MENUCLOSE

スペシャライズド公式ブログ

スペシャライズド公式オンラインストア

Spring is coming 春とともにクラシックシーズンがやって来る

2022/02/25

Spring is coming 春とともにクラシックシーズンがやって来る

春、それはワンデーレースの季節。注目のビッグレースと活躍が期待されるスペシャライズドライダーをチェックしていきましょう。

TOP画像:© Wout Beel

観戦しやすく面白い「ワンデーレース」

ワンデーレースとは何か?その名の通り「1日(1day)のレース」、つまり1日で終わるレースのことである。ちなみにロードレースはこの「ワンデーレース」と複数日で競う「ステージレース」のいずれかに分類される。ワンデーレースは一発勝負で勝者が決まる。総合成績や特別賞など様々な思惑が複雑に絡み合うステージレースと異なり、全てのチームがその日の勝利を目指して走る。とても単純明快なのだ。

コースには数々の勝負所が散りばめられている。プロ選手ですら蛇行する程の激坂、パンクのリスクが増す石畳区間、位置取りが重要な狭い道、テクニカルな曲り道。こうした難所で各チームのエースたちが火花を散らす様を楽しむのがレース観戦の醍醐味だ。そして勝負所までエースを温存し有利な状況へ導くチームワークにも是非目を向けてほしい。


ラ・フレーシュ・ワロンヌの勝負所は激坂「ミュール・ド・ユイ」。
ミュール(Muur)は「壁」の意。その名の通りそびえ立つ壁のような坂を制する者がレースの勝者となる。© 2021 Getty Images


「北の地獄」の異名を持つパリ〜ルーベには石畳区間が多数登場。パンクや落車が頻発するサバイバルレースである。

注目レース

ワンデーレースの中でも特に長い歴史と高い格式を持つレースを「クラシックレース(クラシック)」と呼ぶ。このクラシックレースが多く開催される季節が春で、2月末から4月まで次々とビッグレースが開催される。

中でも「モニュメント(記念碑)」と呼ばれる世界5大クラシックレースは別格だ。モニュメントの勝利は選手にとって大きな栄誉であり、キャリアを通じて追い求める目標になる程である。2022年春の主要クラシックレーススケジュールは以下の通り。5つのモニュメントのうち4つ(太字で記載)がこの時期に開催される。これらのレース以外にも多くのレースがあるが、ここでは最上位カテゴリのワールドツアーレースに絞って記載している。

開催日時

レース名

開催国 

226

()

オンループ・ヘットニュースブラッド

ベルギー

35

()

ストラーデビアンケ

イタリア

319

()

ミラノ〜サンレモ

イタリア

323

()

ミネルヴァクラシック・ブルッヘ〜デパンネ

ベルギー

325

()

E3サクソバンククラシック

ベルギー

327

()

ヘント〜ウェヴェルヘム

ベルギー

330

()

ドワーズ・ドール・フラーンデレン

ベルギー

43

()

ロンド・ファン・フラーンデレン/ツール・デ・フランドル

ベルギー

410

()

アムステルゴールドレース

オランダ

417

()

パリ〜ルーベ

フランス

420

()

ラ・フレーシュ・ワロンヌ

ベルギー

424

()

リエージュ〜バストーニュ〜リエージュ

ベルギー

オンループ・ヘットニュースブラッドはクラシックシーズンの開幕を告げる一戦。このレースを皮切りに急坂と石畳をふんだんに織り込んだタフなフランドルクラシックがベルギー・フランデレン地方を中心に連続して開催されていく。鉛色の空の下、時には冷たい雨の中で繰り広げられるレースに自転車競技をこよなく愛するベルギーっ子たちの熱は高まり、その盛り上がりは「クラシックの王様」として頂点に君臨するロンド・ファン・フラーンデレンで最高潮を迎える。


狭く曲がりくねった農道を駆け巡り、石畳の急坂をよじ登る。
ロンド・ファン・フラーンデレンはクラシックライダーならば誰もが勝ちたいと願う「キング・オブ・クラシック」だ。© 2021 Getty Images

「ラ・プリマヴェーラ(春)」、そして「クラッシチッシマ(クラシックの最上級)」と呼ばれるミラノ〜サンレモは名前の通りミラノからサンレモまでを走るレースだが、特筆すべきはその距離。約300qという現存するロードレース最長の距離を誇り、終盤に登場する小さな登りと下りを使った駆け引きが見ものだ。ミラノ〜サンレモと同じくイタリアが舞台のストラーデビアンケはトスカーナ地方の丘陵地帯に広がる白い未舗装路を使ったレース。2022年が16回目の開催という若いレースにも関わらず、ドラマティックなレース展開から「6つ目のモニュメント」と呼ばれることもある。


景勝地として知られるリグーリア海岸を走るミラノ〜サンレモ。美しい景色もレースの一部。© 2021 Getty Images


近年注目の未舗装路が組み込まれるストラーデビアンケ。レース名の通り「白い道」を駆け巡る。

パンデミックのため2020年は中止、2021年は秋に延期となったパリ〜ルーベは久しぶりの春開催だ。他とは比べものにならないボリュームの石畳(パヴェ)区間が連続する「北の地獄」は、「クラシックの女王」とも呼ばれる唯一無二の美しいレース。普段はトラクターが行き交う農道に敷き詰められた恐ろしいパヴェをパワーとテクニックでいなし、パンクやメカトラブルを乗り越える運と精神力を持った勇者だけが勝利を掴むことができる。


19年ぶりの雨により過酷を極めた2021年パリ〜ルーベ。手強い石畳が泥にまみれ、難易度が跳ね上がった。選手はもはや判別不能に。© 2021 Getty Images

クラシックシーズン終盤のクライマックスはリエージュ〜バストーニュ〜リエージュ。「ラ・ドワイエンヌ(最古参)」の別称を持つ伝統あるレースはアムステルゴールドレースラ・フレーシュ・ワロンヌと続くアルデンヌクラシック3連戦の最終戦にして春のクラシックシーズンを締めくくる一戦。舞台はベルギー南部ワロン地方に広がる丘陵地帯。4,000m超の獲得標高が設定されたクライマー向けのワンデークラシックであり、スタートリストにはツール・ド・フランスなどのグランツールで総合優勝を争うようなビッグネームたちが名を連ねる。


数多くの登りが登場するリエージュ〜バストーニュ〜リエージュ。初開催は1892年と長い歴史を持つ。© 2021 Getty Images

注目したいスペシャライズドライダー

スペシャライズドサポートチームにはクラシックハンターが数多く所属している。特にクイックステップ・アルファヴィニルは昨年オンループ・ヘッドニュースブラッドを勝ったダヴィデ・バッレリーニ(イタリア)、ロンド・ファン・フラーンデレン覇者カスパー・アスグリーン(デンマーク)をはじめ、数々のレースで上位入賞を続けるイヴ・ランパールト(ベルギー)や元シクロクロス世界王者で悪路に強いゼネク・スティバル(チェコ)など強豪揃い。彼らは誰もが勝てる布陣を活かして波状攻撃を仕掛け、積極的にレースを動かしてくる。その姿はまさに集団で狩りをする狼。このチームが「ウルフパック(狼の群れ)」と呼ばれる所以である。ヘント〜ウェヴェルヘムなどのスプリンターズクラシックでは大怪我からの復活を果たしたファビオ・ヤコブセン(オランダ)に期待がかかる。


昨年ロンド・ファン・フラーンデレンを制したアスグリーン。バッレリーニとともに新型コロナウイルス感染症検査陽性でシーズンインが遅れているのが少しだけ気がかり。© 2022 Getty Images


今シーズン集団スプリントで既に2勝しているヤコブセン。シーズンを通じてこの好調さをキープできるか。© 2022 Getty Images

この2年石畳クラシックを追いかけていたジュリアン・アラフィリップ(フランス)は原点回帰を図る。つまり、今年は彼の得意なアルデンヌクラシックに集中する。狙うは2019年ミラノ〜サンレモ以来のモニュメントタイトル、リエージュ〜バストーニュ〜リエージュ。もちろんリエージュの前には2019年に勝利したストラーデビアンケを走るし、大好きなラ・フレーシュ・ワロンヌの4勝目も目指す。そのために、今年は持ち味であるキレのあるアタックと登坂の軽やかさに更に磨きをかけてくるはずだ。


生粋のクラシックハンターであるアラフィリップとともに今年アルデンヌクラシックに初挑戦するのがレムコ・エヴェネプール(ベルギー)。「真のオールラウンダー」を目指す独走力に優れた22歳がどんな走りを見せるのか、楽しみにしたい。


現世界王者のアラフィリップは5色ストライプの「アルカンシェル(虹)」ジャージを着用。レース中もよく目立つ。© 2022 Getty Images


エヴェネプールが満を持してアルデンヌクラシックに挑戦。アラフィリップとのコンビネーションはいかに。© 2022 Getty Images

新天地トタルエネルジーへ移籍したペテル・サガン(スロバキア)はクラシックシーズンの最重要選手と言っていいだろう。トタルエネルジーはセカンドディヴィジョンチームだが2022年はワールドツアーの全てのワンデーレースへの招待が決まっており、サガンは先に紹介したレースの多くに出場する。ロンド・ファン・フラーンデレンパリ〜ルーベというビッグタイトルを既に手にしているサガンの次なるターゲットは何だろうか。重要局面を逃さない勝負強さとスプリント力を活かし、近年1桁順位が続くミラノ〜サンレモをタイトルコレクションに加えるのもいいだろう。その華やかな走りで大いにレースを盛り上げてほしい。


サガンと同じロンド・ルーベ王者ニキ・テルプストラ(オランダ)、そしてあと少しでビッグレースの勝利に手が届きそうな活躍を見せるアントニー・テュルジス(フランス)にも注目したい。


新しいチームで勝利へのモチベーション十分なサガン。新しいジャージでの勝利に期待。

ボーラ・ハンスグローエニルス・ポリッツ(ドイツ)を軸にクラシックシーズンを戦うことになるだろう。ポリッツの武器は192pの長身から繰り出されるパワーと独走力。2019年に2位まで迫ったパリ〜ルーベが目標だ。2021年は体調不良のため悔しい途中棄権で終わったが、2022年は雪辱を誓う。ミラノ〜サンレモはスプリントエースのサム・ベネット(アイルランド)、アルデンヌクラシックでは安定感のあるマキシミリアン・シャフマン(ドイツ)が勝利を狙う。


チームにおけるクラシックシーズンの要となるポリッツ。驚く程に長いシートポストと白い歯がチャームポイントだ。

クラシックレースを戦うスペシャライズドバイク

石畳や激坂など過酷な地形が多数登場するクラシックレース。選手たちはほとんどのレースをオールラウンドバイクTarmac SL7をカスタマイズして戦うことになるだろう。ハンドルバーからホイールに至るまで、あらゆるコンポーネントをレースと選手にあせて組み合わせ、最高の1台を準備する。昨年のロンド・ファン・フラーンデレンでは、チューブラータイヤよりも転がり抵抗が低く、ラテックスチューブのパンク耐性と空力の良さを活かした走行抵抗の低さで速さを実現するクリンチャータイヤを投入し、見事勝利に繋げた。


クリンチャータイヤでのモニュメント勝利は史上初。クイックステップの選手たちは全員クリンチャータイヤで昨年のロンドを走り、誰もパンクすることなくフィニッシュしている。© 2021 Getty Images

パリ〜ルーベといえば、その名を冠したRoubaixもある。このレースのアイコンである石畳区間を滑らかに、そして速く走るために開発されたバイクだが、高いエアロ性能を備えコンフォートモデルらしからぬ攻撃的な走りを実現する。このバイクは石畳だけでなく滑らかな舗装路にも対応しており、あらゆる路面を快適かつ速く走ることができる。段差や路面のくぼみ、ひび割れが多い日本の道路にRoubaixはぴったり。ホビーライダーにもおすすめのバイクだ。


快適性と速さの両立が魅力のRoubaix。ロングライドを楽しむ方に特におすすめしたい。© 2021 Getty Images

関連記事:
Ready to Winスペシャライズドサポートチームの2022シーズン展望(2021年2月3日)
Win to Winスペシャライズドサポートチームの2021シーズンを振り返る(2021年12月22日)
スペシャライズドライダーのツール・ド・フランス2021を振り返る(2021年8月29日)
Wear the purple スペシャライズドサポートチームのジロ・デ・イタリア2021(2021年6月14日)

カテゴリ:
ロード
キーワード:
池田綾
Tarmac
Roubaix

アーカイブ

タグ