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Win to Winスペシャライズドサポートチームの2021シーズンを振り返る

2021/12/22

Win to Winスペシャライズドサポートチームの2021シーズンを振り返る

たくさんのスペシャライズドライダーによるドラマティックな勝利で彩られた2021年。特に印象的だったレースを振り返ってみましょう。

春のクラシック

昨年に続きパンデミックが世界に影を落とした2021年。だが多くのレースが例年通りのスケジュールで開催されたことは幸いだった。

欧州のクラシックシーズン開幕を告げるオンループ・ヘッドニュースブラッド(2月)。男子はダヴィデ・バッレリーニ(イタリア/ドゥクーニンク・クイックステップ)、女子はアンナ・ファンデルブレッヘン(オランダ/チームSDワークス)とスペシャライズドライダーが圧倒した。
バッレリーニは今季3勝。チームの勝利のエンジンとして大きく躍進した選手の1人だ


リードアウトもスプリントもこなす頼もしいバッレリーニ。© 2021 Getty Images

春のクラシックシーズンは「キング・オブ・クラシック」ロンド・ファン・フラーンデレン(4月)で最高潮を迎える。今年はカスパー・アスグリーン(デンマーク/ドゥクーニンク・クイックステップ)が6時間を超える激戦を制した。史上初となるクリンチャータイヤでのモニュメント(世界5大クラシック)勝利である。


独走力に優れるアスグリーン。クラシックもステージレースも勝てるオールラウンダーとして進化中。© 2021 Getty Images

グランツール

レースカレンダーはグランツールへと進む。ジロ・デ・イタリア(5月)、ツール・ド・フランス(7月)、そしてブエルタ・ア・エスパーニャ(8月)。最強のスプリンターに与えられるポイント賞は全てスペシャライズドライダーが獲得した。ペテル・サガン(スロバキア/ボーラ・ハンスグローエ)は1年越しの野望を成就してシクラメン色のマリアチクラミーノをクローゼットに加え、マーク・カヴェンディッシュ(イギリス)とファビオ・ヤコブセン(オランダ)のウルフパックコンビはグリーンジャージをまとい復活の咆哮を世界に轟かせた。
3つのグランツールでスペシャライズドライダーたちが挙げた勝ち星は全部で12
。登り、独走、スプリントと多彩な勝利を究極のオールラウンドバイクTarmac SL7がアシストしている。


昨年は独走、今年はスプリント。ジロで2年連続のステージ勝利を挙げたサガン。今年はポイント賞ジャージも持ち帰った。


ツールで怒涛の4勝、エディ・メルクスが持つツール史上最多記録34勝に並んだカヴェンディッシュ。© 2021 Getty Images


選手生命すら危ぶまれた大怪我からレースの第一線に帰ってきたヤコブセン。皆が彼の笑顔を待っていた。© 2021 Getty Images

 

ロード世界選手権

シーズン終盤のハイライトは世界選手権(9月)。選手たちは普段所属するチームを離れナショナルチームジャージに身を包む。目指すのはただ1つ、世界王者の座だ。
昨年はジュリアン・アラフィリップ(フランス/ドゥクーニンク・クイックステップ)が鮮やかな独走勝利を決めた。今年の舞台はベルギー、クラシックの聖地フランドル。石畳やタイトコーナー、急坂を含む難コースではあるが平坦基調、登りでの攻撃を得意とするアラフィリップの連覇は難しいだろう、というのが大方の予想だった。しかしチームメイトたち、そしてアラフィリップ自身が放った無数のアタックが勝負の天秤を動かした。最後の最後にライバルたちを振り落として独走に持ち込んだ現世界王者とTarmac SL7が連覇を決める。
やはりアラフィリップはアラフィリップだった、ということだ。
勝つべき時に必ず勝つ、そういう男なのだ。ツール・ド・フランスだって、ちゃんと初日に勝った。虹色のアルカンシェルジャージにマイヨジョーヌを重ねてみせたではないか。


勝ち方を知っているアラフィリップ。「エース」という言葉は彼のような選手にこそふさわしい。© 2021 Getty Images

あらゆるバイクの上で

スペシャライズドライダーたちは2021年もよく勝った。ロードレースでの勝利数は男女あわせて126だ。ドゥクーニンク・クイックステップとチームSDワークスはUCIワールドランキング首位チームに輝いている。
そして選手たちの活躍はロードバイクの上に留まらない。
例えばマウンテンバイク。Tarmac SL7をEpicに乗り換えてケープエピック(10月)に挑戦したのはボーラ・ハンスグローエに所属するベン・ツィーホフとレナード・ケムナのジャーマンデュオ。ツィーホフはマウンテンバイクからロードレースへ転向した選手だが、ケムナは初のマウンテンバイクレース。しかもケープエピックはただのレースではなく、マウンテンバイク版ツール・ド・フランスと言われる世界最高峰のステージレースだ。2人1組でキャンプをしながら過酷な自然を走り続ける文字通りの「大冒険」である。それを笑顔で完走してしまうとは、流石プロアスリートと言うほかない。


ロードレースで見慣れたジャージが南アフリカの大自然を駆ける。軽く速く強いEpicはオールラウンドバイク。

【筆者紹介】
文章:池田 綾(アヤフィリップ)
ロードレース観戦と自転車旅を愛するサイクリングライター。他にも語りたかった勝利が沢山あるのですが、今回はオフシーズンらしくライトな読み味を目指してまとめました。

池田 綾さんの記事はこちらから>

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カテゴリ:
ロード
キーワード:
池田綾
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