SBCU先生の知られざる名品を探して: COMP MTB シューズ
知られざる名品、COMP MTB シューズ。XCライダー、シクロクロッサー、トレイルハンターにおすすめの一品です。
まさに知られざる名品と言えそうです。トレイルはもとよりXCレースやシクロクロスでも威力を発揮するシューズです。その秘密はソールにあり。ナイロン複合素材のアウトソールが絶妙なしなりを生むので歩行やランニングの衝撃を和らげてくれます。さらにトレッドに採用したスリップノット・ラバーが滑りやすい木の根や濡れたアスファルトでも絶妙にグリップ。これら2つの要素がペダリング効率を妨げずに、バイクを降りたライダーをサポートしてくれます。スリップノットはSワークス・ターボタイヤのコンパウンドであるグリプトンの開発から生まれました。タイヤで証明された高いグリップを生むコンパウンド調合のノウハウをシューズのトレッドに惜しみなく投入したのです。
先日、小雨が降るシクロクロスのレースで使用した際には、コンクリートの階段でもしっかりグリップが残っており、かつスピードを緩めることなく乗り降りをスムースにこなせました。しかも、小雨にも関わらず、ゴール後、トレッドの泥詰まりがほとんど見られませんでした。おそらくスリップノットの素材特性が利いていると思われます。トレッドノブが高い柔軟性でしなることによってノブ間に詰まった泥を排出する、セルフクリーニング的な機能を発揮したのでしょう。
シクロクロスバイクはサスペンションがないので、路面からの衝撃がダイレクトにライダーに伝わります。そのため、バイクとライダーの間にあるシューズは衝撃からライダーを守る重要な装置となります。本製品はソール硬度指数が6.0で(スペシャライズド独自の基準)、適度なしなりが板バネのように働き、ペダリングを止めてスタンスをとった際や、接地時の入力を和らげてくれます。
ペダリングと歩行(ラン)機能の両立という意味では、フットベッドの存在も重要でしょう。アーチ(土踏まず)を保持するペダリングと、アーチがつぶれる必要がある歩行、両方の運動が求められるマウンテンバイクやシクロクロスでは、そのどちらに重きを置いてフットベッドを選ぶかという選択が求められます。本製品はトゥボックスが広いのでつま先に十分な余裕があり、歩行やランの際にもつま先を動かしてグリップを確保する動作が可能です。従ってフットベッドはアーチ高優先のペダリング重視とすることが出来るので、歩行(ラン)とペダリングのどちらも犠牲にすることがありません。
ちなみに筆者の場合は、アーチが最も高いグリーン(+++)のフットベッドを使用していますが、歩行時の違和感はほとんどなく、むしろ硬いソールのシューズよりも快適です。さらにハードパックや砂利の路面では、つま先のトゥスタッドは標準のプラスチック製のものを外し、トレッドノブが路面に直接接地するようにセットすると、さらにグリップ感が向上しますよ。
オフロード走行はバイクもエキップメントもコンディションに合わせた選択が求められますが、シューズを1つだけ選べ、と問われれば迷わず本製品を選ぶでしょう。もちろん、押し担ぎの無いコースではSワークスシューズがペダリングに有効であることに変わりありませんが、使い分けや選択が重要でしょう。
エクスペリエンス(用途)にあわせたモノ選びを突き詰めると、意外や意外、ヒエラルキーでは下位に位置する製品に軍配があがるという点は、スペシャライズドならではの機能性、ワイドなラインナップによる賜物と言えそうです。おまけに財布にもやさしい点も見逃せませんよ。XCライダー、シクロクロッサー、トレイルハンターにおすすめの一品です。
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