最近、MTB仲間たちがヤッキになって参加し、遊んでいるイベントがある。『エンデューロ』という。
9月初旬、長野県白馬村、白馬47スキー場でエンデューロのシリーズ戦『ENS』が行われた。エンデューロというのは、MTBライドの一番の醍醐味、ダウンヒルを何本か走り、その合計タイムを競うもの。
このエンデューロは、いわゆるダウンヒルレースとは違った楽しさがある。『レースぽくないレース』だというのが、世界のMTBシーンにあっという間に浸透した大きな理由だ。どう『レースぽくない』のかというと、ダウンヒルを何回か走れる、というところである。
人間誰しも失敗をする。通常一回こっきりのダウンヒルレースでは、失敗して転倒するとその結果がすべてとなる。その日1日がガッカリな1日になってしまいがちだ。ダウンヒルレースに出たことのあるあなたなら、覚えがあることだろう。
ところがエンデューロは違う。最初のコースで失敗しても、次のコースで失敗しなければいい。「2本目は失敗したけど、1と3ではなかなかうまく走れたよ」。失敗だけの1日はガッカリの1日だが、まあ失敗せずに走れたコースがあれば、今日1日は捨てたもんじゃないと思えるようになる。人生のようである。
人生といえば山あり谷ありだが、エンデューロも谷あり山ありだ。谷というダウンヒルを下ったら、次のコースのスタートまで山を登るのだ。大概半日ぐらいかけて走るが、途中には、補給ポイントなどない。
頼れるのは自分と自分の機材だけである。パンク修理はもちろん、機材の不調、喉が渇いたお腹が空いた、ぜんぶ自分でなんとかしなくてはならない。そのため、ダウンヒルライドと長距離ライド、両方に対応できる装備を、じっくりと必要最小限に吟味しなくてはならない。これも頭脳派ライダーの楽しみの一つだ。
工具、ポンプ、予備チューブ、水、雨や寒さ対策、そしてタイヤの太さと空気圧。エンデューロ本番の前日、装備を選んでいるときは、まるで遠足の前日と同じ気分だ。あれ持って、これ持って、これは持たないで、と。まあ大体がトラブル対策用のものなので、終わってみれば必要なかったじゃんという結果が多いのだが、回り道こそ近道を知る一番の近道でもある。
そしてエンデューロのコースには、さまざまな路面が待つ。土のシングルトラック、スピードの出る砂利道ダブルトラック、そして雨の降る日にはドロドロになった轍だらけのセクションもある。
これを全て走るのだから、全てに対応できる装備と技術と心構えが必要となる。一箇所をバキュンと素早く走れる専門能力ではなく、全般をうまいことこなしていなしていく力こそが、エンデューロに求められる能力である。ここも人生によく似ている。
ちなみに昨今のエンデューロ参加ガール、坂井優子さんはこんな格好をしている。みなさんの今後の参考にして欲しい。ソックスが大変おしゃれである。それにマシンにスペシャライズドのフルサスモデルを選ぶあたりも、よくわかっていらっしゃる。
そして先にもお伝えしたように、書き手である中村は、このエンデューロに、27.5+タイヤを履くFUSE、スペシャライズドでいうところの『6FATTIE』にて参加した。いやあ、太いタイヤ、本当に最高だね。その理由を次回『FUSEで参加、エンデューロ 第3回 27.5プラスを履くと、あなたの走りはもっとXXXXになる」にて詳しく述べる。
【筆者紹介】:中村浩一郎
「タイヤの太さは七難隠す」を来年の書き初めにしようと思うMTB系書き手。記事執筆や翻訳、コピーライターなどを生業とする人生だが、本職は25年間にわたるMTBライダーだ。
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