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ロードレース観戦基本のキ B実際にレースを観てみよう!前編〜レース前日まで〜

2020/04/10

ロードレース観戦基本のキ B実際にレースを観てみよう!前編〜レース前日まで〜

「よくわからない」と言われがちなロードレース、今年は観戦してみませんか?見どころやポイントを全3回(と1回)に分けて解説します。

新型コロナウイルス感染拡大の影響で多くのレースが中止・延期となっている2020年シーズン。しかし一部の主催者やスポーツテレビ局では、ファンのために過去のレースの配信を実施してくれている。これまでの名レースをじっくり振り返ることができる良い機会だ。
「ロードレース観戦基本のキ」第3回前編では、実際にレースを観戦する時に押さえておくとより楽しめるポイントを紹介する。「クラシックの女王」の異名を持つワンデークラシックレース「パリ〜ルーベ」はスペシャライズドのRoubaixが勝利を重ねてきたレースだ。このレースを題材に、具体的な観戦の流れをお伝えしていこう。

2019年パリ〜ルーベはJ SPORTSオンデマンドで4月30日(木)まで無料配信されているので、是非観ていただきたい。

「クラシックの女王」に最も愛されたバイク、新型Roubaix―パリ〜ルーベ2019

レース前日までにチェック!

まずは観戦するレースを決めよう。そして、お目当てのレースが決まったら、早速情報を集めていこう。レースが始まる前にもお楽しみポイントはたくさんある。ちなみに最上位カテゴリーであるワールドツアーレースは、開催前年の6月には日程が決定している。事前にスケジュールをチェックしておこう。 今回、この記事では2019年パリ〜ルーベを取り上げるが、実際に観戦するレースを検討する際には是非こちらの記事も参考にしてみてほしい。

ロードレース観戦基本のキ Aどんなレースがあるの?

(1)レース、チームの公式webやSNSをチェック

ありがたいことに、ほとんどのレースが公式WebやSNSで情報を発信してくれている。コースや有力選手など、観戦に役立つ情報をまとめてくれているので、是非フォローしておこう。注目ポイントは、この後解説していきたい。
もし、気になるチームや選手がいるようなら、同様に公式WebとSNSをチェックしておくとよい。そのレースで過去に優勝、または上位入賞したことがある選手やチームは引き続き活躍する可能性が高いので注目だ。チームや選手のSNS等ではレース本番に向けてのトレーニングや試走の模様など、レース公式とはまた違った情報がゲットできる。ファンは必見だ。

2018年パリ〜ルーベ覇者であるペテル・サガン(スロバキア)擁するボーラ・ハンスグローエの試走の様子。 こうした情報はチーム公式SNSならでは。

(2)コースを確認しよう

@どんな所を走るの?
まずはレースの開催地を確認しておこう。どの国のどんな地域を走るのか、自分がもし現地に観戦に行くなら…と仮定して調べてみると面白い。コースの詳細は公式サイトやSNSに掲載されている。

2019年パリ〜ルーベコース。地図を見ながら旅行気分を味わうのも楽しみの一つ。

2019年パリ〜ルーベはパリ郊外のコンピエーニュをスタートし、フランスとベルギーの国境近くの街ルーベを目指す。レース名は「パリからルーベまで」の意で、かつてはパリ市内を出発していたが、近年はパリから約80q北に位置するコンピエーニュからスタートする。パリからは電車で1時間弱、フランスからベルギー・フランドル地方への通り道であり、1770年にオーストリアからやって来たマリー・アントワネットがルイ16世(当時は王太子)と初めて対面した地としても知られる街だ。


歴史上重要な地でもあったコンピエーニュに選手が揃う。Photo:© 2019 Getty Images

ルーべまでは約260q。このレースの特徴でもある幾多の「パヴェ(石畳)」セクションは、ナポレオンの時代から存在していたと言われる。普段はトラクターが行き交う農道で、修復されながら現代に残るもの。ひとつひとつの石は大きく、切り立っており、凹凸も日本で見られる石畳の比ではない。
パワー、テクニック、そして運を試すパヴェセクションを超えて辿り着くのがかつて繊維産業で知られたルーベの街。ベロドローム(トラック競技場)がフィニッシュ地点だ。


最後はベロドロームを1週半走るのがお約束。ルーベはベルギーとの国境に近く、ベルギー国旗を手に応援するファンの姿も。Photo:©Bettiniphoto

A盛り上がりそうなポイントは?
どんな所を走るのかイメージができたら、次は注目すべき地点を確認しよう。レースが動きそうな箇所、展開が決定的になりそうなポイント、所謂「勝負所」というやつだ。
ドラマは選手達をふるいにかける難所で発生することが多い。これを見逃す手はない。通常は厳しい山岳や急坂などが該当するが、パリ〜ルーベにおいてはパヴェ区間。レース主催者によって1から5までの星で格付けされており、これまで難易度の高いパヴェセクションで勝負を決する動きが生まれてきた。


参照:シクロワイヤード https://www.cyclowired.jp/image/node/292513

パリ〜ルーベ公式Webにはパヴェセクションの詳細情報が掲載されている。全29セクター(区間)はゴールに向かってカウントダウンしていく番号で管理され、それぞれに難易度(星の数が多い程難易度が高い)が設定されている。

最高難易度5つ星のセクションは全部で3ヶ所。この前後で展開が面白くなる可能性が高いので、なるべくリアルタイムで観戦したい。通過予想時間について、あらかじめ時差を計算して日本時間を確認しておこう。
下表は公式Webと過去のレースを参考に筆者が作成したメモになる。観戦のおともに、よければ参考にしてほしい。

【パヴェセクション(セクター)一覧表】

レース最初の勝負所、トルエー=ド=アランベール。 森の中を真っ直ぐに走るパヴェセクション。道幅が狭いため、先頭付近で突入しなければならない。ここに向けて位置取り争いが活性化する。

(3)放送予定と観戦時間を確認しよう

大きなレースはJ SPORTSなどのスポーツテレビ局やYouTubeなどで配信されることが多い。放送チャンネルと時間を確認しておこう。レースによってはライブビューイングが開催されることもある。スペシャライズドストアでも実施しているので、是非SNSなどをチェックしてほしい。


スペシャライズド新宿では2019年ツール・ド・フランス第1ステージのライブビューイングを開催。今後の開催をお楽しみに。

2019年パリ〜ルーベはスタートからフィニッシュまでライブで放送されたが、全てのレースがスタートからフィニッシュまで放送されるわけではない。レース序盤はカット、中盤から後半の勝負所に向けて放送することがほとんどだ。
それでも全部の放送を観ていると長時間になる。熱心なファンはさておき、初めてレースをご覧になる方はさらに時間を絞って、勝負所の時間を中心に観ることをおすすめする。当日の進行によって時間が前後するので、できれば少し前の時間から観戦できればベターだ。実況や解説でフォローしてくれるので、観戦できない時間が長くても心配ご無用だ。
なお、レースが多く開催されるヨーロッパと日本の時差の関係で、レース終了時間は日本時間深夜になることが多い。大抵フィニッシュに向けてレースは盛り上がっていくので、観戦を始める前に食事やお風呂を済ませておくとよいだろう。

(4)スタートリストを確認しよう

公式Webや参加チームのSNS等でスタートリストを忘れずにチェックしておこう。スタートリストは各チームの出走選手を当日着用するゼッケン番号とあわせて掲載した一覧表だ。メディアなどで紹介される注目選手とあわせて各チームのエース、つまり最終的に勝ちを狙う選手を特に確認しておくとよい。選手名のアルファベット順にゼッケンナンバーが割り振るチームもあるが、多くの場合、一番若いゼッケンナンバーはエースに託される。


ゼッケンはジャージの腰の部分に付ける。この写真では右側のパスカル・アッカーマン(ドイツ/ ボーラ・ハンスグローエ)がゼッケン1番でチームのエース。
1桁のゼッケンナンバーは前年優勝チームへ、1番は前年優勝選手に割り振られることが多い。

ワンデーレース、特に春先に開催されるクラシックレースで活躍するのは、パワーとバイクコントロールスキルを併せ持つ屈強なクラシックスペシャリストだ。グランツールで活躍する軽量のクライマーやアップダウンを得意とするパンチャーとは異なる比較的大柄でタフな選手達が、力と力のぶつかり合いを演じる。
スタートリストを見ながら今年はどの選手が勝つだろうかと想像するのは観戦の醍醐味のひとつだ。ちなみに暫定スタートリストは比較的早い時期から公開されているが、確定するのは大抵前日。選手の入れ替えもあるので、直前に再度確認するのをお忘れなく。

公式SNSでも2019年の注目選手を発信していた。左から3番目がサガン、右から4番目と5番目がフィリップ・ジルベール(ベルギー)とゼネク・スティバル(チェコ)のドゥクーニンク・クイックステップコンビだ。

 
(5)メディアを活用しよう

ここまで書いてきた情報の大半は、実はcyclowiredなどのメディアが日本語でまとめてくれている。是非活用しよう。

次回は後編、実際にレースを観てみましょう!

ロードレース観戦基本のキ B実際にレースを観てみよう!後編

【筆者紹介】
文章:池田 綾(アヤフィリップ)
サイクリングライター。全3回でお届けしている「ロードレース観戦基本のキ」、第3回は急遽前後編に分かれることになりました。レース観戦の方法に正解はないので、こうやって観ている人もいるのか〜という軽い気持ちでご覧いただければ幸いです。

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