2016.01.11

SEEK & ENJOY: ALASKA後編

計り知れない苦労をしてこなければ、報いを感じることはなかったでしょう。要は物の見方なのです。

ファットバイクとラフティングで行くアラスカの大冒険記の前編はこちら。 中編はこちらです

5日間に渡り、私たちは水の流れを追えるだけ追いました。より速く走れる砂利や石の道を常に探し、北斜面は避け、草木の生い茂った視界の悪い場所を、大きな音を立てながら通りました。この最後の点が最も重要であるのは、熊に関することだからです。熊の足跡がそこかしこにありました。ブルックス山脈の旅では、熊を見るかどうかではなく、いつ見るかが問題なのです。「そのとき」が3日目のどこかで実際に訪れたのは、短い柳が密集した、とても広い谷にある一筋の川を走ったり押し上げたりしているときでした。あわや出くわすところでしたが、怯えながらも威嚇したところ、一目散に逃げて行き、再び見ることはありませんでした。ジョンはベアスプレーを取り出しましたが、幸運にもそれが必要になることはありませんでした。残りの日程でさらに3頭の熊を見ましたが、どれもそれなりに離れていました。

毎日が、美しさと深みを増しながら過ぎて行きました。5日目の途中、最後の小道の頂上に到着し、これがこの旅の絶頂となりました。天気は申し分なく、予定通りに行動できていたので、その小道から行くことのできる、見た目の一番良い頂上に登ることにしました。地図上ではただ「リブ」と記されているだけで、この山脈の中では珍しい、名前の付いた山頂でした。うってつけだったので、私たちは荷物を置き、軽めの装備でこの石灰岩の瓦礫の山を登りに行きました。私は今まで、数多くの山に登ってきましたが、ブルックス山脈の奥地にあるこの山頂からの眺めは、それまでに見てきたどれとも異なるものでした。私たちは最高の天気に恵まれ、一時間かけて景色を堪能し、今まで、現在、今後のルートを繋ぎ合わせました。下りでは、その山の裏側を一周し、古びたトレイルを歩きました。この地域に住むドールシープが長い間、歩いてきたことで作られたものでした。

アイヴィシャック川上流の最後のパスは、この旅の物理的な中間地点でしたが、それよりも意味があるのは、広大な未知の草原を通る走行可能なルートを探すという私たちの目標が、ようやく叶ったことを伝えるものだったからです。私たちはチョコレートとウイスキーで祝福しました。しかし、意気揚々とした私たちを現実へと引き戻したのは、成功かと思った矢先に遭遇した巨石の敷き詰められた渓谷へと通じる下り、さらに深い薮と熊がいてもおかしくないブラインドコーナーでした。私たちは弱くなる夜の明かりの中、前へ進み、そのうちアイヴィシャック川の分岐点に辿り着き、キャンプをしました。

翌日は主に、広大な浸水した平野で編むように流れる川を浅瀬づたいに渡り、 行き止まりとなり冷たい川を渡ってはバイクに乗る、というのを文字通り数百回も繰り返すまで、砂州を走りました。これは、編むように流れる川が川と呼べるものにようやくなるまで、その日中続きました。この時点で、私たちは最後の3日間、偉大なるブルックス山脈から抜け出して北斜面の波打つ広大な平原へと入るまで、水陸両用モードに再び切り替えたのです。

私がこのような旅を何度もバイクとパックラフティングで行ってから5年が経っていましたが、川や沢、海、湖などに乗り付け、5ポンドの重さのボートをバックパックから取り出して先へと進めることは、未だに驚きです。今回の旅でも、私たちはそうしました。走行可能な地形が終わり、川が現れたので、その先へはこの素晴らしいボートでしか進むことができなかったのです。パドリングはバイクの過酷でゆっくりとした進み具合と比べると、歓迎すべき息抜きであり、疲れた脚も喜んでいました。

翌3日間で、今まで見た中で最も透明度の高い水の中を90マイル、パドルしました。私たちはこのガラスのように透き通った天然のコンベヤーで、川がボーフォート海の起点に近づいて行く間、移動中の数百頭のカリブーや寂しく歩く巨大なジャコウ牛を追い越しました。それは私たちが浮かんでいる景色の大きさを反映した、静かで瞑想的な時間であり、この美しい川にのんびりと浮いていられるようになるまでに要した労力と、見事に釣り合いを保っていました。しかし、故郷デュランゴのトレイルと同様、この報いに達するまでに計り知れない苦労をしてこなければ、この楽チンな川下りに報いを感じることはなかったでしょう。要は物の見方なのです。

編集後記:ドゥーム、ジョン、ブレットがSpecialized Fatboyに荷物を載せ、ブルックス山脈でパックラフティングやライドをした方法を知りたいですか? もう少々お待ちを。続編を近日公開する予定です!

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