Tarmac Disc、Venge、Shiv TTで魅せた!ボーラ・ハンスグローエのブエルタ・ア・エスパーニャ2019

2019/09/19

Tarmac Disc、Venge、Shiv TTで魅せた!ボーラ・ハンスグローエのブエルタ・ア・エスパーニャ2019

グランツール最終戦、ブエルタ・ア・エスパーニャ。ボーラ・ハンスグローエが戦った21日間を、選手達の横顔とともに振り返ります。

■ブエルタ・ア・エスパーニャとは
ロードレース最高峰と言われるグランツール。ジロ・デ・イタリア、ツール・ド・フランス、そしてブエルタ・ア・エスパーニャ。「スペイン一周」という名を持つシーズン最終戦は山岳の過酷さで知られている。2019年も8つの山頂フィニッシュステージを筆頭に厳しい山岳ステージが選手達を待ち受ける。平坦ステージといえどフィニッシュ手前に登りが設定されていたり、獲得標高が2000mを超えていたりするため、油断はできない。


ブエルタはシーズン後半戦のハイライト。身体には疲労が蓄積されているはずだが、選手達は元気いっぱいだ。Photo:©VeloImages

ボーラ・ハンスグローエのブエルタでの目標は2つ。1つはサム・ベネット(アイルランド)のスプリント勝利。もう1つはラファウ・マイカ(ポーランド)の総合成績だ。スプリントと総合のミックスという編成は、ジロ、そしてツールに続くこのチーム定番の構成となっている。
ステージ2勝と総合6位を持ち帰ったボーラ・ハンスグローエのブエルタを、印象的だったステージを中心に振り返っていこう。

■第3の男、スペインへ降り立つ
サム・ベネット。ペテル・サガン(スロバキア)、パスカル・アッカーマン(ドイツ)と並ぶボーラ・ハンスグローエのエーススプリンター。昨年ジロ・デ・ イタリアでエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア/ ドゥクーニンク・クイックステップ)とポイント賞を争った彼は、今年はチームの方針で最終戦であるブエルタ・ア・エスパーニャまでグランツール出場を待たなければならなかった。
今年のナショナル選手権でアイルランド王者となったベネットは、国旗とシャムロック(三つ葉のクローバー)をあしらったナショナルチャンピオンジャージを着てスペインへやって来た。彼にとっては初めてのブエルタだ。


おなかにシャムロックがデザインされたアイルランドチャンピオンジャージはベネットのお気に入り。Photo:©Bettiniphoto

ベネットは最初の平坦ステージである第3ステージ、集団スプリントを制して早速1勝。今大会最強スプリンターと呼ばれるプレッシャーの中で掴んだ勝利だった。この日は第2ステージでリーダージャージ「マイヨロホ(スペイン語で赤いジャージの意)」を勝ち取ったニコラス・ロッシュ(チーム・サンウェブ)も首位を守り、アイルランド人2人が表彰台に上がることになった。



勝利後、「まずは1勝できて安心した」と語ったベネット。これが自身のシーズン12勝目。使用バイクはもちろんVenge。Photo:©CyclingImages

アイルランドデーとなった第3ステージ後の喜びツイート。
「アイルランドにとって素晴らしい日」と喜びを分かち合うベネットとロッシュ。チームは違えど同郷の絆は強い。

翌第4ステージではファビオ・ヤコブセン(オランダ/ ドゥクーニンク・クイックステップ)に僅差で敗れたものの、ポイント賞首位を獲得。第5ステージは緑色のポイント賞ジャージ「マイヨプントス(プントスはスペイン語でポイントの意)」で出走する。これでボーラ・ハンスグローエは2019年開催のグランツール全てでポイント賞ジャージを着用したチームとなった。



ベネットがマイヨプントスを着用したのは第5ステージから第7ステージまでと短い。(第7ステージ終了時キンタナに逆転されジャージを脱ぐことに )Photo:©CyclingImages

ベネットがマイヨプントスを獲得できれば、ボーラ・ハンスグローエによるポイント賞グランドスラムの完成だった。しかしブエルタではスプリンターがポイント賞を獲得するのは至難の業だ。というのも、ブエルタでは平坦ステージでも山岳ステージでもポイントが同率で設定されている。レースが進むにつれ厳しい山岳が続々と登場し、スプリンター達が集団最後尾のグルペット(時間内完走を目指す選手達がチームの枠を超えて形成する集団)で走る一方、総合上位を争う選手達がポイントを重ねていく。今年も最終的にマイヨプントスを持ち帰ったのは、総合優勝のプリモシュ・ログリッチ(スロベニア/ チームユンボ・ヴィスマ)だった。

過酷な山岳ステージでは、最初からグルペットで走る戦略を取らざるを得ない。ベネットは数少ない勝利の機会である平坦ステージを待ちながらレースをこなしていく。持ち前の明るさを周囲に振りまき、観客やファンを楽しませることも忘れない。

アイルランドチャンピオンジャージでウィリーするベネット。レース後半では繰り上げでマイヨプントスを着用できる機会もあったが、ベネットはナショナルチャンピオンジャージの着用を優先している。


第9ステージはアンドラを走る過酷な山岳ステージ。「残念ながら、自分は全くチームの役には立たないお荷物!」とお茶目なツイート。

そして、待ちに待ったスプリントステージである第14ステージ。集団スプリントに向けてペースを上げる集団で大落車が発生するものの、先頭付近に上がっていたベネットは難を逃れ、2位以下に大きな差をつけながら悠々とゴール。ブエルタ2勝目を手にした。



ライバル達が落車分断により後方に取り残されたため、ベネットが余裕の勝利。これでシーズン13勝目。Photo:©CyclingImages

第17ステージも勝利を狙える平坦ステージ。しかし219.6qという今大会最長ステージを走るこの日は強い横風が吹いており、単純な集団スプリントにはならないと思われた。そこでベネットは前方に位置取り、ライバルチームが仕掛けた横風分断により出来上がった巨大な逃げグループに入り込む。最終的には数の利を活かしたドゥクーニンク・クイックステップにステージ勝利を奪われ2着となったが、冴えた勝負勘を見せた。

 

この日はフィリップ・ジルベール(ベルギー/ ドゥクーニンク・クイックステップ)の後塵を拝することに。なんと新しいEvade ll With ANGiには前の選手とのシンクロ機能が備わっている!?

ANGiセンサー付きヘルメットについて>
助けを呼ぶANGiセンサーヘルメットとスペシャライズドRideアプリについてのFAQ

強い風が吹いていることをベネットは事前に知っていた…はずなのに「今日は風がないらしいよ」と盛大にすっとぼけ。2コマ目の「してやったり」な笑顔に注目。

第19ステージ、そして最終日の第21ステージもベネットにとってはチャンスの日だったが、いずれもドゥクーニンク・クイックステップに敗れ2着、勝利を逃してしまう。ステージ2勝という結果は十分賞賛に値するが、ベネットにとっては少々フラストレーションの残るブエルタになったかもしれない。
なお、ベネットは第14ステージでの勝利により、2019シーズン最多勝利選手となっている。(2019年9月17日時点情報)

総合勢の最終決戦となる第20ステージは出走サインの段階から「グルペットに出走サイン…」と割り切っていた。

余談だが、今大会でベネットの発射台を担ったシェーン・アーチボルト(ニュージーランド)をご存じだろうか。
一目見たら忘れられない個性的な髪型の選手である。後ろから見るとダニエス・オス(イタリア)にそっくりなので要注意。



プロトンでもひときわ目立つ髪型のアーチボルト。オスがブエルタに出ている!と思った方もいたのでは。Photo:©Bettiniphoto


ただのロングヘアではない!おそらくプロトンで最もイケてる髪型を要チェック。Photo:©Bettiniphoto

第13ステージのスタート地点、サン・マメス。地元サッカーチーム・アスレティックビルバオのホームスタジアムでサッカーに興じるアーチボルト。お相手はピエール・ラトゥール(フランス/ アーゼードゥゼール・ラ・モンディアル)。

■マイカの挑戦
今シーズン最大の目標であったジロ・デ・イタリアを総合6位で終えたマイカの今シーズンもう一つの目標は、ジロ以上に厳しい山岳が待ち受けるブエルタでの総合上位入賞。マイカはジロ閉幕後、休養を経てトレーニングと前哨戦ツール・ド・ポローニュで調整を行い、スペインの地へ乗り込んできた。


ツールをスキップし、ジロとブエルタを今シーズンのターゲットに据えたマイカ。今年のゼッケンナンバー1、地元スペイン出身の偉大な世界王者バルベルデはリスペクトすべき先輩でありライバルだ。Photo:©CyclingImages

初日のチームタイムトライアルは5位。個人総合28位でスタートし、第2ステージ以降は上位でのフィニッシュを続け、マイカは常に総合10位以内に留まり続けた。
最終的な総合順位はジロと同じ6位。「負けない走り」。そんな言葉が浮かんでくるような安定感のある走りだった。


山岳が主戦場のマイカにとって、ブエルタのハードな山岳ステージはむしろ望むところ。Photo:©Bettiniphoto

マイカが好調だった一方、チームは開幕早々逆境に直面した。ツール・ド・フランスで総合4位に入ったエマニュエル・ブッフマン(ドイツ)を支えたグレゴール・ミュールベルガー(オーストリア)が不調により第5ステージでリタイアすると、ジロでマイカを助けたダヴィデ・フォルモロ(イタリア)も第6ステージの落車で負傷、翌日レースを去ってしまう。
1週目にして山岳でマイカのアシストができるメンバーがパウェル・ポリャンスキー(ポーランド)とフェリクス・グロスチャートナー(オーストリア)のみという危機的状況。しかしマイカとポリャンスキー、そしてグロスチャートナーは見事なチームワークを見せる。

第13ステージではグロスチャートナーが逃げに乗り「前待ち」の役割を、ポリャンスキーが勝負所までのエスコート役を担い、最大勾配が25%に達する超級山岳ロス・マチュコスを攻略。難関ステージを上手に乗り切っている。


今大会でマイカの両腕として活躍したポリャンスキー(左)とグロスチャートナー(右)。Photo:©Bettiniphoto

横風分断が発生した第17ステージでは逃げ集団に入れず順位を下げてしまったが、4つの1級山岳が連続する翌第18ステージでは自らアタックを仕掛け展開を作り、ステージ4位でフィニッシュし挽回。第20ステージではポリャンスキーとグロスチャートナーのアシストに応えるためステージ勝利を狙い、終始積極的な走りを見せた。ステージ勝利は逃したが、マイヨロホグループに食らいつきステージ3位でゴールしている。


第20ステージでマイカのために先頭を牽くグロスチャートナー。フォルモロとミュールベルガーの抜けた穴をカバーした。余談だが、八重歯がチャームポイント。Photo:©Bettiniphoto

他の総合系チームと比較して明らかに手薄な布陣にも関わらず、よく健闘したと言えるだろう。このブエルタで後半にかけて調子を上げてきたマイカは今月末イギリス・ヨークシャーで開催される世界選手権のポーランド代表メンバーに選出されている。

マイカは総合エースだが、スプリントステージではベネットのために仕事をしており、第21ステージではマドリード周回で集団先頭を牽引する姿を見せていた。ボーラ・ハンスグローエは「絆で結ばれた兄弟」という意味のBand of Brothersというスローガンを掲げているが、マイカの走りはそのスローガンを体現していると言える。
リーダーとしてチームの雰囲気作りにも貢献。レース中の精悍な表情からは想像できないコミカルな表情を見せるSNSを是非チェックしてほしい。

今大会屈指の難ステージだった第15ステージを乗り切った後の表情。「キツかった、でも生き残った!」

最終日第21ステージ、チームバスを盛り上げるマイカ。ノリノリ!

マイカはブエルタ期間中の9月12日に30歳の誕生日を迎えている。チームから贈られたケーキにこの表情!

■ボーラ・ハンスグローエを支えたスペシャライズドバイク
ジロ、そしてツールに続きブエルタでもスプリントと総合の両立を目指したボーラ・ハンスグローエ。平坦ステージではVenge、丘陵・山岳ステージではTarmac Disc、そしてタイムトライアルステージではShiv TTとバイクを使い分け、21日間を戦い抜いた。

新型Shiv TTについて>


 


第1ステージと第10ステージに登場したShiv TT。抜群のエアロ性能を誇る。Photo:©Bettiniphoto

スプリンターのよき相棒となるVengeはベネットを支えた。特にブエルタのような平坦ステージであっても登りが多く登場するようなレースでは、Vengeの登坂力は大きな武器になる。スプリントでの鋭い加速は言わずもがなだ。

新しいVengeについて詳しく>
Vengeをオンラインストアでチェック>
Vengeが最も優れたエアロロードバイクとして認定!サイクルスポーツ『エアロロード大研究2019』はこちらから>


 


スプリンターと言えど登りをこなせなければ生き残れないブエルタ。登坂とスプリントを両立できるVengeはベネットを大いに助けた。ウィリーにも最適⁉ Photo:©VeloImages

Tarmac Discはブエルタに登場するような厳しい山岳の攻略には欠かせない存在だ。軽く、そしてよく進む。登った後の下りではスルーアクスルの剛性がコントロール性を高めており、隙がない。

Tarmac Discについて>
Tarmac Discをオンラインストアでチェックする>
乗って実感!やっぱり“S-Works” Tarmac Discはスゴかった!>


登りと下りに強いTarmac Disc。特に山岳ステージでは頼りになる。Photo:©Bettiniphoto

そして、すべてのステージで使用したRoval CLX Discホイールも選手たちの走りを支えたのは間違いない。このブエルタでもRoval CLX50 Discホイールは7勝を獲得し、その性能の高さを実証した。多くのディープリムより空力性能に優れ、ハンドリング性は秀逸、そしてヒルクライムも余裕でこなせるほど軽く、他のどのホイールよりも多くの勝利を手にしています。

今ならRoval CLX Discホイールを試せます>


ウォーミングアップ中のボーラの選手たち。あらゆるコンディションで使えるオールラウンドのホイールRoval CLX50ホイールを選択。Photo:©CyclingImages

グランツール最終戦を駆け抜けたボーラ・ハンスグローエとスペシャライズドバイク。あらゆる局面に対応するラインナップと性能で、シーズン終盤戦も勝利に貢献していく。

 

【筆者紹介】
池田 綾(アヤフィリップ)
サイクリングライター。ベネット、マイカの好走はもちろん、選手達のSNSでの面白さに注目してしまったブエルタ。ボーラってこんなに楽しいチームだったのですね!個人的にはマイカさんを支え活躍したグロスチャートナーに注目。八重歯がキュートな25歳、逃げに乗ったり前待ちしたりと見せ場多数でした!

関連記事:
二兎を追う者が二兎を得る―Tarmac Disc、Venge、Shiv TT Discで駆け抜けたツール・ド・フランス2019A(2019年8月18日)
狼達はマイヨジョーヌの夢を見るか―Tarmac Disc、Venge、Shiv TT Discで駆け抜けたツール・ド・フランス2019@(2019年8月9日)
ジロ・デ・イタリア2019を駆け抜けたスペシャライズドバイクとボーラ・ハンスグローエ(2019年6月12日)

2019/09/19

Tarmac Disc、Venge、Shiv TTで魅せた!ボーラ・ハンスグローエのブエルタ・ア・エスパーニャ2019

グランツール最終戦、ブエルタ・ア・エスパーニャ。ボーラ・ハンスグローエが戦った21日間を、選手達の横顔とともに振り返ります。

Tarmac Disc、Venge、Shiv TTで魅せた!ボーラ・ハンスグローエのブエルタ・ア・エスパーニャ2019

■ブエルタ・ア・エスパーニャとは
ロードレース最高峰と言われるグランツール。ジロ・デ・イタリア、ツール・ド・フランス、そしてブエルタ・ア・エスパーニャ。「スペイン一周」という名を持つシーズン最終戦は山岳の過酷さで知られている。2019年も8つの山頂フィニッシュステージを筆頭に厳しい山岳ステージが選手達を待ち受ける。平坦ステージといえどフィニッシュ手前に登りが設定されていたり、獲得標高が2000mを超えていたりするため、油断はできない。


ブエルタはシーズン後半戦のハイライト。身体には疲労が蓄積されているはずだが、選手達は元気いっぱいだ。Photo:©VeloImages

ボーラ・ハンスグローエのブエルタでの目標は2つ。1つはサム・ベネット(アイルランド)のスプリント勝利。もう1つはラファウ・マイカ(ポーランド)の総合成績だ。スプリントと総合のミックスという編成は、ジロ、そしてツールに続くこのチーム定番の構成となっている。
ステージ2勝と総合6位を持ち帰ったボーラ・ハンスグローエのブエルタを、印象的だったステージを中心に振り返っていこう。

■第3の男、スペインへ降り立つ
サム・ベネット。ペテル・サガン(スロバキア)、パスカル・アッカーマン(ドイツ)と並ぶボーラ・ハンスグローエのエーススプリンター。昨年ジロ・デ・ イタリアでエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア/ ドゥクーニンク・クイックステップ)とポイント賞を争った彼は、今年はチームの方針で最終戦であるブエルタ・ア・エスパーニャまでグランツール出場を待たなければならなかった。
今年のナショナル選手権でアイルランド王者となったベネットは、国旗とシャムロック(三つ葉のクローバー)をあしらったナショナルチャンピオンジャージを着てスペインへやって来た。彼にとっては初めてのブエルタだ。


おなかにシャムロックがデザインされたアイルランドチャンピオンジャージはベネットのお気に入り。Photo:©Bettiniphoto

ベネットは最初の平坦ステージである第3ステージ、集団スプリントを制して早速1勝。今大会最強スプリンターと呼ばれるプレッシャーの中で掴んだ勝利だった。この日は第2ステージでリーダージャージ「マイヨロホ(スペイン語で赤いジャージの意)」を勝ち取ったニコラス・ロッシュ(チーム・サンウェブ)も首位を守り、アイルランド人2人が表彰台に上がることになった。



勝利後、「まずは1勝できて安心した」と語ったベネット。これが自身のシーズン12勝目。使用バイクはもちろんVenge。Photo:©CyclingImages

アイルランドデーとなった第3ステージ後の喜びツイート。
「アイルランドにとって素晴らしい日」と喜びを分かち合うベネットとロッシュ。チームは違えど同郷の絆は強い。

翌第4ステージではファビオ・ヤコブセン(オランダ/ ドゥクーニンク・クイックステップ)に僅差で敗れたものの、ポイント賞首位を獲得。第5ステージは緑色のポイント賞ジャージ「マイヨプントス(プントスはスペイン語でポイントの意)」で出走する。これでボーラ・ハンスグローエは2019年開催のグランツール全てでポイント賞ジャージを着用したチームとなった。



ベネットがマイヨプントスを着用したのは第5ステージから第7ステージまでと短い。(第7ステージ終了時キンタナに逆転されジャージを脱ぐことに )Photo:©CyclingImages

ベネットがマイヨプントスを獲得できれば、ボーラ・ハンスグローエによるポイント賞グランドスラムの完成だった。しかしブエルタではスプリンターがポイント賞を獲得するのは至難の業だ。というのも、ブエルタでは平坦ステージでも山岳ステージでもポイントが同率で設定されている。レースが進むにつれ厳しい山岳が続々と登場し、スプリンター達が集団最後尾のグルペット(時間内完走を目指す選手達がチームの枠を超えて形成する集団)で走る一方、総合上位を争う選手達がポイントを重ねていく。今年も最終的にマイヨプントスを持ち帰ったのは、総合優勝のプリモシュ・ログリッチ(スロベニア/ チームユンボ・ヴィスマ)だった。

過酷な山岳ステージでは、最初からグルペットで走る戦略を取らざるを得ない。ベネットは数少ない勝利の機会である平坦ステージを待ちながらレースをこなしていく。持ち前の明るさを周囲に振りまき、観客やファンを楽しませることも忘れない。

アイルランドチャンピオンジャージでウィリーするベネット。レース後半では繰り上げでマイヨプントスを着用できる機会もあったが、ベネットはナショナルチャンピオンジャージの着用を優先している。


第9ステージはアンドラを走る過酷な山岳ステージ。「残念ながら、自分は全くチームの役には立たないお荷物!」とお茶目なツイート。

そして、待ちに待ったスプリントステージである第14ステージ。集団スプリントに向けてペースを上げる集団で大落車が発生するものの、先頭付近に上がっていたベネットは難を逃れ、2位以下に大きな差をつけながら悠々とゴール。ブエルタ2勝目を手にした。



ライバル達が落車分断により後方に取り残されたため、ベネットが余裕の勝利。これでシーズン13勝目。Photo:©CyclingImages

第17ステージも勝利を狙える平坦ステージ。しかし219.6qという今大会最長ステージを走るこの日は強い横風が吹いており、単純な集団スプリントにはならないと思われた。そこでベネットは前方に位置取り、ライバルチームが仕掛けた横風分断により出来上がった巨大な逃げグループに入り込む。最終的には数の利を活かしたドゥクーニンク・クイックステップにステージ勝利を奪われ2着となったが、冴えた勝負勘を見せた。

 

この日はフィリップ・ジルベール(ベルギー/ ドゥクーニンク・クイックステップ)の後塵を拝することに。なんと新しいEvade ll With ANGiには前の選手とのシンクロ機能が備わっている!?

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強い風が吹いていることをベネットは事前に知っていた…はずなのに「今日は風がないらしいよ」と盛大にすっとぼけ。2コマ目の「してやったり」な笑顔に注目。

第19ステージ、そして最終日の第21ステージもベネットにとってはチャンスの日だったが、いずれもドゥクーニンク・クイックステップに敗れ2着、勝利を逃してしまう。ステージ2勝という結果は十分賞賛に値するが、ベネットにとっては少々フラストレーションの残るブエルタになったかもしれない。
なお、ベネットは第14ステージでの勝利により、2019シーズン最多勝利選手となっている。(2019年9月17日時点情報)

総合勢の最終決戦となる第20ステージは出走サインの段階から「グルペットに出走サイン…」と割り切っていた。

余談だが、今大会でベネットの発射台を担ったシェーン・アーチボルト(ニュージーランド)をご存じだろうか。
一目見たら忘れられない個性的な髪型の選手である。後ろから見るとダニエス・オス(イタリア)にそっくりなので要注意。



プロトンでもひときわ目立つ髪型のアーチボルト。オスがブエルタに出ている!と思った方もいたのでは。Photo:©Bettiniphoto


ただのロングヘアではない!おそらくプロトンで最もイケてる髪型を要チェック。Photo:©Bettiniphoto

第13ステージのスタート地点、サン・マメス。地元サッカーチーム・アスレティックビルバオのホームスタジアムでサッカーに興じるアーチボルト。お相手はピエール・ラトゥール(フランス/ アーゼードゥゼール・ラ・モンディアル)。

■マイカの挑戦
今シーズン最大の目標であったジロ・デ・イタリアを総合6位で終えたマイカの今シーズンもう一つの目標は、ジロ以上に厳しい山岳が待ち受けるブエルタでの総合上位入賞。マイカはジロ閉幕後、休養を経てトレーニングと前哨戦ツール・ド・ポローニュで調整を行い、スペインの地へ乗り込んできた。


ツールをスキップし、ジロとブエルタを今シーズンのターゲットに据えたマイカ。今年のゼッケンナンバー1、地元スペイン出身の偉大な世界王者バルベルデはリスペクトすべき先輩でありライバルだ。Photo:©CyclingImages

初日のチームタイムトライアルは5位。個人総合28位でスタートし、第2ステージ以降は上位でのフィニッシュを続け、マイカは常に総合10位以内に留まり続けた。
最終的な総合順位はジロと同じ6位。「負けない走り」。そんな言葉が浮かんでくるような安定感のある走りだった。


山岳が主戦場のマイカにとって、ブエルタのハードな山岳ステージはむしろ望むところ。Photo:©Bettiniphoto

マイカが好調だった一方、チームは開幕早々逆境に直面した。ツール・ド・フランスで総合4位に入ったエマニュエル・ブッフマン(ドイツ)を支えたグレゴール・ミュールベルガー(オーストリア)が不調により第5ステージでリタイアすると、ジロでマイカを助けたダヴィデ・フォルモロ(イタリア)も第6ステージの落車で負傷、翌日レースを去ってしまう。
1週目にして山岳でマイカのアシストができるメンバーがパウェル・ポリャンスキー(ポーランド)とフェリクス・グロスチャートナー(オーストリア)のみという危機的状況。しかしマイカとポリャンスキー、そしてグロスチャートナーは見事なチームワークを見せる。

第13ステージではグロスチャートナーが逃げに乗り「前待ち」の役割を、ポリャンスキーが勝負所までのエスコート役を担い、最大勾配が25%に達する超級山岳ロス・マチュコスを攻略。難関ステージを上手に乗り切っている。


今大会でマイカの両腕として活躍したポリャンスキー(左)とグロスチャートナー(右)。Photo:©Bettiniphoto

横風分断が発生した第17ステージでは逃げ集団に入れず順位を下げてしまったが、4つの1級山岳が連続する翌第18ステージでは自らアタックを仕掛け展開を作り、ステージ4位でフィニッシュし挽回。第20ステージではポリャンスキーとグロスチャートナーのアシストに応えるためステージ勝利を狙い、終始積極的な走りを見せた。ステージ勝利は逃したが、マイヨロホグループに食らいつきステージ3位でゴールしている。


第20ステージでマイカのために先頭を牽くグロスチャートナー。フォルモロとミュールベルガーの抜けた穴をカバーした。余談だが、八重歯がチャームポイント。Photo:©Bettiniphoto

他の総合系チームと比較して明らかに手薄な布陣にも関わらず、よく健闘したと言えるだろう。このブエルタで後半にかけて調子を上げてきたマイカは今月末イギリス・ヨークシャーで開催される世界選手権のポーランド代表メンバーに選出されている。

マイカは総合エースだが、スプリントステージではベネットのために仕事をしており、第21ステージではマドリード周回で集団先頭を牽引する姿を見せていた。ボーラ・ハンスグローエは「絆で結ばれた兄弟」という意味のBand of Brothersというスローガンを掲げているが、マイカの走りはそのスローガンを体現していると言える。
リーダーとしてチームの雰囲気作りにも貢献。レース中の精悍な表情からは想像できないコミカルな表情を見せるSNSを是非チェックしてほしい。

今大会屈指の難ステージだった第15ステージを乗り切った後の表情。「キツかった、でも生き残った!」

最終日第21ステージ、チームバスを盛り上げるマイカ。ノリノリ!

マイカはブエルタ期間中の9月12日に30歳の誕生日を迎えている。チームから贈られたケーキにこの表情!

■ボーラ・ハンスグローエを支えたスペシャライズドバイク
ジロ、そしてツールに続きブエルタでもスプリントと総合の両立を目指したボーラ・ハンスグローエ。平坦ステージではVenge、丘陵・山岳ステージではTarmac Disc、そしてタイムトライアルステージではShiv TTとバイクを使い分け、21日間を戦い抜いた。

新型Shiv TTについて>


 


第1ステージと第10ステージに登場したShiv TT。抜群のエアロ性能を誇る。Photo:©Bettiniphoto

スプリンターのよき相棒となるVengeはベネットを支えた。特にブエルタのような平坦ステージであっても登りが多く登場するようなレースでは、Vengeの登坂力は大きな武器になる。スプリントでの鋭い加速は言わずもがなだ。

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スプリンターと言えど登りをこなせなければ生き残れないブエルタ。登坂とスプリントを両立できるVengeはベネットを大いに助けた。ウィリーにも最適⁉ Photo:©VeloImages

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登りと下りに強いTarmac Disc。特に山岳ステージでは頼りになる。Photo:©Bettiniphoto

そして、すべてのステージで使用したRoval CLX Discホイールも選手たちの走りを支えたのは間違いない。このブエルタでもRoval CLX50 Discホイールは7勝を獲得し、その性能の高さを実証した。多くのディープリムより空力性能に優れ、ハンドリング性は秀逸、そしてヒルクライムも余裕でこなせるほど軽く、他のどのホイールよりも多くの勝利を手にしています。

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ウォーミングアップ中のボーラの選手たち。あらゆるコンディションで使えるオールラウンドのホイールRoval CLX50ホイールを選択。Photo:©CyclingImages

グランツール最終戦を駆け抜けたボーラ・ハンスグローエとスペシャライズドバイク。あらゆる局面に対応するラインナップと性能で、シーズン終盤戦も勝利に貢献していく。

 

【筆者紹介】
池田 綾(アヤフィリップ)
サイクリングライター。ベネット、マイカの好走はもちろん、選手達のSNSでの面白さに注目してしまったブエルタ。ボーラってこんなに楽しいチームだったのですね!個人的にはマイカさんを支え活躍したグロスチャートナーに注目。八重歯がキュートな25歳、逃げに乗ったり前待ちしたりと見せ場多数でした!

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