最新のフィッティングツール「Retul」を採用したボディージオメトリーフィット。それが加わったことで、一体何が変わって、私たちにはどんなメリットがあるの?
これまで、スペシャライズドが推進しているフィッティングメソッド「Body Geometry FIT(ボディージオメトリーフィット)」のメリットや受けるべきタイミングなどについて伺いましたが、今回はそのフィッティングに使用されるツールの話。なにやら、以前よりずいぶんと進化した最新のツールが導入され始めているようなんですよ。
このRetulについて、これまでに引き続き「SBCU先生」のひとり、渡辺孝二(わたなべ・こうじ)さんにお話を伺います。
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●フィッティングの価値を可視化するRETUL
そもそもこのRetulとはなんなのか。今までのBody Geometry FITでは固定ローラーセットされた自分のバイクにライダーがまたがり、各部を計測しながらフィッティング工程が行われていました。
ところがRetulでは、無骨なエクササイズマシンとでも言うようなものにライダーがまたがり、フィッティングを行うのです(もちろん、バイクに乗らない工程もあります)。なんだかずいぶん様子が変わったように思うのですが、渡辺さん、コレ何ですか?
「Retulとは、Body Geometry FITの公式ツールです。あくまでもツールですから、Retul自体が何かをするとか、Retulを使うことによってそれまでとフィッティング内容が大きく変わるかというと、そういうことでもありません」
じゃ、じゃぁ何が違うのでしょうか……。
「Retulでは3Dモーションキャプチャーを用いることで、ライダーの姿勢や動きを可視化・数値化し、より見やすくて判断しやすいものになっているんです。いわばフィッティングの“見える化”と言うわけですね」
例えば、何がどんなふうに見えるようになるんですか?
「例えば、フィッティングの結果ヒザの動きが改善されて、ライダーの感覚としても良くなった――ということがあったとしても、従来のBody Geometry FITでは、フィッターが見て判断したものとライダーの感覚、これしか持ち帰れるものがありませんでした。ヒザのアライメントは、フィッターが目視で行なっているからです」
それが、3Dモーションキャプチャーで可視化される、と。
「そういうことなんです。実は(訓練された)人間が見て判断する精度も高いものなんですが、それはフィッターの職人技に頼っているということでもあります。それを3Dモーションキャプチャーで可視化することで、より精度を高めることができますし、フィッティングを受けたライダーは軌跡のデータを見える形で持ち帰ることができます。他にも、ビデオや写真の機能もありますから、サドル高、ハンドル位置、乗車姿勢の変化など、さまざまな結果を、より見やすい形でライダーに提供します」
ちなみに、Retulを使ってのBody Geometry FITは、どれくらいの時間がかかりますか?
「2時間から2時間半といったところですね。長いと感じるかもしれませんが、フィッティングのためには必要なものです。それに、やっていると時間は短く感じます。逆にいえば、体を動かす時間もあり、動かせば動かすほど疲れも出てきて感覚が鈍りますから、プロレベルでなければそれ以上の時間はかけません」
RetulはBody Geometry FITを提供しているショップに続々と導入が進んでいるので、興味のある人は話だけでも聞いてみると良いかもしれません。金額だけ見れば安価とは言えませんが、プロの目とデータによって自分を知ることができ、問題が解決できるなら納得もいくというものでしょう。新しいバイクももちろん良いのですが、こういったものへの投資も、今年は予算にぜひ入れておきたいですね。
【筆者紹介】:須貝弦
万年ビギナー状態だが、それでも自転車で地元の里山をめぐることを心のヨリドコロとするフリーライター。年に1度だけ、レースにも出ます。
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