Rovalが新しいチューブレスホイールを発売。既に最速のホイールが圧倒的な安全基準を満たす次世代のチューブレスシステムを搭載!
「TRUE TO YOUR RIDE」を掲げるスペシャライズドのコンポーネントブランドRoval(ロヴァール)から、新しいホイールRAPIDE CLX II および ALPINIST CLX II、ALPINIST CL II が発売されました。世界最多の勝利を収めてきたホイールが、21か月の開発期間を得て既存の安全基準のほぼ2倍を達成した、フックドリムのチューブレスとなりました。フックドリムの採用により、タイヤと幅の選択肢が広がるだけでなく、110psiまでの空気圧に対応。最速の形状、超軽量の優れた反応性といった従来の特長を引き継いだまま、スピードとグリップに優れたチューブレスのメリットを兼ね揃え、さらに後続を引き離します。細部にまでこだわり、常に革新を求めるスペシャライズドの製品群は、ライダーのライド体験を更に高みへと導きます。
2年前のAlpinistとRapideホイールの開発で掲げた目標は、どんなシチュエーションにも対応できる、最速で最高のハンドリング性能を持つホイールを作ること。骨まで揺さぶる石畳から酸素が薄い山岳ルート、さらには超高速のスプリントから一日中続く高負荷ライドまでをカバーする。果たしてそれらのホイールは達成できていたのでしょうか?
達成したと自信をもって言えますが、その言葉を鵜呑みにする前に、次の数字を見てください。2020年と2021年には、RapideとAlpinistは他のどのホイールよりも多くのワールドツアーで勝利しており、その数なんと155勝*。石畳のモニュメント、グランツールのステージ、山岳ルート、白熱のスプリント、そして世界選手権と、由緒正しいレースでの勝利ばかりです。発売以来、世界中の大きなレースでこれほど多くの勝利を収めたホイールは他にありません。
*procyclingstats.com
2022年、Rapide CLX IIとAlpinist CLX IIはチューブレスレディに進化。数々の勝利をもたらした正真正銘のパフォーマンスに、チューブレスがもたらすより低い転がり抵抗、驚くべきハンドリング性能、耐パンク性能が加わりました。すでに最速のホイールが、他社のホイールでは追随できない次元まで速くなったのです。
チューブレスになったRAPIDE CLX II。カラーはSatin CarbonGloss White
リムハイトの高いタイムトライアル用ホイールの空力性能と、リムハイトの低いヒルクライムホイールの軽量性に、チューブレスの優れた効率性と卓越したハンドリング性能を融合させたのがRapide CLX II。実際の走行環境下において世界最速である特長を受け継ぎ、さらに進化させました。秀逸な空力性能がもたらす効率的な走りと登坂性能を兼ね備えながら、風の影響を受けにくい抜群の安定性と確かなハンドリング性能を実現し、かつてない速さで走れます。
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チューブレスになったALPINIST CLX II。カラーはSatin CarbonGloss White
新しいAlpinist CLX IIは、Roval史上最も軽量でハンドリング性能に優れたクリンチャーホイール。驚異的なレスポンスを誇る加速、吸い付くようなコーナリング、舗装の悪さを感じさせない秀逸な走りはそのままに、チューブレスシステムを新たに採用しました。ライドクオリティーを追求する上で、重量が増えないよう厳しく配慮したのは、これ以上取り除くものが何もない状態こそが完璧と言えるため。機能的なミニマリズムを体現する、バイクがあなたの意思を汲んだかのような軽快な走りをお楽しみください。
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チューブドのRapideとAlpinistが最速のホイールであることは、この2年で証明済み。それにもかかわらず、なぜシステムを変更するのでしょうか? 答えはシンプル。Rovalが力を注ぐテクノロジーは多岐にわたり、チューブラー、チューブド、チューブレスの一つだけではありません。伝統や流行にとらわれず、乗り手であるあなたにとって最適なシステムを常に追求しているのです。今シーズンはすでに29勝を含む80回の表彰台入りを達成し、新しいRapide IIとAlpinist II チューブレスホイールがさらに進化したことを証明しています*。
*2022年4月18日現在、procyclingstats.com調べ
チューブレス化すると転がり抵抗が低くなるというのは、ハンドリング性能の向上や驚異的な耐パンク性能などのメリットと同様、疑う余地のない特性です。Rapide CLX IIの開発では、これまでで最も厳格かつ広範囲にわたる開発とテストを実施。その耐衝撃基準は現在の業界基準のほぼ2倍でありながら、可能な限りの軽さを実現しています。Rapide CLX IIとAlpinist CLX IIは、最大空気圧110psiまでに対応したフックドリムを採用。これにより、タイヤビードは確実に保持され、チューブレス化やタイヤの着脱が今まで以上に簡単になりました。これらのホイールこそ、チューブレスの真骨頂です。
チューブレスにすると、チューブの分だけ内部摩擦が減少し、スピードとグリップが向上する
タイヤが接地面を転がると、タイヤのケーシングは必ず変形します。これが内部摩擦を生じさせ、転がり抵抗を増やし、前進に使われるはずのエネルギーが消費されます。つまり、内部摩擦が少ないほど、スピードとグリップが向上するのです。なお、チューブを使うと変形する要素が増えるため、より多くの摩擦が発生し、したがってより多くのエネルギーが失われます。
チューブレスは変形する要素がタイヤのみになり、内部摩擦と失われるエネルギーが軽減し、前進するためのエネルギーをより多く残せます。変形する要素がシンプルになるということは、タイヤが路面の凹凸に応じた形に添いやすくなり、グリップと快適さが向上し、常にバイクの挙動を把握した状態で走れます。これらのメリットは速度や地形に関係なく常に得られるため、タイヤが転がっている間はチューブレスの方が速いのです。
「転がり抵抗の低減は平均8%。高性能レースタイヤで時速40kmで走行したと仮定すると、タイヤ1本あたり1.7ワット、バイク1台あたり3.5ワットの節約になります」- オリバー・キゼル、スペシャライズド・タイヤ開発マネージャー
これまでの長い間、ライダーと同様、Rovalもチューブレスの可能性を信じてきました。スペシャライズドが世界最速のチューブレスタイヤ、Turbo RapidAirを開発し、2019年にこのタイヤでツアー・オブ・カリフォルニアのステージとツール・ド・フランスの複数のステージを制した裏には、実はRovalの協力があったのです。
しかし、2020年と2021年のシーズンで最速だったのは、チューブドでした。このシステムが155勝を挙げている間、Rovalは次世代チューブレスホイールの開発に勤しんでいました。そこで、開発時の裏側を覗いてみましょう。
「ペテルがホイールを壊した…」
Rovalがプロライダーと製品を共同開発しているのは、周知の事実。彼らはいくつものプロトタイムに乗り、良かった点や改善点などをフィードバックしてくれます。一方のRovalは、デザインと製造の限界に挑み、パフォーマンスの最先端を追求しています。
2019年12月、新しいホイールをテストしていたボーラ・ハンスグローエのチームキャンプから、あるメッセージが届きました。土曜日の午前6時、ベッド脇のテーブルに置いたiPhoneが鳴り始め、Rovalチームの全員に「ぺテルがホイールを壊した」とのメッセージが送られてきたのです。その一文には、亀裂の入ったAlpinist CLX ホイールと、外れたタイヤの写真が添付されていました。開発チームはすぐに、そのホイールをカリフォルニアの本社で調査しました。
ペテルはご存知の通り、普通のライダーではありません。彼とは何年も一緒に製品を開発していますが、彼が使った製品には独特の負荷が掛かります。ジャンプしたり、ドリフトしたり、はたまた舗装路を外れてオフロードを走ったりと、ロードレーサーらしからぬ彼の走り方を見たことがある方もいるでしょう。破損したのは、ラウンドアバウトを飛び越えて縁石にぶつかったからだそうで、まさに彼らしい壊し方でした。さすがにホイールはその衝撃に耐えられないものの、タイヤはリムから外れないだろうと思っていたそうです。
ラボで原因究明
Rovalの開発チームがその破損したホイールを検査したところ、リムベッドに小さな亀裂を発見。このホイールは、UCIのタイヤ未装着状態での40ジュール落下テストなど、あらゆる認証機関の基準を余裕でクリアしていました。しかし、チューブレスホイールは、他のシステムとは異なる壊れ方をする場合があります。リムベッドの亀裂がリムの空洞部にまで広がると、漏れ出た高圧の空気によってリム全体が破損する可能性があるのです。なお、チューブを入れた状態で同じテストを繰り返すと、損傷度合いは低くなります。チューブは亀裂に掛かる圧力を分散させ、高圧の空気を徐々に放出するからです。
ワールドツアーでの反乱
この開発中のホイールは、チューブを入れることですべての関連基準をクリアし、さらにはそれらを上回る性能を発揮していました。しかし、開発チームはさらに高い社内基準、つまりは既存のチューブレスシステムのほぼ2倍の耐衝撃性を実現したいと考えました。ライダーがバイクから振り落とされずに済む程度の衝撃なら、タイヤはリムから外れず、構造的に問題がなく、たとえリムに亀裂が入っても安全に停止できて当然。これが、彼らが目指した耐衝撃性でした。
RapideとAlpinist ホイールの開発が続行されることになり、チームには引き続き2019年のシーズン開幕からCLX 32、50、64を使用することが伝えられました。しかし、彼らはすでにRapideとAlpinist ホイールに惚れ込んでおり、これらをレースでも使いたいと申し出ました。旧モデルのCLX クリンチャーとチューブラーではなく、新しいRapideやAlpinist ホイールとスペシャライズドのTurbo クリンチャータイヤをチューブドでレースすることを望んだのです。彼らはこのセットアップこそ、軽量性、空力性能、安定性を兼ね備えた最高の組み合わせであり、史上最速であると確信していました。ライダーの意見は絶対ですから、私たちは彼らが望むホイール、つまりRapideとAlpinistをチューブドで提供しました。
彼らが勝ち始めたことにも後押しされ、Roval史上最大のテストと開発が開始されました。
シャープエッジストライカーを使った衝撃試験
UCIの40ジュール落下テストだけではライダーの安全を十分に保証できないと開発チームは考えました。そこで、ライダーが受ける衝撃の大きさを予測し、それに耐え得るチューブレスホイールとタイヤシステム全体のテスト基準を作りました。
ラボでのテストが本当に実際の状況を再現しているかどうかを確かめるため、エンジニアは屋外でテストを実施。しかし、ホイール、タイヤ、カーボンフレーム、ライダーといった、あらゆる不確定要素を含む衝突エネルギーをどう再現するのかという問題が出てきました。衝撃であちこちが揺れ動いてしまい、正確な結果を得られないのです。その解決策は、美しいほどにシンプルなものでした。測定するのは、ライダーではなくバンプ。ライダーにセンサーを付ける代わりに、バンプそのものを衝撃を受けるたびに測定し、正確な力の掛かり方を解明したのです。
81sのライダーが時速32kmで、高さ5pで直角の角をもつスチール製の障害物に進入した衝撃は29ジュール
こうして生まれたのがラボでの衝撃試験の新基準。従来のテスト基準だった40ジュールのほぼ倍のエネルギー量を設定し、ホイールだけでなくシステム全体をテストの対象としました。
まず、時速32kmで高さ5センチの障害物に衝突したときの約30ジュールよりもはるかに大きなエネルギー量からテストを開始。シャープエッジとラウンドの2種類の形状ストライカーを使用し、40ジュールからなんと70ジュールまでをテストしました。70ジュールにもなると、ハンドルバーから手が弾かれてしまうほど大きな衝撃です。
ラウンドストライカーの衝撃試験。加わるエネルギーは55ジュール(タイヤ:26c、90PSI)
エンジニアは、ライダーに伝わる衝撃と実際の衝突エネルギーに合わせた新基準を設け、まったく新しいストライカーと衝撃の与え方を利用した確実なテスト手法を実現しました。あとは世界選手権で既にお墨付きの性能を備えたRapideとAlpinist ホイールに、チューブレスシステムのあらゆるメリットを加え、製造するだけです。
新しいホイールに課された目標は次の2つ。60ジュールでラウンドストライカーを当てても破損せずに耐えられる強度を構造全体に持たせること。そして、70ジュールでラウンドストライカーを当てても、リムベッドやサイドウォールに入った亀裂はそれ以上広がらず、衝撃をスポークベッドに伝えること。この衝撃を受けるとリムはもう使えなくなるでしょうが、タイヤをビードに収めたまま、ホイールの構造は無傷で安全に停止できます。
これらの問題に対する解決策は、骨の折れる作業ではあったものの、シンプルなものでした。AlpinistとRapideのリムの形状は文字通り世界最高峰であり、変える必要はない代わりに、レイアップと素材を見直したのです。両モデルで150種類のレイアップを用意し、1000本以上のホイールをテストしました。
剛性や繊維のグレード、レイアップを何度も細かく変更し、それぞれのプロトタイプを作り、過酷なテストを繰り返しました。
21ヵ月をかけて完成したリムは、これまでで最も強く軽いものになりました。このリムで組んだホイールは、自社で設けた厳格なテスト基準をクリア。さらに、チューブレスシステムを実現し、世界最高峰のRapideやAlpinist チューブドホイールを超える性能を発揮したのです。
私たちが夢見たチューブレスの未来が、ようやく現実に近づいてきました。空力性能、軽量性、効率性、耐久性をどのホイールよりも高いレベルで兼ね備えた、フックドリムのチューブレスホイールシステムが完成し、ライダーは好きなタイヤや空気圧を選べるようになったのです。さらに重要なのは、これが現在のホイールに求められているレベルをはるかに超えた、厳格なテスト基準をクリアしたシステムであることです。
2年間の開発期間を経て、私たちはより高い衝突エネルギーを考慮した、全体的なテストを行えるようになりました。すべてのライダーがより安全にライドを楽しめるように、この新基準はすでに関連する認証機関に提案済みです。