本格的なライドシーズンになる前の寒い時期にこそ受けておきたいフィッティング 『RETUL FIT』 についてご紹介いたします。
ロードバイクやマウンテンバイクを楽しむ上で、フィッティングが重要であるという考えはだいぶ浸透してきたと言えるでしょう。しかし「フィッティングって、ガチの人がやるもの」と思い込んでいる人も、いるのではないでしょうか。いやいや、そんなことはありません。スペシャライズドの「RETÜL FIT(リトュール フィット)」は、週末に目いっぱい遊びたいホビーライダーにも、大きなメリットがあるのです。
本ブログではおなじみのSBCU先生こと渡辺孝二さんは、自身もRETÜL FITを実施するフィッターであり、これからフィッターになろうとするショップスタッフへの研修も担当しています。そんな渡辺さんに、RETÜL FITについてあれこれ聞いてみました。
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●ホビーライダーにもメリットが大きいフィッティング
自転車はとても感覚的な乗り物ですよね。それが楽しさでもあり、難しさでもあります。ライディングポジションやバイクのセッティングに関しても同じで、今の状態が合っているかどうか、なかなか客観的な判断はしにくいものです。
そこで注目したいのが、フィッティング。本当に自分に合ったポジションを知り、バイクを正しくセッティングするのです。
「例えば、なんとなく“サドル高を上げたい”と感じているとしたら、その理由はなんなのか。そもそも基準をどこに置くべきなのか。そういうことがわからないと、サドル高の上げ下げを繰り返して収拾がつかなくなってしまうことがあります。まず大事なのは、今の自分の状態をしっかりと把握して、基準となるポジションを知ること。そのためには、フィッティングサービスを受けていただくのがおすすめです」
フィッティングは、レースをしている人が受けるものというイメージをもっている人も少なくないかと思います。しかし、フィッティングはホビーライダーにとってもメリットが大きいと、渡辺さんは話します。
「フィッティングは、ひとりひとりの身体の状態と目的に合わせて行われるものです。シリアスにレース活動をしているアスリートであっても、ロングライドやヒルクライムなどを楽しみたいと思っているホビーライダーであっても、どんなライダーが受けてもメリットがあります」
近年は「アルプスあづみのセンチュリーライド」に代表されるようなロングライドイベントが脚光を浴びていますが、初めてのロングライドだと不安に感じる方も多いのではないでしょうか。本当に長い距離を走れるのだろうか、どこか痛くなったりしないか……そんな心配を抱いているようなホビーライダーも、一度フィッティングを受けて、客観的にポジションを見てもらうのはよさそうですね。
「もちろんです。目標としているイベントの直前やサイクリングシーズン本番を迎えてからではなく、春を迎える前にフィッティングを受けて、身体に合った、基準となるポジションを確認するのがよいと思います。ポジションが決まればそれに合わせてバイクのセッティングをしますので、メンテナンスを兼ねてフィッティングを受けるのもよいですよ」
そう、ホビーライダーがケガせず、痛みを感じることなくライドを楽しむためのベース作りとして、まさに今の時期がフィッティングを受けるのにぴったりなのです。
●Body Geometry FITはRETÜL FITへ!
スペシャライズドのバイクに興味がある方なら「Body Geometry FIT(ボディジオメトリーフィット)」ということばを聞いたことがあるかもしれません。
「RETÜL FIT以前のフィッティングサービスは“Body Geometry FIT”というもので、自転車を中心にスポーツの人間工学に長年関わってきたアンディ・プルイットという医療専門家によってうまれ、科学的アプローチによって作り上げられたメソッドです。一方、RETÜLは2007年にコロラドでスタートした自転車フィッティング用の3Dモーションキャプチャの会社で、2012年にスペシャライズドが買収しました。それ以降RETÜLはBody Geometry FIT公式ツールという位置づけでしたが、両者の融合を進め、2018年の9月にスペシャライズドのフィッティングを『RETÜL FIT』に統合したのです。Body Geometryという名称はサドルやグローブなどの製品の総称として使われています」
医学的な見地と統計データから導かれたメソッドだ——というお話でしたね。
「RETÜLはライダー、バイクの位置情報を1mm単位で数値化できます。それまではフィッターの経験値に頼っていた計測をより正確にできますし、デジタルで記録を残せる点が大きなメリットです。ライダーはフィッティングデータをより客観的な情報として、自分を知ることができるようになったのです。また、統合により、ライダーに関するデータはRETÜL Passportというアカウントに統合され、記録の閲覧性が向上しています。さらに、これらのデータ蓄積はバイク、サドル、シューズなどの製品開発で実際に設計やサイズ決定に役立てられています」
つまりRETÜL FITはフィッティングであり、デジタルによるライダー情報のハブというわけですね。
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●RETÜL FITの流れ
さて、スペシャライズドのRETÜL FITには、下記の4つのステップがあります。それぞれ、どんなことをするのか渡辺さんに解説してもらいましょう。
@インタビュー
「まずインタビューですが、フィッティングを受けるお客様が、どんなふうにバイクを楽しまれているのか、どんな目標があるのかといったことを詳しくお聞きします。また、フィッティングはフィッターとお客様の共同作業なので、フィッターのことを知っていただく時間でもあります」
Aアセスメント
「アセスメントでは、関節の可動域や筋肉の柔軟性、坐骨結節幅といった、身体的な特徴を評価、計測します。RETÜL MATCHなら一部のプロセスをデジタルですばやく計測することができます」
Bフィット
「Muveというフィットバイクにまたがってペダリングしていただき、3Dモーションキャプチャーを用いて身体の動きを読み取りながら、サドル高やハンドル高、ステムの長さなどの数値を出していきます。そして、その結果を受けてバイクへ数値を再現していきます。必要に応じて、サドル幅の変更や、クリート位置の調整なども行います」
Cフォローアップ
「再現、調整したバイクに乗ってみます。2、3週間のあいだに不具合がある場合は再訪問していただいて、およそ30分ほどで微調整をおこないます。著しい違和感や不具合がなければこのプロセスは不要です」
これらの工程に要する時間は、2時間半から3時間程度です。
●RETÜL FITはどこで受けられる?フィッターはどんな人?
さて、このRETÜL FIT、スペシャライズド製品の取扱店であればどこでも——というわけではなく、限られた店舗で実施されていますね。
「はい、スペシャライズドの“プレミアムリテーラー”において、完全予約制で実施されています。完全予約制とすることで、フィッターがひとりひとりのライダーとじっくり向き合い、質の高いフィッティングサービスを提供できます」
フィッターには、何か資格のようなものがあるのですか?
「はい、専門の研修を受けたプレミアムリテーラーのスタッフが、フィッティングを担当します。研修は、ロードバイク向けのものだけでも2泊3日をかけて行われる内容の濃いもので、ここでメソッドを理解しトレーニングを行います。RETÜLが導入されてデジタル化されたと言っても最終的には人と人とのやりとりですから、講習はとても重要だと考えています」
当然、スペシャライズドの直営店でも可能ですよね?
「もちろん、直営店ではRETÜL FITを実施しています。ただ、直営店でRETÜL FITを受けていただくのはありがたいのですが、直営店から離れたところにお住いの方には、なるべくお近くのプレミアムリテーラーでフィッティングを受けることをおすすめします。通いやすいところにあるストアのほうがコミュニケーションは取りやすいですし、懇意にしているスタッフがいれば安心感も違います」
●フィッティングはどのタイミングで受ければいい?
さて、実際にどんなタイミングでフィッティングを受けるのがよいのでしょうか。冒頭のお話では、シーズンに入ってからよりも、入る前のほうがよいということでしたが。
「まだフィッティングを受けたことがなくて、ベースとなるものを作ろうということであれば、寒いうちに受けていただくのがよいと思います。そして今年何か目標としているイベントがあって、それに向けてフィッティングを受けたいという場合であれば、できれば1ヶ月前までに、遅くとも2週間前までにフィッティングを受けていただくとよいですね。直前ではフォローアップもできず、逆効果になってしまいかねないので」
過去にフィッティングを受けたことがあるというライダーの場合は、どうでしょうか。
「1年に1回、シーズン前に受けていただくのが理想的ではあります。もしくは、自分の身体に変化があったときや、今までとは違う新たな目標ができたときなどですね。以前受けたときはビギナーだったけれど、だんだん強くなり、もっと頑張って乗りたいと思うようになったり、もしくは加齢によってパフォーマンスが伸びなくなるのを克服したいとか、以前は感じないような痛みを感じるようになった——といったときには、フィッティングを受けることで現状把握と改善が可能です。フィッティングで筋力を強化することはできませんが、身体的制約からくるポジション上の問題は、解決できます」
となると、やはり定期的に受けるのがベストですね。そのためにも、まずはぜひ一度フィッティングを受けよう——と。乗り方がしっくりこないときって、なんとなくサドル高を上げ下げしたり、ステムを変えてみたりしがちだけど、フィッティングを受けるのが近道なのだということは改めてよくわかりました。
「スポーツバイクは、買ってからの時間のほうが圧倒的に長いわけです。スペシャライズドはそれを“ライダージャーニー”と呼んでいますが、最高のライダージャーニーを実現するために、フィッティングを通じて最大限サポートさせていただきたいです」
ありがとうございました。
ホビーとして楽しんでいる方も、シリアスな目標を掲げている方も、怪我なく充実したライダージャーニーを送るために、RETÜL FITを検討してみてはいかがでしょうか。私もいよいよ、興味が出てきました!
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【筆者紹介】:須貝弦
万年ビギナー状態だが、それでも自転車で地元の里山をめぐることを心のヨリドコロとするフリーライター。
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