人気急上昇中のインドアサイクリング。スペシャライズドがサポートするプロチームも利用する「Zwift(ズイフト)」について、一味違った楽しみ方をお伝えします。
ローラー台とオンラインライドアプリを使って行うインドアサイクリング。新型コロナウイルス感染拡大に伴い自治体から外出自粛の呼びかけが広がる中で、利用する方が増えている。
特にユーザーが多いオンラインライドアプリのZwiftには、驚くほど多くの機能が搭載されている。また、プロのロードレースチームや選手もトレーニングやファンとのコミュニケーションに活用しており、お楽しみ要素が盛り沢山なのだ。今回はプロ選手とライドする方法、そして自分のアバターやギアのカスタマイズについてお伝えする。日々のライドやトレーニングに、少しだけ遊び心を加えてみてはいかがだろうか。
まずは機材を揃えよう。手持ちのロードバイクとローラー台を組み合わせるのが一般的だ。これから始めるという方は、オンラインライドアプリに連動して負荷が変化するスマートトレーナーがおすすめだ。
スマートトレーナ―の導入についてはこちらの記事を参考にしていただきたい。
既にローラー台を持っているという方は、Bluetooth対応のスピードセンサーがあればスマートフォンやタブレット端末で手軽に始めることができる。パワーメーターがあればより精度の高いデータ計測が可能だ。
余談だが、インドアサイクリングではシッティングが多くなるので、サドルとビブ選びは非常に重要だ。そこで、スペシャライズドのギアを是非活用していただきたい。
人間工学に基づいたMIMICテクノロジー採用のサドルは女性用モデルだが、実は男性にもファンが多い逸品だ。人気のPowerに加えて、PhenomとRomin Evoがラインナップに追加された。オンラインストアでも購入できるので、チェックしてみてほしい。
MIMICテクノロジーを採用した女性サドルで痛みとは無縁のライドを>
機材を用意してZwiftを契約し、連携すれば準備完了。ジャージに着替えて、早速Zwiftワールドへ旅立とう。
タオルとドリンクもお忘れなく!
これまでもトレーニングの一環でインドアサイクリングを利用するプロ選手は一定数存在していた。だが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により屋外でのトレーニングが困難になったことで、インドアサイクリングへ軸足を移して活動するプロ選手が一気に拡大した。そしてインドアサイクリングアプリの中でもZwiftを利用している選手は多い。
したがって条件が合えば、我々一般サイクリストも彼らと一緒に走ることができる。バーチャルライドならではの嬉しい特典である。チャンスは意外にも多い。お気に入りの選手とのライドを楽しもう。いくつか方法を紹介する。
Zwiftでは毎日数多くのイベントが開催されている。その中でチームが主催するイベントを探してみよう。こうしたイベントには、ファンとの交流のためにプロ選手が参加することが多い。 スペシャライズドがサポートするドゥクーニンク・クイックステップ、ボーラ・ハンスグローエ、ボエルス・ドルマンスサイクリングはいずれもZwiftイベントを開催している。特にドゥクーニンク・クイックステップは今後継続的な開催を予定している。チーム公式SNSで告知してくれるので、チェックしておこう。
Do you dream of riding with the Wolfpack? You can now do this from the comfort & safety of your own home, by joining the Wolfpack Rides on Zwift, every Wednesday from 16:30 CET. Each week you will be joined by two of our riders, for a fun hour-long pedal: https://t.co/iKrNTkwX2w pic.twitter.com/DA5y3NtwXA
— Deceuninck-QuickStep (@deceuninck_qst) April 21, 2020
※このイベントは既に終了しています。 チーム公式SNSでのイベント告知。この時はサム・ベネット(アイルランド)とシェーン・アーチボルド(ニュージーランド)が参加。 ヨーロッパ時間での開催が多いが、中には同じイベントを2回時間帯を分けて開催してくれるチームも。
🚲 SOCIAL RIDE WITH BORA - hansgrohe!
— BORA – hansgrohe (@BORAhansgrohe) April 29, 2020
Join us at 1pm CEST this Thursday for a one-hour spin on @GoZwift, where you'll be led by 🇮🇹 @Daniel87Oss and 🇮🇹 @gatto_oscar!
🔗 So jump on the home trainer and join us here: https://t.co/9APRV6oYZC #iamspecialized @iamspecialized pic.twitter.com/5ujpqqa7BL
ボーラ・ハンスグローエは4月30日(木)日本時間20時からイベントをスタート。記念すべき第1回にはダニエル・オスとオスカル・ガットのイタリアンコンビが登場。毎週木曜日の開催で、今後はワークアウトも実施予定とのこと。
Join us next Sunday for the @GoZwift ride with our world champions. More info and more dates see: https://t.co/e7mDBNOmYc pic.twitter.com/cJ6xSsNku4
— Boels-Dolmans Cycling Team (@boelsdolmansct) April 28, 2020
ボエルス・ドルマンスは6月21日(日)まで毎週日曜日にライドイベントを予定している。
2018年世界女王のアンナ・ファンデルブレッヘン(オランダ)はじめ世界最高峰の女子選手とライドをするチャンスだ。
強度の目安がパワーウェイトレシオ(出力に対する体重比)で設定されている。
この数値が高い程ハードになる。DやEならライトなサイクリストも比較的参加しやすい。
イベント限定でチームキットとバイクが用意されることも多く、ファンにはたまらない。更にライドリーダーを務める選手は画面上のメッセージを通じてコミュニケーションを取ってくれる。ファンとの交流のためにライド中に質問を受け付けてくれることも多い。喜んで質問に答えてくれるので、メッセージ機能を使って是非質問してみよう(ライドの強度によっては、質問どころではないかもしれないが…)
イベント限定でチームキットが着用できることも。参加者全員が同じジャージで揃うと、なかなか壮観だ。
ちなみに選手はイベント以外でもチームキットで走っている。
イベント中、リーダーのメッセージは画面中央に大きく表示される。
余力があれば是非質問をしてみよう。
イベント以外でも選手達はZwift上を走っている。彼らがフリーでライドを楽しんでいる時も一緒に走ることができる。偶然すれ違ったり一緒になることもあるが、ここでは確実な方法をお伝えしよう。
<1>お目当ての選手をZwift上でフォローする
SNSと同じようにZwift上で選手のアカウントをフォローしよう。多くの選手は本名で登録している。ロードレースのプロ選手のアカウントには「オレンジ色のジャージのプロマーク」が付いているので、目印にしよう。
フォローに加えて星印の「お気に入り登録」をしておくと、ライドを開始した時にプッシュ通知が受け取れる。ちなみにトレーニングの一環なのか、選手は大体同じ時間帯に走っていることが多い。
【フォロー方法】
@ Companionアプリ*を起動
A 「その他」を選択
B 「ZWIFTERの検索」を選択
C 選手の名前を入力
D 選手を選択し、プロフィール画面右上の人のマークを選択
*Companionアプリ
イベントを検索したり、他のZwifter(Zwiftユーザー)をフォローするなどZwiftをより楽しむためのアプリ。Google Play StoreとiOS App Storeでダウンロード可能で、スマートフォンなどのモバイルデバイスで利用する。Zwiftアプリを起動しているデバイスと同じWi-Fiネットワーク上にある場合、ライド中のコントローラーとしても使用できる。
レムコ・エヴェネプール(ベルギー/ ドゥクーニンク・クイックステップ)を検索。
プロ選手にはオレンジ色の「オレンジ色のジャージのプロマーク」が付いている。
プロフィール画面。フォローするには右上の人のマークを、お気に入り登録をするにはその横の星マークをタップする。
<2>走っているところに合流する
選手が走っているタイミングとあなたが走れるタイミングが重なった時がチャンスだ。Zwiftにログインして、その選手が走っているコースを選び、「他のライダーに加わりますか?」でお目当ての選手を選んで合流しよう。
すると選手のすぐ近くで走り始めることができる。後ろに付けばドラフティング効果によって少ない出力でついて行くことができるので、うまく利用して一緒に走ってみよう。
憧れの選手に合流してみよう。この時はレミ・カヴァニャ(フランス/ ドゥクーニンク・クイックステップ)が走っていた。
もちろん選手だけでなく、友達に合流することもできる。
<3>「いいね」を送ろう!
Zwift上でのポピュラーなコミュニケーションが「いいね(Ride On!)」だ。FacebookなどSNSの「いいね」とほぼ同じだと思って良い。声援のようなものなので、選手を見かけたら気軽に送ってみよう。
【Ride On!を送る方法】
(Zwiftアプリから)
@ 画面右側に表示される「近くのライダー」リストから送りたい人を選択
A サムズアップマークを選択
(Companionアプリから)
@ 「近くのZwifter」リストまたは「Zwifterの検索」から送りたい人を選択
A プロフィール画面からサムズアップマークを選択
Ride On!はZwift上で気軽に使えるコミュニケーション。Companionアプリの場合はこの画面から送る。
Ride On!を送ると、大きなサムズアップマークが頭上に表示された後、バックポケットへ入っていく演出が表示される。送り主の名前も表示される。
選手の後ろを走ると、短時間で多くのいいねを貰っているところを目撃できるだろう。彼らはバーチャルの世界でも人気者なのだ。
せっかくZwiftをするなら、見た目にもこだわってみよう。Zwiftの世界を走る自分の分身=アバターや身に付けるギアをカスタマイズするのも楽しみのひとつだ。「Garage」から手軽に何度も変更できるので、色々と試してみよう。
【アバターの変更方法】
@ Zwiftアプリにログイン
A スマートトレーナーやセンサーを接続し「ライドを開始」を選択
B 画面左下の「メニュー」を選択
C 画面右側の「Garage」を選択
D 「MY GARAGE」から変更する項目を選択
「Me」から肌の色やヘアースタイルなどを変更することができる。自分に似せるもよし、全く違う雰囲気にするもよしだ。
髪型などをカスタイマイズして、アバターを作り込んでみよう。Zwiftで走る自分の分身だ。
同じく「MY GARAGE」からはヘルメットやジャージなども変えられる。選択できるアイテムはZwift内でのレベルが上がっていくにつれ増えていくので、走り続けるモチベーションにもなる。
思い切って本人とは全く違うアバターを設定した例。ちなみにコンセプトは「水戸黄門」だそうだ。
(何故ロードバイクで水戸黄門なのかは誰にもわからない)
更にフレームやホイールなども変更可能だ。バーチャルの世界でもスペシャライズドのバイクやrovalのホイールを使ってみてほしい。Zwiftでサイクリングすることで獲得するDropを使ってDrop Shopで様々なアイテムを購入することができる。
Drop Shop上のスペシャライズドショップでは様々なフレームを購入可能。
実はDropを使わずにアイテムをゲットする方法もある。そのひとつがチャレンジを達成することだ。最初からトライできる3つのチャレンジのうちのひとつ「カリフォルニアをライド (Ride California)」を達成すると、S-Works Tarmacを手に入れることができる。条件は1,284キロメートル (797 マイル) をライドすること。少し時間はかかるが、距離を走れば達成できる。軽量で登りに強いオールラウンドバイクという性能はZwiftでも健在だ。比較的難易度の低いチャレンジなので、是非ゲットしてほしい。
Tarmac Discについて>
Tarmac Discをオンラインストアでチェックする>
乗って実感!やっぱり“S-Works” Tarmac Discはスゴかった!>
【チャレンジの設定方法】
@ Zwiftアプリにログイン
A スマートトレーナーやセンサーを接続し「ライドを開始」を選択
B 画面左下の「メニュー」を選択
C 画面右上の正方形の画像(「ワークアウト」「バッジ」の左側にある)を選択
D チャレンジを選択する
Ride Californiaは1,284km走るチャレンジ。コツコツ距離を稼いでいこう。
筆者もチャレンジを達成してS-Works Tarmacを手に入れた。リアルでの愛車もTarmacなので、なんだか嬉しい。
画面に映っている大きなリスはZwiftのマスコットキャラクター。コース上によくいるので、走りながら探してみよう。
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ロードレースの楽しみ方が様々であるように、インドアサイクリングの楽しみ方もまた様々だ。ストイックにトレーニングをするのも、好きな選手を追いかけるのもよし。Stay homeの期間中、自分なりの楽しみ方を探してみるのはいかがだろうか。
Spotted: @3sdevenyns training for the #DigitalSwiss5 😂 pic.twitter.com/MkusuSctHA
— Deceuninck-QuickStep (@deceuninck_qst) April 22, 2020
選手のインドアサイクリング事情も様々。ドリス・デヴェナインス(ベルギー/ ドゥクーニンク・クイックステップ)はなんとキッズバイクでのインドアサイクリングに挑戦!
【筆者紹介】
文章:池田 綾(アヤフィリップ)
サイクリングライター。好きなチーム主催のイベントに何度か出て、選手と一緒に走る楽しさにすっかりハマってしまいました。Zwiftでもゆるポタ一筋ですが、選手と走れるなら頑張れますとも!