自身がエンジンであるロードバイクにおいて、飲料はすなわちガソリン。スムーズな補給なくしてスムーズな走りなし。
いよいよ梅雨入りで、気温が30度近くまで上がることも増えてきた近頃。登りの練習に、近くの人工湖へ向かった。
この日も予想を超えて気温が上昇し、3本登り終わる頃には体中がカラカラ。ベンチに腰を下ろしてボトルから水をがぶ飲みすると、かつて誰かが言っていた「空腹こそ最高の調味料」という言葉の通り、水が自分史上最高に美味しい飲み物となった。
こうして一息ついてからの補給は、ぶっちゃけどんなボトルからだろうがまったく問題ない(そしておいしい)。しかし、「走りながら」だと話は変わる。ヒルクライムやエンデューロなどのレースではもちろん、長距離のライドでも、走行中の補給はどうしても必要になってくる。こうしたとき、スムーズに飲めるボトルでなければ走りそのものに影響を与えてしまう。
今回試したスペシャライズドのPurist(ピュリスト)ボトルシリーズは、その名を知らない人も気が付かないうちに使っているほど、静かに浸透している逸品。現在、様々なブランドやショップがボトルをリリースしているが、結局中身はスペシャライズドが展開する「カスタムボトル」を通じて制作したものだったりすることが多いのだ。
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その理由の多くは、圧倒的な「飲みやすさ」にある。今まで筆者も別のタイプの、というか普通のボトルを使っていたが「まぁ、こんなもんか」という感じでとくに不便とは思わなかった。
しかしPurist Hydroflo WaterGate Bottleを使ってみると、もう後戻りできないほどの快適さ。
とにかく
■ 水の出る量が多い。
■ キャップを開けた状態でもほとんど水がもれない。
のだ。
だから極めて少ない時間と動作でしっかり補給ができ、走りそのものに集中できる。そもそも「Purist(ピュリスト)」って、なんだかすごく水がピュッと出そうな響き!
そしてこのPurist Hydroflo BottleはWaterGate Bottleの機構そのままに、より柔らかく作られているシリーズ製品。軽くにぎるだけでドバっと水が出てくるので、初心者や握力の弱い女性にも最適だ。
PURIST HYDROFLO WATERGATE BOTTLEをチェック>
Purist Hydroflo Bottleは断面が三角形状なのもポイント。ボトルケージに適度な圧をかけるので、衝撃で抜けにくくなっている。
同時に、Purist Insulated Watergate Bottleも試してみた。こちらはPurist WaterGate Bottleの機構に保冷機能をつけたもの。
中を覗くとこんな感じで、しっかり断熱材が入っている。Purist Hydroflo Bottleと同じ温度の水を入れ、2時間後に飲み比べてみたが、1〜1.5度位は冷たい印象だった。6月から9月くらいまではこちらのボトルの出番だろう。
PURIST INSULATED WATERGATE BOTTLEをチェック>
また、欲張りな筆者はボトルを支えるケージでもスペシャライズド製品を試してみた。それが「Rib Cage U」。いかにもとんがったフォルムだが、しかしこのケージ、かっこよさと同時にやさしさも追求している。SWATテクノロジーによって底面に携帯工具「EMT Cage Mount Road Tool」が装着できるので、ケージでありながら、出先でのちょっとした修理やポジションの調整を可能にしてくれるのだ。
携帯工具ならサドルバックに入る? いや、少なくとも筆者のサドルバックはチューブとボンベ2本でもうパンパン! なので事実、いままでは工具を携帯しなかったが、このRib Cage U+EMT Cage Mount Road Toolと出会ってからはマメに持ち運ぶようになった。おかげで走りながら気になった箇所をすぐ調整でき、よりポジションを詰められた気がする。
内容はマイナスドライバー、各種アーレンキー、トルクスレンチなど。
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あえて気になった部分を挙げれば、プラスドライバーが入ってないことと、Rib Cage Uの保持力がやや強すぎる点。プラスドライバーは筆者の使うクリートに必要なので、ぜひ欲しかった。
Rib Cage Uの保持力の高さは、三角断面のPurist Hydroflo Bottleとの組み合わせで、ときに取り出しづらさにもつながっていた。使い込むことで適度にゆるくなってくるのかも?
初心者の頃は、走りながらボトルをつかんで口元に持っていき、飲む。その作業だけでかなり神経を使った。今でこそ慣れてはきたが、それでももっとスムーズにできるに越したことはない。
ガソリンを流しこむのにいちいち苦労するエンジンなんてないのだから……。
【筆者紹介】成田ケンイチ
少し前からZWIFTを始めました。軽く流すつもりでも他のライダーがいるとついつい踏んでしまい、気がつけば疲労困憊……。まさしく擬似サイクリングロード! 小学館自転車部所属。
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