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SBCUコウジ先生と読み解く、MTB、その楽しみかた Vol.06 「ブレインショックの気持ちよくなるいじり方」

2017/09/29

SBCUコウジ先生と読み解く、MTB、その楽しみかた Vol.06 「ブレインショックの気持ちよくなるいじり方」

あなたのXCバイクに付くブレインショックのレバーを動かすと気持ちよく乗れるのだ。

前回のVol.05で、全日本選手権(と同時開催の一般クラス)というレースに久しぶりに出場したSBCU先生・渡辺コウジくん、その結果は散々だったけど、次もレースに出る、とやる気は満々だ。なぜかというと、次に乗る新しいマシンを手に入れたからだ。

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その新マシン、EPICを見に来てくれ、とコウジくんが言う。僕(ライターの中村コイチロ)は、大体においてヒマなので、スペシャライズド・ジャパンの社屋に遊びに行った。コウジくんが誇らしげに見せてくれたEPICを見ているうちに、リアサスの話になった。

コウジくんが手に入れたEPIC MEN COMP 29をチェックする>

なんといっても、僕が大好きなリアサス方式、FSRを止めたというのは自分的にはビッグニュースだ。その辺を問いただそうと思って話をしているうちに、『ブレインショック』の話になっていった。さすがSBCU先生コウジくん、話の流れの作り方がうまい。

 

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コイチロ 「それが新しいEPICのフルサスだよね?」

コウジ  「そうそう。僕のニューマシン。いつでも新しいマシンってのは最高だね。」

コイチロ 「それ、リアサスの方式がFSRなくなったよね。スペシャなのに。おれ、FSRの機構、ずっと好きだったのに。」

コウジ  「そうだね、でもまだENDUROとかはFSRだよ。」

コイチロ 「なんでEPICだけFSRを辞めたの?」

コウジ  「簡単に言えば、軽さだね。FSRを使わなくなって、『ホルストリンク』(リアディレーラーの近くについていたピボットのこと)がなくなると、それだけで354g軽くなるんだ。ベアリングとか、それにまつわる剛性確保とか、そういったものが要らなくなって。」

コイチロ 「おー、フレームだけでそれだけ軽くなるのはすごいね。」

コウジ  「レース用、って考えると、結局軽さがマストなんだね。クロカンレース用フルサスであるEPICには、必要ないということになった。」

コイチロ 「でもそうなると、リンク式のFSRの繊細な動きはなくなるなるよね?」

コウジ  「そこでスペシャライズドの『ブレインショック』なんだ。モデルで言うとEXPERT以上に、フルサスならリアショックに、ハードテイルならフロントサスに、ブレインショックが付いてる。」

コイチロ 「でもなんで、『そこでブレインショック』なの?」

コウジ  「うん、サスペンションって単に動けばいいわけじゃないのは知ってるよね。ペダリングに代表される『人の挙動』でサスが動くと、フワフワと無駄に動く『ボビング』が起こってしまう。ペダルを踏んだ力が失われるよね。」

コイチロ 「そうだね。」

コウジ  「だから、路面からの衝撃に反応してきちんと動いて、乗り手の体重移動とかペダリングでは動かさない。動きに対してそういう区別をするのがブレインショックなんだ。」

コイチロ 「いわゆるサスペンションを固めるロックアウトとは違う、ってことだね。」

コウジ  「そう。ほら、この青いレバー、『ブレインフェイド』っていうんだけど、これを目一杯絞ると、上から人間ので力で押しても動かないけど、下から衝撃があればすぐに動く。反対に全部開けると、いわゆる普通のサスペンションとして作動する。」

コイチロ 「なるほどね、このレバーを状況次第で調整すると。体重とかも関係あるの?」

コウジ  「体重じゃないよ。体重に対応させるのは、サスペンションのエア圧だよ。これには『オートサグ』って機能を使うんだけど、まあこれはまた別の話。ブレインショックはね、この内部構造を見て欲しいんだけど。」

コイチロ 「……?」

コウジ  「ほら、ここにあるのが『慣性バルブ』。この中にスプリングで浮かせてある重りがあってね、衝撃を受けると、浮いてるから、そのバルブはその場にとどまろうとするんだ。」

コイチロ 「……????」

コウジ  「それでバルブが開いてオイルが流れていく。でも人間の入力は上からなので、そのバルブは開かないから、動かない、と。仕組みを大雑把に言うと、こんな感じ。わかる?」

コイチロ 「……ごめん、オレ、メカの構造とかに弱くて、コウジくんが何言ってるのか全然わかんない。ただ乗るだけのライダーで、もうしわけない。だから、どういうとき、どんなふうに、ブレインショックを調整すればいいのか教えてよ。」

コウジ  「うん。滑らかなトレールとか、グラベルロードみたいな簡単なオフロードでは、絞り目にしてペダリングで動きにくいようにするといいよ。反対に、路面が柔らかいときとか、路面に根っことか岩場とか、そういった簡単に後輪が空転しちゃうような時は、少し開けておくと、乗り手がトラクションのコントロールしなくていいから、疲れにくくなるんだね。」

コイチロ 「ああ、わかるわかる。急な上りにある根っことかさ、『あとひと漕ぎッ!』って時にズルンって後輪滑ると、それまでの登りが全て台無しになるよね。おお、だんだんわかってきたよ。サスの初期設定は体重と好みとで初めに決めておいて、レースコースを走り込みながら、そのブレインショックのちょうどいい設定を探す、みたいな。」

コウジ  「そうなんだよ。それに自分が走るスピード平均によっても、その丁度気持ちいい場所って変わってくる。ほら、実際に試してみるとわかるんだけど、乗り心地、走り心地がこれを変えるだけでかなり変わるんだよ。サスを柔らかめに設定しても、動かない時は動かない、ってことでね。」

コイチロ 「快調なペダリングから突然ロックセクションが出てくるXCコースとか、それこそ自然のトレールとか、路面を全開でつかむようなサス設定でも、登りで動かないのはいいよね。」

コウジ  「でしょ? なのに、もったいないことに、これをいじってないライダーも多いんだよ。ちょっと変えるだけで、ぜんぜん変わるのに。あなたのことですよ! あなた! 今すぐ、このレバー、『ブレインフェイド』をいじってください!」

コイチロ 「コウジくん、誰に叫んでるの?(笑)」

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といった具合に、ブレインショックの調整を積極的にね、の大切さを切に訴えたコウジくんでした。肝心のメカの部分、よくわかんなくて申し訳ないです。でもボクは基本ライダーなもんで、細かい調整とかメカに関するものはこれまでずっと30年、だいたいプロショップやメカニック任せなんだよね。でも、ボクみたいなそういった人も多いと思う。

だからいろんなイベント会場に、スペシャライズドのブースが出ていて、スペシャライズドを乗る方に、サスペンションとかのちゃんとした調整をしてくれる。もちろんブレインショックの設定の頃合いも教えてくれる。でも最終的にブレインショックは、乗ったあなたの感性で設定を決めるものなんだって。

だからぜひ、もしあなたのスペシャにブレイン付いてたら、日々触ってみてください。コウジくん喜ぶよ。

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【著者紹介】中村浩一郎
MTBに乗り続けて30年、MTBのこと書き始めて27年。人生の半分書き倒してきたが、上手くなっているのはMTBのライディングだけ。人は乗れば乗るほどライドはうまくなるものです。毎日15分のマニュアル(ペダルこがずに前輪上げて走るテク)練習で、マニュアル上手な還暦じーさんになるのだ。小学生にモッテモテだ。

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