2020/11/06 00:00

Live the Pink Dream―Tarmac SL7、Shiv TTとドゥクーニンク・クイックステップのジロ・デ・イタリア2020

夢に見たバラ色のジャージの日々。若きホアン・アルメイダ(ポルトガル)と「ウルフパック」達が駆けた21日間を振り返ります。

Live the Pink Dream―Tarmac SL7、Shiv TTとドゥクーニンク・クイックステップのジロ・デ・イタリア2020

世界的なパンデミックの影響により、当初のスケジュールから約5ヶ月遅れでスタートしたジロ・デ・イタリア。開幕地もハンガリーからイタリア・シチリア島に移った。
そこにロードレース界の至宝、レムコ・エヴェネプール(ベルギー)の姿はない。このジロでグランツールデビューを飾るはずだった若き天才は、8月のイル・ロンバルディアで負った大怪我からの復帰途上にあった。

屋外トレーニングを再開できるまで回復したエヴェネプール。おそらく来季、初のグランツールを走ることになるだろう。

リハビリを経て、ようやくロードバイクでのトレーニングを開始したばかりのエヴェネプールに代わってシチリアに降り立ったのは、当初ブエルタ・ア・エスパーニャに参戦予定だったホアン・アルメイダ(ポルトガル)。キャリア初のグランツールに挑むアルメイダとコロンビアンスプリンターのアルバロホセ・ホッジを、チーム最年長の大ベテランであるイーリョ・ケイセ(ベルギー)はじめ経験豊富なメンバーがサポートする布陣が組まれた。
若手に経験を積ませながら、ステージ勝利を狙っていく。それがドゥクーニンク・クイックステップの作戦だった。


開幕に先立ちシチリア島のセジェスタ遺跡でチームプレゼンテーションが行われた。
一番左でTarmac SL7を持ち、手を上げているのがアルメイダ。 Photo:© 2020 Getty Images

すべてを征す一台 All New Tarmac SL7について>

昨年は未勝利のまま終わった「イタリア一周レース」だったが、今年は初日から勝利のチャンスが訪れた。初日の個人タイムトライアルで、アルメイダが長時間に渡って暫定首位をマークしたのだ。アルメイダは前週の世界選手権で優勝したフィリッポ・ガンナ(イタリア/イネオス・グレナディアーズ)に22秒遅れの2位でステージを終えた。


個人タイムトライアルで開幕した2020年のジロ・デ・イタリア。
前半に石畳の登り、強風と滑る路面が連続する難コースを軽量かつ反応性に優れるShiv TTで走り切った。 Photo:© 2020 Getty Images

Shiv TTをチェックする>

グランツールデビュー初日の上位入賞はアルメイダに自信をもたらした。2日目の登りフィニッシュではチームメイトのミケルフレーリク・ホノレ(デンマーク)が3位に入った。第3ステージを繰り上がりのヤングライダー賞ジャージ「マリアビアンカ」でスタートしたアルメイダは、特別な思いで1級山岳エトナ山を走っていた。ジロのリーダージャージ、バラ色の「マリアローザ」を最後に着用したポルトガル人選手アカシア・ダルバは、エトナの登りを制して総合首位に立った。31年前、アルメイダが生まれる9年も前のことだ。自分も続くことができるだろうか。

ブエルタ・ア・ブルゴス、ジロ・デッレミリア、そしてセッティマーナ・コッピエバルタリでは総合表彰台に登り、プロ1年目の選手としては申し分ない戦果を残してきた。だが世界最高峰のステージレースであるグランツールで、どこまで戦えるか。雨が打ち付ける長い登りで、総合優勝候補達によるアタックと牽制が繰り返される。ライバル達に遅れを取りながらも、アルメイダは乱されることなく自分の走りを貫いた。その冷静な走りが、マリアローザを引き寄せた。

 


雨のエトナ山をTarmac SL7で登るアルメイダ。苦しそうな表情を見せながらも、着実にペダルを回す。Photo: © 2020 Getty Images

初日の個人タイムトライアルで稼いだ僅かなタイム差で射止めたマリアローザ。リーダーチームとしてのドゥクーニンク・クイックステップの戦いが始まった。初めてグランツールのリーダージャージに袖を通したアルメイダを、「ウルフパック」は彼ららしい明るさと厳しさで守った。

マリアローザ着用初日の第4ステージ、スタート前のピーター・セリー(ベルギー)のTwitter。
「僕達のピンクパンサーを守る用意はできているよ」

第4ステージでは中間スプリントポイントのボーナスタイム奪取のお膳立てをしつつ、ダヴィデ・バッレリーニ(イタリア)が最終スプリントに参加し僅差で3位に入るなど、ステージ勝利も貪欲に追い求めた。第7ステージではスタート直後から横風を利用した分断を仕掛けるなど、守るだけではなく攻めの走りも見せた。秋開催となり低い気温と冷たい雨に晒された9日目、最後の1級山岳ロッカラーゾでもアルメイダは粘りの走りを見せ、ポルトガル人のマリアローザ着用記録を着実に伸ばしていく。

 

第5ステージ、雨に包まれた1級山岳ヴァリコ・ディ・モンテスクーロをメイン集団内で登り切ったアルメイダ。
この時使用していたAlpinist CLXは前後で1,248gという軽さと推進性に優れたホイール。マリアローザを守る力強い走りを後押しした。

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第9ステージも冷たい雨の中での戦いとなった。登りでタイムを失いながらも、マリアローザを死守。Photo: © 2020 Getty Images

落車、そして新型コロナウイルス感染症検査陽性で有力選手達が姿を消す中、アルメイダとドゥクーニンク・クイックステップは集中してレースを進めた。危険な逃げを封じ込め、積極的にボーナスタイムを狙っていく。ステージ勝利に絡めるチャンスも逃さず、第11ステージではホッジが区間3位に入った。
特に強さを見せたのはファウスト・マスナダ(イタリア)とジェームズ・ノックス(イギリス)のコンビで、若きエースを孤立させず、支え続けた。


このジロではアルメイダのアシストに徹したノックス。クライマーながら平坦でも先頭を牽く強さを見せた。Photo: © 2020 Getty Images

個人タイムトライアルを得意とし、オールラウンダーとしてはスプリントに強いアルメイダ。自分の主戦場ではチームの助けを借りながら大胆に攻め、好機を逃さずにリードを奪った。長い登りではタイムを失いつつも、決して追い込み過ぎないクレバーな走りでロスを最小限に抑えた。
そして、ウルフパック達のマリアローザ防衛戦は最終週に突入する。


チャンスを逃さず攻めるアルメイダ。第16ステージではフィニッシュ手前最後の激坂でアタック、タイムを稼いだ。Photo: © 2020 Getty Images

難関山岳ステージの度にマリアローザを失うと予想されながら、総合首位を守り続けてきたドゥクーニンク・クイックステップ。コース変更により最難関ステージに変わった第18ステージが正念場となった。
雪が積もる大会最高地点「チーマコッピ」、標高2,758mのステルヴィオ峠はあまりにも過酷で、戦う相手は強すぎた。遠ざかっていくライバル達の背中を見送りながら、アルメイダは長く着用してきたマリアローザを手放す覚悟を決めた。
だが最後まで諦めなかった。ステルヴィオ峠の頂上では家族や母国ポルトガルのファンが声援を送ってくれたし、マスナダは何度も遅れながらも可能な限り側に留まろうとしてくれた。

 

 


マリアローザを守れなかったと言うマスナダに感謝を伝えるアルメイダ。

先頭から4分51秒遅れ、ヴィンツェンォ・ニバリ(イタリア/トレック・セガフレード)とともにフィニッシュに辿り着いたアルメイダは、総合5位まで順位を下げた。

「今日は自分とアルメイダにとっては良い日ではなかったが、全てを出し尽くすことが大事なんだ」
現役選手では数少ない全グランツール覇者のニバリが、温かい言葉をアルメイダに贈る。

マリアローザを失ってもウルフパックの戦いは終わらない。急遽短縮が決まった第19ステージを終え、第20ステージはセストリエーレ峠を3度登る最終山岳ステージ。この日、ドゥクーニンク・クイックステップはステージ勝利を狙ってバッレリーニ、ホノレ、そしてセリーの3人を逃げに送り込み、積極的に牽引した。
メイン集団は登りで分裂。ローハン・デニス(オーストラリア/イネオス・グレナディアーズ)が凄まじいペースを刻んで形成した追走グループを、ノックスがアルメイダのために先頭に立って追う。逃げていたセリーはデニス達に吸収された後、集団には戻らず前でアルメイダを待った。やがてノックス達のところから飛び出しブリッジをかけてきたアルメイダを、セリーが最後の力を使って引き上げる。

まさに総力戦だった。アルメイダは区間4位に入り、この日マリアローザを着用していたウィルコ・ケルデルマン(オランダ/サンウェブ)から34秒を奪うことに成功した。


セストリエーレ峠の下りで先行したバッレリーニと前待ちでアルメイダをアシストしたセリー。
ともに最後まで逃げグループで粘り続けた。Photo:© 2020 Getty Images


ノックスとマスナダがアルメイダを牽く。
この日は登坂とダウンヒルの連続。軽くハンドリング性能に優れたTarmac SL7が大きな助けになったはず。
Photo:© 2020 Getty Images


チームメイト達のアシストを受け、最後は自らの脚でフィニッシュを目指すアルメイダ。Photo:© 2020 Getty Images

ツール・ド・フランス閉幕から10日余りで始まった今季2戦目のグランツール、ジロ・デ・イタリア。エヴェネプールをエースに総合上位―もしかしたら総合優勝かもしれない―を目指して戦う予定だったドゥクーニンク・クイックステップは、あらゆる地形と展開に対応できる強いチームを送り込んでいた。そして、誰一人欠けることなくミラノまで走り抜けた。

U23の選手としては史上最長となるアルメイダの15日間のリーダージャージ着用は、2019年ツール・ド・フランスでのジュリアン・アラフィリップ(フランス)のマイヨジョーヌ着用14日間を超える記録だ。第21ステージの個人タイムトライアルまで毎日全力を尽くし、全ステージを30位以内でフィニッシュ。初のグランツールを総合4位で締めくくった。


最終日もShiv TTで区間4位に入る力走を見せたアルメイダ。総合順位を1つ上げて総合4位に。Photo:© 2020 Getty Images

「マリアローザを着用した日々は、バラ色の夢だった。それを支えてくれた素晴らしいチームがいたことを誇りに思う」
アルメイダは若く、その才能は底知れない。これから何色の夢だって、見ることができるだろう。


チームと共に全力で挑んだ初のグランツールは、アルメイダを大きく成長させたに違いない。Photo: © 2020 Getty Images

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※Tarmac SL7の品薄状態が続いており、ご迷惑をお掛けしております。モデルやサイズによっては正規販売店に在庫があるものもございます。各店舗へお問い合わせください。

スペシャライズド正規販売店検索はこちら>

【筆者紹介】
文章:池田 綾(アヤフィリップ)
サイクリングライター。若い選手達が大活躍だった今年のジロ、その中でもアルメイダは素晴らしい走りを見せてくれました。リーダーチームとしてレースを作ったウルフパックも頼もしく、これからのグランツールでの存在感が増しそうで楽しみです。
池田綾さんの記事をチェック>

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Live the Pink Dream―Tarmac SL7、Shiv TTとドゥクーニンク・クイックステップのジロ・デ・イタリア2020

2020/11/06

Live the Pink Dream―Tarmac SL7、Shiv TTとドゥクーニンク・クイックステップのジロ・デ・イタリア2020

夢に見たバラ色のジャージの日々。若きホアン・アルメイダ(ポルトガル)と「ウルフパック」達が駆けた21日間を振り返ります。

世界的なパンデミックの影響により、当初のスケジュールから約5ヶ月遅れでスタートしたジロ・デ・イタリア。開幕地もハンガリーからイタリア・シチリア島に移った。
そこにロードレース界の至宝、レムコ・エヴェネプール(ベルギー)の姿はない。このジロでグランツールデビューを飾るはずだった若き天才は、8月のイル・ロンバルディアで負った大怪我からの復帰途上にあった。

屋外トレーニングを再開できるまで回復したエヴェネプール。おそらく来季、初のグランツールを走ることになるだろう。

リハビリを経て、ようやくロードバイクでのトレーニングを開始したばかりのエヴェネプールに代わってシチリアに降り立ったのは、当初ブエルタ・ア・エスパーニャに参戦予定だったホアン・アルメイダ(ポルトガル)。キャリア初のグランツールに挑むアルメイダとコロンビアンスプリンターのアルバロホセ・ホッジを、チーム最年長の大ベテランであるイーリョ・ケイセ(ベルギー)はじめ経験豊富なメンバーがサポートする布陣が組まれた。
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昨年は未勝利のまま終わった「イタリア一周レース」だったが、今年は初日から勝利のチャンスが訪れた。初日の個人タイムトライアルで、アルメイダが長時間に渡って暫定首位をマークしたのだ。アルメイダは前週の世界選手権で優勝したフィリッポ・ガンナ(イタリア/イネオス・グレナディアーズ)に22秒遅れの2位でステージを終えた。


個人タイムトライアルで開幕した2020年のジロ・デ・イタリア。
前半に石畳の登り、強風と滑る路面が連続する難コースを軽量かつ反応性に優れるShiv TTで走り切った。 Photo:© 2020 Getty Images

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グランツールデビュー初日の上位入賞はアルメイダに自信をもたらした。2日目の登りフィニッシュではチームメイトのミケルフレーリク・ホノレ(デンマーク)が3位に入った。第3ステージを繰り上がりのヤングライダー賞ジャージ「マリアビアンカ」でスタートしたアルメイダは、特別な思いで1級山岳エトナ山を走っていた。ジロのリーダージャージ、バラ色の「マリアローザ」を最後に着用したポルトガル人選手アカシア・ダルバは、エトナの登りを制して総合首位に立った。31年前、アルメイダが生まれる9年も前のことだ。自分も続くことができるだろうか。

ブエルタ・ア・ブルゴス、ジロ・デッレミリア、そしてセッティマーナ・コッピエバルタリでは総合表彰台に登り、プロ1年目の選手としては申し分ない戦果を残してきた。だが世界最高峰のステージレースであるグランツールで、どこまで戦えるか。雨が打ち付ける長い登りで、総合優勝候補達によるアタックと牽制が繰り返される。ライバル達に遅れを取りながらも、アルメイダは乱されることなく自分の走りを貫いた。その冷静な走りが、マリアローザを引き寄せた。

 


雨のエトナ山をTarmac SL7で登るアルメイダ。苦しそうな表情を見せながらも、着実にペダルを回す。Photo: © 2020 Getty Images

初日の個人タイムトライアルで稼いだ僅かなタイム差で射止めたマリアローザ。リーダーチームとしてのドゥクーニンク・クイックステップの戦いが始まった。初めてグランツールのリーダージャージに袖を通したアルメイダを、「ウルフパック」は彼ららしい明るさと厳しさで守った。

マリアローザ着用初日の第4ステージ、スタート前のピーター・セリー(ベルギー)のTwitter。
「僕達のピンクパンサーを守る用意はできているよ」

第4ステージでは中間スプリントポイントのボーナスタイム奪取のお膳立てをしつつ、ダヴィデ・バッレリーニ(イタリア)が最終スプリントに参加し僅差で3位に入るなど、ステージ勝利も貪欲に追い求めた。第7ステージではスタート直後から横風を利用した分断を仕掛けるなど、守るだけではなく攻めの走りも見せた。秋開催となり低い気温と冷たい雨に晒された9日目、最後の1級山岳ロッカラーゾでもアルメイダは粘りの走りを見せ、ポルトガル人のマリアローザ着用記録を着実に伸ばしていく。

 

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第9ステージも冷たい雨の中での戦いとなった。登りでタイムを失いながらも、マリアローザを死守。Photo: © 2020 Getty Images

落車、そして新型コロナウイルス感染症検査陽性で有力選手達が姿を消す中、アルメイダとドゥクーニンク・クイックステップは集中してレースを進めた。危険な逃げを封じ込め、積極的にボーナスタイムを狙っていく。ステージ勝利に絡めるチャンスも逃さず、第11ステージではホッジが区間3位に入った。
特に強さを見せたのはファウスト・マスナダ(イタリア)とジェームズ・ノックス(イギリス)のコンビで、若きエースを孤立させず、支え続けた。


このジロではアルメイダのアシストに徹したノックス。クライマーながら平坦でも先頭を牽く強さを見せた。Photo: © 2020 Getty Images

個人タイムトライアルを得意とし、オールラウンダーとしてはスプリントに強いアルメイダ。自分の主戦場ではチームの助けを借りながら大胆に攻め、好機を逃さずにリードを奪った。長い登りではタイムを失いつつも、決して追い込み過ぎないクレバーな走りでロスを最小限に抑えた。
そして、ウルフパック達のマリアローザ防衛戦は最終週に突入する。


チャンスを逃さず攻めるアルメイダ。第16ステージではフィニッシュ手前最後の激坂でアタック、タイムを稼いだ。Photo: © 2020 Getty Images

難関山岳ステージの度にマリアローザを失うと予想されながら、総合首位を守り続けてきたドゥクーニンク・クイックステップ。コース変更により最難関ステージに変わった第18ステージが正念場となった。
雪が積もる大会最高地点「チーマコッピ」、標高2,758mのステルヴィオ峠はあまりにも過酷で、戦う相手は強すぎた。遠ざかっていくライバル達の背中を見送りながら、アルメイダは長く着用してきたマリアローザを手放す覚悟を決めた。
だが最後まで諦めなかった。ステルヴィオ峠の頂上では家族や母国ポルトガルのファンが声援を送ってくれたし、マスナダは何度も遅れながらも可能な限り側に留まろうとしてくれた。

 

 


マリアローザを守れなかったと言うマスナダに感謝を伝えるアルメイダ。

先頭から4分51秒遅れ、ヴィンツェンォ・ニバリ(イタリア/トレック・セガフレード)とともにフィニッシュに辿り着いたアルメイダは、総合5位まで順位を下げた。

「今日は自分とアルメイダにとっては良い日ではなかったが、全てを出し尽くすことが大事なんだ」
現役選手では数少ない全グランツール覇者のニバリが、温かい言葉をアルメイダに贈る。

マリアローザを失ってもウルフパックの戦いは終わらない。急遽短縮が決まった第19ステージを終え、第20ステージはセストリエーレ峠を3度登る最終山岳ステージ。この日、ドゥクーニンク・クイックステップはステージ勝利を狙ってバッレリーニ、ホノレ、そしてセリーの3人を逃げに送り込み、積極的に牽引した。
メイン集団は登りで分裂。ローハン・デニス(オーストラリア/イネオス・グレナディアーズ)が凄まじいペースを刻んで形成した追走グループを、ノックスがアルメイダのために先頭に立って追う。逃げていたセリーはデニス達に吸収された後、集団には戻らず前でアルメイダを待った。やがてノックス達のところから飛び出しブリッジをかけてきたアルメイダを、セリーが最後の力を使って引き上げる。

まさに総力戦だった。アルメイダは区間4位に入り、この日マリアローザを着用していたウィルコ・ケルデルマン(オランダ/サンウェブ)から34秒を奪うことに成功した。


セストリエーレ峠の下りで先行したバッレリーニと前待ちでアルメイダをアシストしたセリー。
ともに最後まで逃げグループで粘り続けた。Photo:© 2020 Getty Images


ノックスとマスナダがアルメイダを牽く。
この日は登坂とダウンヒルの連続。軽くハンドリング性能に優れたTarmac SL7が大きな助けになったはず。
Photo:© 2020 Getty Images


チームメイト達のアシストを受け、最後は自らの脚でフィニッシュを目指すアルメイダ。Photo:© 2020 Getty Images

ツール・ド・フランス閉幕から10日余りで始まった今季2戦目のグランツール、ジロ・デ・イタリア。エヴェネプールをエースに総合上位―もしかしたら総合優勝かもしれない―を目指して戦う予定だったドゥクーニンク・クイックステップは、あらゆる地形と展開に対応できる強いチームを送り込んでいた。そして、誰一人欠けることなくミラノまで走り抜けた。

U23の選手としては史上最長となるアルメイダの15日間のリーダージャージ着用は、2019年ツール・ド・フランスでのジュリアン・アラフィリップ(フランス)のマイヨジョーヌ着用14日間を超える記録だ。第21ステージの個人タイムトライアルまで毎日全力を尽くし、全ステージを30位以内でフィニッシュ。初のグランツールを総合4位で締めくくった。


最終日もShiv TTで区間4位に入る力走を見せたアルメイダ。総合順位を1つ上げて総合4位に。Photo:© 2020 Getty Images

「マリアローザを着用した日々は、バラ色の夢だった。それを支えてくれた素晴らしいチームがいたことを誇りに思う」
アルメイダは若く、その才能は底知れない。これから何色の夢だって、見ることができるだろう。


チームと共に全力で挑んだ初のグランツールは、アルメイダを大きく成長させたに違いない。Photo: © 2020 Getty Images

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※Tarmac SL7の品薄状態が続いており、ご迷惑をお掛けしております。モデルやサイズによっては正規販売店に在庫があるものもございます。各店舗へお問い合わせください。

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【筆者紹介】
文章:池田 綾(アヤフィリップ)
サイクリングライター。若い選手達が大活躍だった今年のジロ、その中でもアルメイダは素晴らしい走りを見せてくれました。リーダーチームとしてレースを作ったウルフパックも頼もしく、これからのグランツールでの存在感が増しそうで楽しみです。
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