アンバサダー松葉桂二さんが圧勝したIRONMAN 70.3 Bangsaenのレポートをお届けします。
2020年2月23日、タイ王国のバンセーン地区において世界最大級トライアスロンレースのひとつアイアンマン≠ェ開催されました。スペシャライズドのアンバサダーとして活躍する松葉桂二さんが圧倒的な強さでエイジ優勝したレースのレポートをご紹介します。
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トライアスロン競技はスプリントディスタンスなどの短い距離もありますが、概ね以下の@~Bに分けられ各地で開催されています。
@オリンピックディスタンス51.5km(スイム1.5km+バイク40km+ラン10km)
Aミドルディスタンス113km(スイム1.9km+バイク90km+ラン21.1km)
Bロングディスタンス226km(スイム3.8km+バイク180km+ラン42.195km)
今回出場したIRONMAN 70.3 Bangsaenは通称ミドルと呼ばれ距離はマイル70.3で示されていますが、メートル法の競技距離は113kmになります。私が得意としているのはマウンテンバイクを使ったオフロード系XterraやCross Triathlonですが、帯同してくれるジャーマネ(妻)と国際レースを転戦するうちにアイアンマンにも興味をもち、未体験ゾーンを体感したく参加しました。今年は9月のAlmere世界選手権でピークを迎えられるよう期分けしていますが、現状把握を兼ねた初戦です。「微笑みの国」と呼ばれ観光地としても注目度の高いタイは日本から近く、リーズナブルに過ごせる魅力を持っています。細かいことを気にせず楽観思考の優しい人が多いタイでのトラ旅≠レポートします。
中部国際空港からは、預け荷物が縦x横x高さの3辺合計240cmサイズの輪行箱も30kgまで無料のタイ国際航空。インターネットチェックインでのフライト搭乗がスムーズです。スワンナプーム国際空港到着後は到着フロアのカウンターで、S-Works Vengeを収納したBTB輪行箱と2人が乗り込めるサイズの車を手配し高速道路で約1時間移動。レース会場の町バンセーンまでは片道約80km、料金2,000バーツ(8,000円)。到着したThe Tide Resortの部屋からはビーチが眺められるばかりかスタート地点まで200mと至近です。会場入りして最初に行なったことはアスリートチェックイン。世界的な新型コロナウイルス流行を受けて選手の体温測定やアルコール消毒の徹底がありました。パスポートを提示し本人確認後、免責事記載書にサインをしてレース終了まで装着義務のIDリストバンドを付けます。続いて競技で使うスイムキャップやビブナンバー、ステッカーなどのレースキットに加え大会記念グッズを受け取りレジストレーション完了。
会場Expoではメンテナンスブースの他、エナジージェル試供や限定グッズ販売など盛況です。私にとってミドルは、昨年11月IRONMAN 70.3 Xiamen(中国アモイ)に続き今回が2度目で、まだまだ分からないことばかり・・。映像と英語の競技説明会へ出席してルールや注意事項を確認しました。またスポーツ気象を得ることに心がけています。海でのスイムは波高、潮流、風、水温、水質。バイクとランは気温、湿度、風、路面状況を含めた起伏やエイドステーションでの補給食の内容などがレースに大きく影響するため、アンテナを高くし情報収集します。スイムコースで試泳を済ませた後、2階建てバスによるバイクコース下見(約2時間30分、無料)ツアーに参加しました。その際試走中パンクした選手がいたこと、強い風が吹き日差しが強いという予報からショートスリーブのトライスーツを着てバイクコースに出かけてみました。数キロ試走してみると凹凸路面に砂利なども落ちていてパンクリスクは高そうです。
試走ではショートスリーブのトライスーツを着用。
IRONMANはレース前日の指定時刻までにトランジット内へのバイク預託が義務づけられています。エントリー約2,200人が当日早朝バイクを持ち込むことはムリなこと。しかしバイク預託時刻の変更メールがスマホに届き当初予定2:00pm-6:30pmを強風のため4:30pmからのチェックインに延期≠ニ記されています。指定時刻に行くとトランジットエリアは大渋滞・・。なんとか日暮れ前にS-Works Vengeをバイクラックに納めて、タイミングチップを受け取ることができました。チューブレス化したタイヤS-Works Turbo RapidairとホイールRoval 321 Disc、ヘルメットS-Works EvadeUもスタンバイ!
暗闇が明けてきた午前6時25分スタート!申告した泳力順に色分けされたスイムキャップの選手がビーチスタンバイし、4人毎にローリングで飛び込んでいきます。時計回りに700m+500m+700m逆トライアングルを1ラップです。3種目の中でも苦手な種目でウエットスーツが着用できないものの波が低く水質も良いので助かりました。コースロープ沿いを泳いだため数人と接触するも、なんとか泳ぎきることができました。
・時間:41分34秒(公式タイム)
・距離:1.97km(ガーミンデータ)
・ペース:2:06min/100m(平均ストローク:32)
・心拍平均:162bpm(最大:169bpm)
・カロリー:417
・水温:27℃
レースではウエットスーツ着用禁止のため、腕が回しやすいノースリーブのトライスーツを着用。
スイムを終えトランジットのバイクラックまでの距離は約400m。身体を急に横の姿勢から縦の姿勢に変えるので、陸に上がっても真っ直ぐ進めずフラフラしてしまうため転ばないように進みます。自分のT1でサングラスとヘルメットを着け、予めビンディングペダルに装填したS-Works EXOSシューズごとバイクを押して乗車位置へと走ります。
(T1:3分04秒)
最初のコーナーで待機していたジャーマネからの「Keiji楽しんで!」が聞こえてきました。リラックスしてペダリングを始めることができましたが、スイムで遅れたため多くの選手が前方に確認できます。ルールどおり右側から追い越して進みますが、等速スピードのライダーに追いついた時は要注意。前走者を風よけにするドラフティングや並走は、ペナルティ5分の対象となるため決められた距離以上の間隔で走ることが必須です。前半15kmまでにアーチ状の橋梁を4カ所越えますが橋の上は風に煽られることもあり、なかなか自分の巡航速度に達しません。最初のエイドを過ぎると貯水池を周回する完全規制のレースコースに入りますが、丘陵地では風速10m前後の横風が吹くこともあり、DHポジションが保てず下ハンドルを握った耐風姿勢での走行を余儀なくされました。体重55kgの軽量小柄な身に強風は無慈悲ですがケイデンスを落とさず進みます。
エイドでボトル水を受け取りますが中盤過ぎは緩い上り下り、カーブが連続しています。路面には強風で飛ばされてきた小枝や落ち葉が散乱していて、パンクしている選手も相当確認できます。S-Works Turbo Rapidairにシーラントを入れ小穴なら自動的に気密性を保つチューブレス化は、パンクリスクを軽減できソフトな乗り心地でメンタル的にも優しい機材。未だシーズン初めのためポジションはアップライト気味ですが、バイク性能と滑らかな生地でできたトライスーツ、ヘルメットのエアロ効果が相まって低い出力ながら楽に90kmを走りきることができました。
【エアロロード大研究】 もっとも優れたエアロロードバイクはS-Woks Vengeと認定されました!
スペシャライズドのトライスーツについて詳しく>
・時間:2時間45分47秒
・距離:90km(獲得度:400m)
・平均速度:32.6km/h(最高速度:64.3km/h)
・Watt平均:114w(最大:416w)
・ケイデンス平均:92rpm
・心拍平均:154bpm(最大:162bpm)
・カロリー:1130
・気温:21-27℃
バイク終了が近づくと予備動作として、バイク上でシューズを脱ぎます。T2手前の降車位置(ディスマウントライン)からは、ペダルにシューズを付けた状態でバイクを押して進みます。第4の競技とも言われるトランジション、懸命に走ります。見たところ同エイジラックにバイクは1台も戻って来ていません。スイムの出遅れは挽回できたのでしょうか・・。(T2:2分33秒)
T2ではランシューズとバイザーに着替えます。IRONMAN Trackerアプリを使いビブナンバー#1717検索から位置情報と順位をリアルタイム把握しているジャーマネから「スイム4位からバイク終わり1位だよ!」との声。1周7kmを3周回するランコースは、風の中を走るバイクと違い暑さとの闘い。起伏があり心拍も上昇気味のためエイド毎に水を被りながら進みます。カラダにフィットし適度な着圧感と水切れの良いトライスーツのバックポケットに入れておいたジェルと塩タブを摂りながらピッチを落とさないよう意識・・。冬場のトレーニング目標としてきた速くより、楽な姿勢で身を保ち、長く耐えられるカラダつくり≠目指したリターンはどうか試される時です。上下動少なく、蹴らない、コアで脚を引き寄せる動きを心がけ最終ラップに向かうと「1位キープ!2位と6分差!」の声援を聞き気合が入ります。
昨年11月いきなりのIRONMAN 70.3 Xiamenは全てが初めてでミスだらけ・・。今回は学習曲線も上向きに修正できフィニッシュラインまで落ち着いて走ることができました。フィニッシャーズメダルとTシャツをもらい2,500年の歴史があると言われるタイ式マッサージで脚の疲れを癒していただきました。Amazing Thailand
・時間:1時間50分35秒
・距離:21.1km(獲得度:140m)
・平均ペース:5分15秒/km(ベスト:4分19秒/km)
・心拍平均:160bpm(最大:168bpm)
・平均ピッチ:178spm(上下動比:6.8%)
・平均接地時間:218ms
・カロリー:1120
・気温:28-33℃
世界各国のアイアンマンではスロット(世界選手権出場枠)が設定されており、年代別優勝した私はアワードパーティでIronman World Championship Taupō New Zealand 参戦が決まりました。
2020年は9月のITU Multisport World Championships Almereに加えXterra World Championship Mauiと3つの世界選手権トラ旅≠ノジャーマネと参加します。応援よろしくお願いします。
・総合記録: 5時間23分33秒/113km
・総合順位: 総合208位/1276人完走(男子65-69エイジ1位)
・公式results: https://www.sportsplits.com/races/IM703-BANGSEAN-2020
バイク:S-Works Venge
リヤホイール:Roval 321 Disc
タイヤ:S-Works Turbo Rapidair
ヘルメット:S-Works EvadeU
シューズ:S-Works EXOS
トライスーツ:TRI SUIT SLEEVELESS(松葉さんはSサイズを着用。身長168p、体重55kg、ウエスト68p、ヒップ90p、大腿最大囲52p)
バイクチューニング:カミハギサイクル
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によりスポーツイベントなどが次々と中止・延期になっていることは残念でなりません。参加者はもとより準備してきた大会関係者の心中を察すると本当に辛いものがあります。新型肺炎流行の終息と社会混乱がはやく収束に向かってほしいと願っています。
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