ロードレースの総合格闘技とも評されるレッド・フック・クリテリウム(RHC)シリーズについてご紹介します。
レッド・フック・クリテリウム(Red Hook Crit/RHC)は、ブルックリン(アメリカ)、ミラノ(イタリア)、ロンドン(イギリス)、バルセロナ(スペイン)などで既に開催されているピストバイクによるクリテリウム。街に周回コースを設置し、封鎖された公道をピストバイクで駆け巡ります。日本ではまだ未開催ですが、そのスピードとスタイル、そしてクレイジーさで世界的に人気急増中のレースです。
このレースはプロのロードサイクリングの未来の姿を“まさに今”覗ける場所です。
なぜって? レッド・フック・クリテリウムは非常に特化した条件の国際レースシリーズで、あらゆる自転車レースのなかで最高に純粋で荒削りで最もエキサイティングなスピード勝負を見せてくれるからです。このレースには、NASCAR(カーレース)の要素と、プロのロデオの要素と、ファイトクラブの要素と、『フライデー・ナイト・ライツ』〔小さな町がフットボールに熱狂するH・ビッシンガーの小説、およびその映画(日本語タイトルは『プライド 栄光への絆』)、テレビシリーズ〕の要素と、現代版剣闘士の要素が全部含まれているうえ、とにかく徹底してスピード至上主義です! アメリカでもまだ伝統的なロードサイクリングが人気の主流を保っていますが、レッド・フック・クリテリウムへの熱狂は急速に高まっており、従来のサイクリングファンやスポーツファンに加えて、その友人や家族、その他大勢、ごく普通の一般人にまで関心の輪が広がって います。クリテリウムレーシングはアメリカではこれまでも人気でしたが、最近までは、国際的に“輸出”されて多くの注目を集める競技ではありませんでした。それを変えたのが、レッド・フック・クリテリウムの先端的で進歩的なレースプロモーションアプローチと、特殊な条件に特化したレーシングフォーマット です。これによって、いまやクリテリウムレーシングに対する世界中のファンの見方が変わりつつあります。RHCは、世界のファンの情熱をクリテリウムレーシングに引きつけたのです。
RHCのために設立されたチーム、「Specialized / Rocket Espresso(ロケット・エスプレッソ)」はクリテリウム仕様にカスタムしたAllez Sprint(アレースプリント)を使用。フラットでトリッキーなコースを最速で駆けるためのエアロアルミレーシングバイクでレースに参加しています。
では「Specialized / Rocket Espresso(ロケット・エスプレッソ)」4名の男性ライダーをここでご紹介します。
Eamon Lucas エイモン・ルーカス(アメリカ)
エイモンはギアをぶっ壊すために生まれてきたような野蛮人です。カリフォルニア州パシフィック・グローヴ出身の彼は、物心ついた頃からあらゆる種類のバイクを乗り回してはボロボロにしてきました。変速機付きバイクのクリテリウムで既に定評あるレーサーである彼が、2017年にはレッド・フック・クリットに初参戦します。われわれは彼に、これまでのレースとレッド・フック・クリテリウムの違いはどこにあると思うかと聞いてみました。「レッド・フック・クリテリウムはブレーキなしで周回コースを回る、普通のクリテリウムはブレーキがあって周回コースを回る」というシンプル極まりない答えが返ってきました。「レッド・フック・クリテリウムは最初から最後まで全力疾走だ」。エイモンは以前から、レースに出る以上は楽しみたいと明言しています。レッド・フック・クリテリウムの雰囲気は彼を裏切らないはずです。われわれは全部のレースでエイモンが表彰台に立つ姿を見たいと思っています。
Aldo Llesic アルド・イレシッチ(スロベニア)
SPECIALIZED/ロケット・エスプレッソのRHCチームのリーダーであるアルドは、2016年のRHCシリーズで総合2位に入りました。驚きでもなんでもありません。彼は生まれながらのレーサーで、レーサーとして育ち、早く走ることが大好きだからです。スピードへの渇望は彼のDNAにしっかり組み込まれています。もしバイクレーサーになっていなければ、何か別のものでレースをしていたでしょう。例えば自動車、スキー、スノーモービル、トラクタートレーラー、競馬、ジェットスキー――何であれ、スピードの出るものを。「ゆったり走るってことができないんだ。全力疾走か、ゼロかの二択なのさ」。スロベニアのプトゥイ出身のアルドはジュニア時代にヨーロッパ各地でレースに参加して成功を収めたのち、クリテリウムに目を向けました。
次回は「Specialized / Rocket Espresso(ロケット・エスプレッソ)」が乗るAllez Sprint(アレースプリント)のデザインについてご紹介します。
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