ロードバイクでもエアロ性能が重要であると盛んに謳われてるけど、本当なの?どれだけ意味があるの?――そんな疑問を、SBCU先生にぶつけてみました。
ここ数年「エアロロード」なるジャンルが流行を見せていて、スペシャライズドのロードバイクにおいても、まず「Venge」が登場し、その後さらに先鋭化した「Venge ViAS」へと続いています。しかし、自動車のように大きなボディを持っているのならまだしも、自転車でエアロ性能って、どれだけ意味があることなのでしょう。
今回も、エンドユーザーのお悩みにもどんどん答えてくれる「SPECIALIZEDパーソナル」をスタートさせた「SBCU先生」こと、佐藤修平さん(さとう・しゅうへい、写真左)と渡辺孝二さん(わたなべ・こうじ、写真右)に伺います。
とはいえ、自然の中では風の強さも向きも常に変化しています。さまざまなシチュエーションに、エアロ性能はどう対応しているのでしょうか。 「確かに、人力で走るバイクにとって自然界の変化に対応することは重要ですね。とはいえ、実際にはすべての変化には対応できません。そこで、風洞実験施設で自然界において起こりうる様々な状況を作り出し、テストを重ねています。その結果、風を横から受けているときほどエアロ効果を発揮することがわかりました」(渡辺さん) 「具体的には、ヨー角(ヨーアングル)が15度のときに最大のエアロ効果が発揮できるように最適化されています。つまり、スペシャライズドのエアロロード、VengeやVenge ViASは横風に強いんです。実際に乗ってみても、横から風を受けたほうがエアロ効果を体感することができますよ」(佐藤さん) ヨー角とは、風向きと風速に、自転車の移動速度を加味した、相対的な角度のこと。例えば時速40kmで走行しているときに、進行方向に対して60度の角度で風速4mの風が吹くと、ヨー角は約15度となります。 「しかも、第1世代のVengeではスプリントをかけやすいように、風がハンドルの上下を抜けて、ハンドルが軽く感じられるように作られています。一方Venge ViASでは、ダブルボトルのときに最も高いエアロ性能が発揮できるように設計されています。使うシチュエーションに即した設計が行われているんです」(佐藤さん)
スペシャライズドのエアロダイナミクスに対する取り組みを支えているのは、なんといっても風洞実験施設。本社には、スペシャライズド自前の施設があるのだとか。 「風洞実験を取り入れている自転車メーカーはたくさんありますが、基本的には外部の風洞実験施設を用いています。スペシャライズドも、かつてはそうでした。しかし、外部の施設を借りるとなると、時間的な制約が生じます。また、自転車のエアロダイナミクスを追求するのに最適な施設ではない場合もあります。そこでスペシャライズドではWin Tunnel(ウィン・トンネル)という、自転車を開発するための専用風洞実験施設を建設しました。これは世界で唯一の存在です。レンタルとは違って、エンジニアが思う存分実験に取り組むことができます」(佐藤さん) 自転車メーカーが自前で風洞実験施設を作ってしまうなんて、スケールが大きいですね! しかし一方で、そこまで技術と情熱が注ぎ込まれているエアロ性能が、一般のライダーにとって意味があるのか、やっぱり疑問に思えてくるのも確かで――そのへんは、次回さらに聞いてみることにしましょう。
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【筆者紹介】:須貝弦
万年ビギナー状態だが、それでも自転車で地元の里山をめぐることを心のヨリドコロとするフリーライター。年に1度だけ、レースにも出ます。
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