてきたトレイル網は多少走行数が増えても耐えれるように設計されていたからです。

また、もし傷んでしまったとしても、そこは南アルプスマウンテンバイク愛好会で責任をもって対処するという覚悟を決めていたからです。それはこれまでの長年の地域や行政との関係づくりをさせていただいてきたからこその自信でもありました。ただその後の労力は相当なものになるのも事実です。結論としては、やはり新規で設計して入れたトレイルは傷みはほぼゼロ、既存の山道を再利用しているところは部分的に傷んでいるところがありました。

もう一つの決行した理由として、これだけの人数が、つまりトレイル1本あたり200〜300回走行した場合、トレイルがどのように変化するかを実証実験してみたかった、という知的好奇心もあります。世界的にはトレイル侵食の試験結果などはありますが、実際様々な条件が複雑に組み合わさったそれぞれのトレイルにおいては結果は異なります。それを肉眼で確認できるまたとない機会だと捉えました。

本会のトレイルを楽しんでいただくことで協力くださる方々が増え、よりマウンテンバイク環境に関心を持たれる方々も自然に増えて日本のマウンテンバイク環境が良くなっていくとも考えていました。そういった理由から今回のコンディションで決行しました。

 

また、怪我については、南アルプスマウンテンバイク愛好会メンバーが日頃から初心者初級者を案内することに慣れていたので、メンバーが先頭と最後尾でライドリーダーとなっていただきコントロールすることでリスクを最小限にしました。大きな事故があれば当然新聞等でも目立つことになりマウンテンバイクの印象を落としてしまいます。よかれと思ってやったことがマイナスになってしまいます。結果としてはメンバーがしっかりコントロールしてくださり、また参加者の皆さまもお伝えしたことをしっかり守ってくださったので怪我ゼロでした!全グループが無事に下山したことを聞いて心底ホッとした感覚は今でも鮮明に覚えています。楽しく走ってくださった皆さまどうもありがとうございました。

ー準備が非常に大変だったかと思いますが、モチベーションはどこから?

私自身、山が好きで山サイが好きでマウンテンバイクが好きで、しかし気づいたころには日本ではマウンテンバイク人口も少なく、つまりマウンテンバイクマーケットが小さく、社会環境が整っていなかったんです。なので、まずはマウンテンバイクを広めるための日本の社会環境を作ることが最優先事項だと考えて、そこからこの活動が始まりました。

7年間日の当たらないところで信じて信じてコツコツと活動を続けて先行事例を積み重ねてきたところに、スペシャライズドさんのグローバルの取り組みである「Soil Searching」という、日の当たらない縁の下の力持ちであるトレイルビルダーやローカル活動家を応援するという理想的な取り組みが南アルプスに来る、ということになり、こちらとしてもメーカーがそれだけの取り組みを考え実行に移しているなら、しかも、マーケットの小さい日本でやりたいというなら是非応援したい、そして、その「Soil Searching」発案者のファニー・コックを応援したい、と純粋に思ったんです。この取り組みを知ったときは心底興奮しました。それが原動力でした。

あと、何より、一緒にこれまで活動を長年続けてきた仲間がいたので、いつもしんどい思いをさせてきてしまっていたけど、ついてきてくださると信じていました。

日本のMTBのターニングポイントになるか?- Soil Searchingイベント Vol. 1(始まり編)はこちら>

 
木村 亮介(スペシャの山の人)のコメント

本当に準備は大変でした。でも改めて振り返ってみると何が大変だったかは忘れてしまうものです。結局は人と人が理解して、信頼しあうというところが一番大事なことだと思いました。
お互いの想いと立場を包み隠さず話し合えるような信頼関係を作れたことが準備の鍵だったかと思います。

小さいことでも継続し、お互いを許し合い、理解にすることが、山を走るMTBの複雑に入り組んだ関係性を少しずつほぐしていくのだと思いました。

関連記事:
日本のMTBのターニングポイントになるか?- Soil Searchingイベント Vol. 1(始まり編)(2019年12月12日)
Soil Searching: Home, Home in the Van(2019年11月13日)
Soil Searching: Inspired to Dig(2019年11月13日)
Soil Searching: Tales from Tasmania(2019年11月13日)
【終了】マット・ハンターと走ろう!Soil Searching Dig & Ride Day with Matt Hunter

2020/02/06

日本のMTBのターニングポイントになるか? - Soil Searchingイベント Vol. 2(準備編)

11月23・24日に南アルプス市とスペシャライズド共催で行われたSoil Searching。カナダのマット・ハンターも駆け付けたアジア初のイベントに迫ります。

日本のMTBのターニングポイントになるか? - Soil Searchingイベント Vol. 2(準備編)

日本のMTBのターニングポイントになるか?- Soil Searchingイベント Vol. 1(始まり編)はこちら>

今回は100名以上が3時間弱でまったく新しいトレイルを作った、Dig Dayと、120名以上がバイクパークではない山道を走ったRide Day準備の裏話です。

 

浦島 悠太(Trail Lab 代表)さんにインタビュー

今回のDig Dayの影の立役者のトレイルビルダーの浦島さん。ニュージーランド、アメリカ、オーストラリアでトレイルビルドを学び、現在は日本でトレイルビルダーとして活躍されています。
 

ーSoil Searchingの企画を聞いた時にどう思いましたか?


この企画を立ち上げたスペシャライズドさんに対して自転車のメーカーが自転車販売だけで終わらせず自転車が遊べるフィールド作りにも力を注ぐこの企画は、とても素晴らしいと思いました。

というのも今日本のマウンテンバイク業界に足りない一つとして、人口に対する気軽に遊べるフィールドが極端に少ないと感じたからです。今回の企画をきっかけに他のメーカーでも横展開していくともっと大きなムーブメントになるのではないかと思います。

そしてトレイルビルドというまだ海外に比べてまだまだ発展途上の日本でどれくらいの人がマウンテンバイクを走るだけでなく、遊ぶフィールドに対して興味を持っているのかを見れる面白い企画だなと。

 

ー100名以上の参加者となりましたが、多くの人はDigするのは初めてだったようです。初めて経験した人たちへのメッセージはありますか?

 

短い時間の中でまだまだわからないことがあるかと思いますが、今回出会った方々と横の繋がりを大切にして頂き、参加された方々が活動する地域でトレイルビルドの文化をそれぞれの特色で築いていただけたら嬉しいです。


今回の開催場所で活動している南アルプスマウンテンバイク愛好会の方々のように、地元行政・地域住民との関わり方から実現したトレイルビルド(フィールド作り)は一つの参考になるのではと思います。

 

ー3時間という非常に短い時間でトレイルの一つのセクションを完成させるという前代未聞の企画でしたが、準備で気を使ったことはありましたか?

 気を使った点としてディグをする

 @エリア
 A距離
 Bトレイル
のスタイルこの3点です。
100人以上で一緒にディグをするにあたり、限られた時間で人をコントロールするのは未経験だったので、全員を見渡せる見通しの良い、かつ初めての人でも作業しやすい傾斜の緩い場所で、3時間と限られた時間でおさまる距離感、ディグの基本であまり作り込まない初心者向けのトレイルをレイアウトしました。

 

実際の作業はグループリーダーの方々が各グループをうまく纏めて頂いたおかげで時間内に無事けが人もなく開通できたのではないかと思います。


浦島 悠太さん (Trail Lab 代表)

弭間 亮(南アルプスマウンテンバイク愛好会 代表)さんにインタビュー

ー長い準備期間の中で一番大変だったこと、苦労したことはなんですか?

 

本業に差し支えないように、あらゆる隙間時間を使って半年以上前から準備を進めてきて、それだけでも大変なのに、イベントまでにディグする場所の許可を得なければならなかったことです。もちろんライドイベントも地域から賛同いただいて始めてできることでした。

メンバー全員が本業を持っていて、あくまでも現状ボランティアで運営しているため、みんな隙間時間を使って対応してくださっています。さらに活動エリアは山梨県ですが実際メンバーの居住地や職場はバラバラで山梨県だったり首都圏だったり近畿圏など様々です。

しかし同時に、行政やメーカーと組むイベントだったため、ボランティアだからと言って甘いことは許されません。ですので、密なコミュニケーションを取って、まずはメンバーがイベント趣旨などを理解するところから丁寧にやりました。もちろん日頃から地域の方々のご理解があっての活動なので、地域活動を並行させながらでした。

 

ディグイベント、ライドイベントさせていただくにも地域や行政の理解があってのことですので、そこを丁寧に維持しながら準備を進めていかないと、開催場所自体がなくなり兼ねないということだったわけです。そういうところで非常に気をつけながら準備を進めていました。

 

先日新聞等メディアを賑わせた財産区の協定についても水面下で3年間準備してきたものでその大詰めでもありました。それだけに限らず裏では様々なやりとりが日夜行われていました。

 

平岡地区の方々、南アルプス市、スペシャライズドさん、メンバー、そしてトレイルビルダーズサミットにお誘いさせていただいた方々など本当に多くの方々と、またスペシャライズドさんのメインの窓口であった木村さんはアメリカ在住ということもありあらゆる隙間時間でコミュニケーションを取らなければ進まない状況で、半年間、千手観音状態でコミュニケーションを取り続けました(笑)。

ーなぜトレイルビルダーズサミットを一緒に開催しようと思ったのですか?

日本において、マウンテンバイクに関わる様々な立場の方、例えば、ライダー、レーサー、販売店、メーカー、代理店、ビルダー、ローカル活動家、行政、研究者など、それぞれ個々にこれまで頑張ってマウンテンバイクの普及に取り組んで来られたと思います。しかし、日本のマウンテンバイク人口は少ないので、まずは垣根を超えて協力し団結して向かうことが重要だと思っていました。

まずはその始めとして、お集まりいただき顔を合わせるということが必要だと思っていて、ちょうどディグやライドイベントとセットであれば、お集まりいただきやすいのではないかということで、今回開催させていただこうと決めました。そして、その場で、それぞれがそれぞれのできる方法、やりたいことでマウンテンバイク環境を良くしようとしていることを細かいこと抜きにお互いが確認しあう、ということができたら、と思い開催しようと思いました。

ー100名でのDig Day、クローズドの専用コースではないトレイルで120名を超えるライダーが走ったRide Day。前代未聞の内容ですが、心配していたことなどありますか?

まずは、当日までにイベントに適したディグ場を確保できるか、というところが心配でした。実は開催の1週間前にトレイルビルダーの浦島さんと現地を見ていて、すでに確保していたディグ場候補について、やはりちょっと難しいなという話になり急遽変更したのですが、今回ディグした場所は許可の取りやすい条件の土地だが今後の利活用を考えると難しいかなと思っていた場所でした。
しかし浦島さんのお顔を見ながら話していたら今後も十分有効活用できそうだなという気持ちになってきて(笑)、急遽改めて地権者の方々や森林組合の方にご相談し、なんとか許可をいただき今回ディグできたのです。(注:いきなり許可をいただけるということはなく、長年地域の方と関わらせていただいたからです)トレイルビルドにとって山の基本地形はディグの労力に大きく影響を与えるので場所選びは非常に重要で、浦島さんがいて本当によかったです。

 

ディグイベントでは、まずディグ未経験の方が多数参加されることを想定して、ディグの「いろは」について共通認識を持っていただくところが重要と考えました。間違ったビルドをしてしまうと修正には何倍の労力がかかってしまう場合があるので、100名の方々に効率よくトレイルを切っていただくための準備をしました。具体的には、約10名ほどのグループに分けて、南アルプスマウンテンバイク愛好会メンバーにディグリーダーとなっていただき、事前に準備した持続可能なトレイルビルドの説明カードで説明していただきました。みなさんいい感じでディグしてくださったおかげで素晴らしい初心者用のトレイルが完成しました。現在は会員で活用させていただいており、今後の開放する際の仕組みなどを細かく検討している段階です。


弭間 亮さん(南アルプスマウンテンバイク愛好会 代表)

南アルプスマウンテンバイク愛好会のページはこちらから>

ライドイベントでは「トレイルへのダメージ」「怪我」この2点が心配な点でした。

前々日にかなりの降雨があり、マッドコンディションな部分がかなりありました。本会のルールにおいては「マッドコンディションの場合は乗らない」ということになっていますが、国内外から120名以上が申し込んでくださっていて、すでに現地入りされている方々も大勢いるなかで、ローカル団体側として「中止」という選択肢はありませんでした。それは、これまで南アルプスマウンテンバイク愛好会で丁寧に対策を講じてきたトレイル網は多少走行数が増えても耐えれるように設計されていたからです。

また、もし傷んでしまったとしても、そこは南アルプスマウンテンバイク愛好会で責任をもって対処するという覚悟を決めていたからです。それはこれまでの長年の地域や行政との関係づくりをさせていただいてきたからこその自信でもありました。ただその後の労力は相当なものになるのも事実です。結論としては、やはり新規で設計して入れたトレイルは傷みはほぼゼロ、既存の山道を再利用しているところは部分的に傷んでいるところがありました。

もう一つの決行した理由として、これだけの人数が、つまりトレイル1本あたり200〜300回走行した場合、トレイルがどのように変化するかを実証実験してみたかった、という知的好奇心もあります。世界的にはトレイル侵食の試験結果などはありますが、実際様々な条件が複雑に組み合わさったそれぞれのトレイルにおいては結果は異なります。それを肉眼で確認できるまたとない機会だと捉えました。

本会のトレイルを楽しんでいただくことで協力くださる方々が増え、よりマウンテンバイク環境に関心を持たれる方々も自然に増えて日本のマウンテンバイク環境が良くなっていくとも考えていました。そういった理由から今回のコンディションで決行しました。

 

また、怪我については、南アルプスマウンテンバイク愛好会メンバーが日頃から初心者初級者を案内することに慣れていたので、メンバーが先頭と最後尾でライドリーダーとなっていただきコントロールすることでリスクを最小限にしました。大きな事故があれば当然新聞等でも目立つことになりマウンテンバイクの印象を落としてしまいます。よかれと思ってやったことがマイナスになってしまいます。結果としてはメンバーがしっかりコントロールしてくださり、また参加者の皆さまもお伝えしたことをしっかり守ってくださったので怪我ゼロでした!全グループが無事に下山したことを聞いて心底ホッとした感覚は今でも鮮明に覚えています。楽しく走ってくださった皆さまどうもありがとうございました。

ー準備が非常に大変だったかと思いますが、モチベーションはどこから?

私自身、山が好きで山サイが好きでマウンテンバイクが好きで、しかし気づいたころには日本ではマウンテンバイク人口も少なく、つまりマウンテンバイクマーケットが小さく、社会環境が整っていなかったんです。なので、まずはマウンテンバイクを広めるための日本の社会環境を作ることが最優先事項だと考えて、そこからこの活動が始まりました。

7年間日の当たらないところで信じて信じてコツコツと活動を続けて先行事例を積み重ねてきたところに、スペシャライズドさんのグローバルの取り組みである「Soil Searching」という、日の当たらない縁の下の力持ちであるトレイルビルダーやローカル活動家を応援するという理想的な取り組みが南アルプスに来る、ということになり、こちらとしてもメーカーがそれだけの取り組みを考え実行に移しているなら、しかも、マーケットの小さい日本でやりたいというなら是非応援したい、そして、その「Soil Searching」発案者のファニー・コックを応援したい、と純粋に思ったんです。この取り組みを知ったときは心底興奮しました。それが原動力でした。

あと、何より、一緒にこれまで活動を長年続けてきた仲間がいたので、いつもしんどい思いをさせてきてしまっていたけど、ついてきてくださると信じていました。

日本のMTBのターニングポイントになるか?- Soil Searchingイベント Vol. 1(始まり編)はこちら>

 
木村 亮介(スペシャの山の人)のコメント

本当に準備は大変でした。でも改めて振り返ってみると何が大変だったかは忘れてしまうものです。結局は人と人が理解して、信頼しあうというところが一番大事なことだと思いました。
お互いの想いと立場を包み隠さず話し合えるような信頼関係を作れたことが準備の鍵だったかと思います。

小さいことでも継続し、お互いを許し合い、理解にすることが、山を走るMTBの複雑に入り組んだ関係性を少しずつほぐしていくのだと思いました。

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Soil Searching: Tales from Tasmania(2019年11月13日)
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